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穴を掘ってみたら、ダンジョンに着いた  作者: コネ:ケミ
第一章 穴を掘ってみる
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「ネコマタではない」


 そう言ってミケは姿が見えなくなった。


 ミケが消えた? なぜだ? 




 えっ? 身体がおかしい……身体の内側、胸の辺りが急に熱くなり、それはゆっくりと手足に広がっていく。


 なにがあったんだ、俺の身体がおかしい……ミケがなにかしたのか?……


 驚きと恐怖で、動けない俺の身体がゆっくりと熱を失っていくとともに、背中の洞窟の中が、見えないところも含めて見える気がしてきた。


 洞窟の先は背中越しだがなぜか、みえる(気がする)。向き直って洞窟の正面を見ると、なおも先がみえる(気がする)。


 ミケも消え、俺の身体もおかしい、視覚もおかしくなっている、おまけに平衡感覚も……




 クラクラするし……事態も把握しきれない……洞窟の先も気になるが、ここは帰らざるを得まい……


 時間を確認すると、もう六時近く。


 無理をしちゃいけない、もう帰る頃合いだ……




 フラフラしながら、二宮さんの玄関まで戻る。ここまで戻って来た記憶がはっきりしない……




 ばあさんが、玄関先で迎えてくれて、おつかれさま、ケーキを買ってあるよ、と言う。たいへんのんきである。


 俺、体調、悪いんだけど……


「……ありがとうございます。うれしいです」


 ばあさんに心配させてはいけない……俺は、たとえ、ばあさんの前でも、ええカッコしいでありたい……


 やっとの思いで、ばあさんにそう言うと、ジャージをはたいて、ほうほうの(てい)で、なんとか居間まで上がった。


 居間ではじいさんがお茶を飲んで、待っていたかのように泰然と座っている。


 じいさん、その姿、渋いよ……






 今日は渋栗モンブランとお茶だった。


 一休みして、お茶を一口飲んで、なんとか体調が戻ってきた俺は、モンブランを食べながら今日の驚きの報告をする。


 驚くかと思ったら、じいさんもばあさんも、そうかそうかと頷くのみだ。


 驚いてくれよ、俺は驚いたんだから……怖かったし……ボケちゃったのか?


 そう思っていたら、


「明日からが本番じゃのう」

「あのミケが手助けするのですから」

 などと知った風のことを言う。


「明日からは奉納した短刀も身に付けて行くといい」

「剣道はしたことがあるかい? 素振りもしなされ」


 二人ともなにを言っているのか、わからない。


 俺が怪訝な顔をしたのだろう、

「ボケちゃおらん。年をとるとわかることも多くなる」

 じいさんはそう言うと、大きくうなずいた。


 その自信はどこから生まれるのですか?










第八話をお読みいただき、ありがとうございます


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