恋する心と友達
I’ve just seen a face.
とある英国ロックバンドの曲だ。普通に訳して見れば『一目惚れ』と訳すべきだろうか。
なんでこんな話急にするかって?僕は同居人に一目惚れしてたらしい。
学校が始まるのは9月からで今は8月。つまり同居人と一緒にいる時間も長くなる。最近おかしいと思った。なんで彼女と話す時に胸が熱くなるんだろうって。
「一緒に演奏しましょ。」
と言われれば顔を赤らめてしまっているのが鏡の反射でわかった。こんな自分が恥ずかしいよ…
しばらくして僕の服が届いた。3日ではなく一週間で届いた。なんでか箱を開けた瞬間わかった。
「僕の欲しかったギターだ。」
そう呟くとルーナが寄ってきて
「見して。」
なんていうから
「あ、うん。」
とちょっと顔を赤らめて言った。
「へーかっこいいじゃん。水色が好きなの?」
当たり。僕が頷くと
「あとで弾かせてね。私購買部で何か買ってくるから。」
と部屋を後にした。
よし!早速ギターを弾く前に、着替えを済ませてルーティーンをしないと。
僕のルーティンは陽の光を浴びながらラジオ体操をして、その後に指のストレッチをする。そしたらギターを弾く。
ギターの練習を疎かにした罰か、コードがわからない。あとでルーナに教えてもらおうかな。
ギターをケースに戻してバイオリンのケースを開けた。
「今日もかわいいよ、スージー。」
楽器に名前をつけるのは別にいいでしょ?きもいとか言わないでね。
早速バイオリンを持って演奏しようとしたらドアが開いた。
「結局あなたはバイオリンにいくのね。」
「だって…ギターわからないから…」
「それであなたギター欲しがってたの?まぁ別にいいんじゃない?」
紙袋を揺らしながらいう。
これでも大体の楽器は弾けるように教育されてます!
と言いたいところだが内気な性格が働いたのか、いう勇気が出なかった。
「ねぇ弾かせてよ。」
頷いた。彼女がギターを弾き始めた。どこかで聞いたことのある曲。ハッとした。すぐさまバイオリンを構え演奏に参加した。
「上手じゃないの。」
「そっちだって。」
楽しい。脳汁とやらが出てる感じがする。こういうことをしていると時間はあっという間に過ぎてしまう。もう時計は夜の七時をさしていた。
「こんな時間まで演奏して大丈夫なの?」
「大丈夫、部屋には防音材が貼られてるから音はあんまり漏れないの。」
じゃああなたのピアノの音量は防音材貫通してたよ、と言いたいところだが、やっぱり言えない。思ったことを言えないのが僕の悪い癖だ。そうこうしているうちに夕食の時間になったので食堂に行くことにした。僕が座るいつポジはすみっこ。入り口も近くて誰も寄ってこない。…はずだったが、
「やあハルト…」
今話しかけてきたのは僕と同じいわば陰キャラ属性のエドワード。茶髪で青い瞳を持つ、僕より1歳年上の14歳の少年である。
「やあエド。今日もグラタンなの?」
「うん、好きなんだ。」
彼との出会いは僕が5日ほど前に寮内の構造を把握しようと探索して(もちろんスージーと一緒に)いたら、練習室と書かれた札が貼ってある部屋からバイオリンの音が聞こえた。中を覗くと見知らぬ男の子がいた。演奏が止まった。こっちの存在に気づいたらしい。
「誰かいるの?」
「ごめんなさいすぐどこかへ行きます…」
「あ、いいんだよ。おいで。」
優しい声の持ち主はエドワードというらしい。
「僕の名前はエドワード、エドって呼んでね。君新入生?見ない顔だから…名前は?」
と聞かれたので、自分の名前、新入生であること、エドと同じくバイオリンを弾くことを伝えたら、すぐに仲良くなって、今に至るってわけ。
友達が2人?もできて嬉しいな。この学校に入学(まだ始まってないが)できてよかった。と初めて思えた。