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外が明るいので油断していたら、居間の時計はもう六時になろうとしている。たしかに今日はここまでだ。
カステラをご馳走になって、帰宅する。今度はジャージにしようと決めた。
翌日、学校からの帰宅後、ジャージに着替えて訪問する。昨日は気が付かなかったが、敷地が広い。
門を過ぎると正面に母家、左側には奥に倉があり、手前は倉庫と思われる小さな小屋がある。庭も広く、右側の柵の向こうには昨日穴を掘った畑が広がる。
「やる気マンマンだな」
じいさんが顔を出して、俺のジャージ姿を見て笑う。
「猫たちもお待ちじゃ」
さっそく畑に行ってみると、三匹がすでに座って待っている。ブルーシートを退けると、昨日俺がお茶をしている間に猫が掘ったであろう穴が南側を向いている。
梯子を降りて昨日のスコップを使い、猫の跡を継いで20度ほどの角度つけて下向きに掘って行く。
落盤しないか確認しながら一メートルほど掘り進む。土は相変わらず柔らかく掘りやすいが、脇も上もしっかりしていて崩れる心配はなさそうだ。
さらに二メートルほど掘り進めると、カチリとスコップの先端がなにかに当たる音がした。
この金属音、まさか、もしかして?
慎重に音の周辺を掘り進めると、出てきたのは、大きめの薄い長方形をした金属製の箱だ。角はだいぶ錆びていて、フタにはクッキーの絵が描かれている。
期待した自分がバカだった。
クッキー缶に小判は入っていないだろう。だが、中身が気になる。気持ちが急いて、さっそく開けてみる。
なにやら茶色いものがはいっているが、触ると和紙のようだ。なにかを包んでいるようだ。
取り出して、和紙を剥がしてみると、出てきたのは日本刀を小さくしたような短刀だ。
鞘から出してみると刃が銀色に輝く。
こえー……
……錆びてないんだ……
でも、なぜ短刀? ホンモノ?
四話目です。
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