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穴を掘ってみたら、ダンジョンに着いた  作者: コネ:ケミ
第一章 穴を掘ってみる
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 身体は無事である。

 

 夜、布団の中で今日のことを振り返る。


「あしたは日曜日だし、午前中からおいでなさい。昼食も用意しておくから」

 そうばあさんに言われ、またお邪魔しますと言って帰って来たことを思い出す。


 言われるままに穴なんか掘ってよかったのか? でも不思議なことに、だんだん親しみが湧いてきたんだよなあ、まだ入ってもいないんだけど……あの洞窟……


 大丈夫か、俺。自分が自分でないような感覚の不安感。


 不安もあるが、あの洞窟はなんだろう、ミケのチカラというのも、もらったはずだが、それも謎だ。猫に呪われたのか? でもそんな感じはしないぞ……


 あれから身体の異変はないが、あの発熱体験は忘れられない。


 あれはなんだったんだろう?





 翌日曜日。今日も青空だ。


 ジャージに着替えて家を出る。


 二宮邸に、こんにちはと声をかけて入っていくと、今まで見かけたことのない女子が玄関前の棚の盆栽に水をあげている。俺を見ると驚いたような表情をしているが、俺も驚いた。


 色白の肌に黒のショートヘア、くっきりとした大きな目。


 この顔、知っている、なぜここにいるんだ?


 あぁ、孫って……この子なのか。そういえばこの人、二宮って名前だった……


 学年最初の保健委員会の顔合わせで見た顔。

 五月のオリエンテーション合宿では男子の間でかわいいと話題になった女子。


 学年全体が揃う食事会場で誰かが「七組にかわいい子がいる」と言い出して噂が広がったのだ。ただ、なぜかオリエンテーション合宿の終わり頃には、不思議なことにその噂はまったく耳にしなくなった。



 俺は改めて、こんにちは、水、あげてるんだねと、現状をそのままことばにしてみた。

 困った時は、目前の共通世界の確認作業をすると決めている。


「朝、やり忘れたのよ……って、穴を掘っている子ってあんたなの?」

 それが、俺に向けられた彼女の最初のことばだった。



 うーん、その言い方、二宮さんも俺の顔は知っているのか。

 まぁ、保健委員会で顔を合わせて、健康診断の準備でも顔は見ているしな。


「俺が誰だかわかるの?」

 とりあえず確認してみた。


「知ってるわよ。保健委員のみやじくんでしょ? 保健委員会で配られた名簿の中で読めない名字があったから、記憶に残っているのよ」


「よかった。おじいさんとおばあさんにお世話になっています」

 俺がそう言うと、


「今日はあたしもついていくから、洞窟。おじいちゃんに一緒に行くように言われているの。あと猫にも」


 じいさん、とネコ? よくわからないがとりあえず、ありがとう、と礼を言った。








第九話をお読みいただき、ありがとうございます


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