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穴を掘ってみたら、ダンジョンに着いた  作者: コネ:ケミ
第五章 ふたりダンジョン
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 剣は一本二万ルドだそうだ。思った以上に高い。


 二宮さんに、二万だって、と伝えると、買おう、と言う。


 誰が使うの? と俺が尋ねると、もちろんみやじくん、と答える。短刀よりはいいと思うよ、とのことである。


 いや、その短刀でさえ、一度も使ってないんだけど、とは、もちろん言わない。


 俺は堂々と二万を払い、その剣を買った。


 7600ルドしか手持ちはないから、もちろんキャッシュではない。組合証の残金で買うことが出来たのだ。掌認証の石もあった。高額商品は組合証で買うことが多いのだろう。

 残金は70000ルドと表示が変わった。よくできている、この組合証。


 剣は思ったよりも軽い。紐をつけてもらい、肩にかける。


「その剣で私を守ってね」

 二宮さんはニッコリした。


 ……かわいい。


 でも、守ってもらうのは依然として弱い俺のほうだよ、と思うが、それもカッコ悪くて、とてもじゃないが言えない。


「頑張るよ」


 ほんとうは、まかせておけ! とか言いたかったが、さすがに言えなかった。だって、戦ったことがないんだもん。


 二万も払ったのだ。知らないことも多いので、オヤジさん、情報もください。


「俺たちは遠い島国から来た旅のものなので、この国には疎いんです。さっき言っていた地下一層や塔のことを教えてもらえませんか」

 嘘は言っていない。日本は遠い島国だ。


「そうか。だからそっちの女性の言葉がわからなかったのか」

 オヤジは二宮さんを見てそう言い、ことばを続ける。

「いいだろう。地下一層には俺たちの元同族のゴブリンがいる。俺たちのような知恵ではなく、武器を持ち、争いを好む恐ろしいやつらさ。マテリアルの濃度が地上の倍の濃さだから強いが、コイツを狩ると、マテリアルの結晶であるクリスタルを手に入れることができる。これを売って生活している者がいるんだ。クリスタルは地上のエネルギー源だから互助組合に持っていけば買い取ってくれる」


 マテリアル? マテリアルってなんだ? 聞いたことがない。


「マテリアルってなんですか? 聞いたことがないんですが」

 俺は思ったとおりをことばにする。


「おい、マテリアルも知らないのか? あんたたちのいた島国とやらには存在しなかったのかい。それじゃあ、ここの空気は重たく感じないか? 

 マテリアルというのは、この地上にも含まれている見えない物質なんだよ。身体強化する作用があるんだ。地下に行けば行くほど濃くなるって言われているが、地下二層に行った奴はまだ聞かないから、本当のところはわからない。身体強化の作用があるから、濃度が濃くなればなるほど、魔物は手強くなるってことだ」


 俺はここにきて、自分が買った剣の意味を知った。……地下一層にいる武器を持ったゴブリンと戦うための剣なんだ……


 後ろで二宮さんが背中を突く。振り返ると、


「あとででいいから内容教えてね」


 と困った顔をして言う。


 二宮さん、以前空気が重いって言っていたね。


 きみは正しかったよ。


 うん、と頷きながら、このことを伝えたら、きっと二宮さんはドヤ顔をするんだろうなあと思った。


 ドヤ顔は、それはそれで、かわいいかもしれない。





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