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穴を掘ってみたら、ダンジョンに着いた  作者: コネ:ケミ
第六章 初めての街
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「もともと荷物を運ぶためのバイクだから、スピードは度外視しているんだよ……きっと……」

 この三輪バイク、街から商品を仕入れて運ぶための乗り物で、さらに道もそれほどよくはないからスピードは抑えめなのだろう。燃費を伸ばすことも考えいるかもしれない。


「そうよねー。こっちの世界ってのんびりしている感じがするもんね」


 二宮さんも同意してくれる……が、それはたぶん、俺たちの世界より時間の進行が遅いせいで、そう感じるのでは? と思ったが、もちろん、それは言わない。


「あくせくした感じがしないよね」


 俺は提灯持ちの才能がありそうだ。


 門の入り口までやってきた。 

 剣を下げた門番がいる。もちろんゴブリンだ。荷台をつけていないので、門の脇に停めておくように言われる。


 二宮さんさんと二人、三輪バイクから降りて、背負い袋を後ろに背負い直し、門番に俺が挨拶をする。もちろん先手必勝だ。


「こんにちは。ベス村から来ました」


 俺はそう言うと互助組合証を見せる。身分証みたいになるから便利だということに今更ながら気がついた。


「こっちは旅の連れの友人です」

 三輪バイクの二人乗りで来たから見ればわかるだろうと思うが、二宮さんにしゃべらせないよう、俺が前もって申告をする。


「うむ。ベス村の三輪バイクを使って来た旅の者か。バイクを借りての旅人は珍しいな。ラムードの街にはどのような用件だ」


 えっ? 用件聞くの? 通ってよし、じゃないのか……バイクを借りて来たから珍しがられたんだ。


「ベス村では手に入れられないモノがたくさんあると聞いて、居ても立ってもいられなくて、バイクを借りて来ました」


 なんとか言い訳を考える。まさか【スライムの知恵】の複製品を買いに、とはとてもじゃないけど言えない。


 ん? 言えない……言わない……?


 思い出した! ベス村以外では【スライムの知恵】とは言わず、単に【知恵】というようにコダインさんからアドバイスがあったっけ。……思い出してよかった……


「ずいぶんと金銭的余裕のある旅人だな。色の白さといい、ミヤジという名前も珍しい。どこの出身だ」


 門番さん、好奇心で聞いてきているね……


「ベス村の奥にある山脈を超えたところに『ニホン』という国があります。そこから来たのです」


 事前に考えていた回答を答える。雲上界も言わないほうがいいとコダインさんから聞かされていたから、回答は用意しておいたよ。


「ずいぶんと遠いところからきたのだな、あの山脈を越えてくるとは……。ラムードにはおもしろい物がたくさんある。存分に買って行くと良い」

 門番はそう言うと、門を通してくれた。


 肩から下げている剣についてはとくになにも言われなかった。ダンジョン世界では持っていても問題なしということか。


 門を無事通ったあと、これから街だ!と気がはやる中、二宮さんが小さな声でつぶやく。


「ことばがわかるっていいなぁ、私ももうすぐだ……」








お読みいただき、ありがとうございます


ブックマーク、高評価、いいね、感想等くださると、とてもうれしいですし、めちゃくちゃ励みになります


よろしくお願いします


あと、もしよければ、


【悲報】楽しみにしていたジョブは【愚者】でした


も読んで下さいね

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