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穴を掘ってみたら、ダンジョンに着いた  作者: コネ:ケミ
第五章 ふたりダンジョン
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 俺たちはそれぞれ背負い袋ーー決してリュックという洒落たものではないーーを背負ってお店を出た。中身は下着を含めた服である。マントの上から背負ってもきつくなく、少し余裕がある。それ用に作っているのだろう。


 二人分、袋も含めて全部で2400ルドだった。安い。

 なるほど、この物価を考えたら、クリアオーブの10万はいい値段である。


 二宮さんは女性用の服が入った袋を背負っている。ちょっとだけ恥ずかしそうな顔をしているが、そこはツッコまず、そっとしておく。


 ばあさんに、旅の服を買うなんて、ほんとうに旅の人かい? それなら、道具屋にも行ったほうがいいんじゃないのかい、と会計のときに笑われた。たぶん、からかったつもりなのだろうが、俺が道具屋ってどこにありますか? と逆に聞いたら、大げさに驚いた顔をして、道を挟んだ向かいだよ、この村には一軒しかないからね、と教えてくれた。


 そんな訳で、俺たちは今道具屋にいる。

 思ったよりも大きな店で、中をざっと見て回ると武器や防具などが売っている。

 なぜ武器や防具などがあるんだ? 


「やっぱり危険があるんだよ」

 並んでいる大小の剣を見て、二宮さんは、自分は正しかった、という顔をする。


 立派そうな剣を見ながら俺も、うんとうなずき、ダンジョンって思っていたよりもヤバいところなんだと認識を改めた。


 いい人ばかりに会っていたから、地上にいるのと変わらない気分にだんだんなっていたよ……


 剣を眺めていた俺に向かって店のオヤジーー中年ゴブリンに見えるーーが出てきて、笑顔で剣を薦める。


「そのショートソードでしたら、どんな魔物でも対応できますよ。地下一層でも、塔でも大丈夫です。うちの店では一番いい剣なんです。値段はそれなりにしますが」


 ……ん? 魔物? 地下一層? 塔? 


 魔物が出るの?


 俺たちにとってはここが地下のダンジョンなんだけど。まだ地下があるの?


 塔ってなに? まさか五重の塔ではないよね……



「いくらですか?」


 二宮さんは、ことばはわからなくとも、剣を勧められたことがわかったらしく、いきなり値段を聞く。


 え? 二宮さん買う気? ってことば、通じてないよ。


 オヤジが変な顔をして二宮さんを見た。


「……値段は、いくらですか?」


 俺は、通訳者である。











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