表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
穴を掘ってみたら、ダンジョンに着いた  作者: コネ:ケミ
第四章 ひとりダンジョン
37/83

37

 洞窟に戻って動き始めた時計を見ると一時間半ほど経っていた。毎回、持っているだけの刀を置いてプレハブの鍵を閉める。


 出かけるときにはいたサバトラも茶トラも姿が見えない。


 二宮邸の玄関に行って、声をかけると、ばあさんが出てきた。


「ここに鍵をかけておいて。都合のいいときに使っていいから。それからケーキがあるから上がりなさい」



 居間に上がると、いつものようにじいさんはお茶を飲んでいる。


 出されたケーキを食べながら、じいさんに今日の報告をする。今日のケーキはチョコレートケーキだ。それといつものお茶である。


 高校生の孫がいるんだから、そこは紅茶かコーヒーでしょ? とはもちろん言わない。


 話は、【スライムの知恵】から始まって水色教や水色聖典、互助組合でクリアオーブを売った話、マント購入のこと、盛りだくさんである。


 するとじいさんは、クリアオーブを売った話になぜか反応して、ほくほく顔で言う。


「向こうの世界では金持ちじゃな」


 俺はこっちの世界で金持ちになりたいよ。


「必要なモノをこれから買うことになりますから、出費も多そうです」


「まあ、大変じゃろうが、これからも頼むとするかの。せっかくじゃから、ご先祖様にもこの先の安全を祈願するといい。こっちじゃ」


 じいさんはそう言うと、立ち上がって俺を仏壇の前まで連れて行く。ばあさんも一緒になってついてくる。


 これは、二宮家の先祖に挨拶をするってことか? そりゃ、そうか……ご先祖様の口伝を俺が手伝っているからな。むしろ挨拶をするのが遅いくらいだったかもしれない。


 そのあと、仏壇の前に行く。


 仏壇には、位牌の他に、小さな三毛猫のぬいぐるみが置いてある。ミケがこんなところにいるとは……



 それから、三人で手を合わせること、20秒ほど……




 ご先祖様からのお告げは、なにも、なかった。



「ご先祖様はなにか言っていたかい」

 ばあさんが俺に尋ねる。


「いえ、なにもおっしゃってませんでした。俺が、聞くことができなかっただけかもしれませんが」


 するとじいさんがニコリとして言う。

「なにも言わないということは、あの世で安心しているということじゃ」




 ……そうか、ミケはまだ安心していないということか……


 よくわからないのだが、先ほどミケから渡されたものがあるような気がする……


 チカラではない、匂いとか色とかそういうもの? ことばは悪いが残滓みたいなもの?……世間体にいうなら、遺言のようなもの? 


 ミケを悼んで、いうなら、マトリクスみたいなもの? 


 よくわからない……

















お読みいただき、ありがとうございます


ブックマーク、高評価、いいね、感想等くださると、とっても嬉しいですし、めちゃくちゃ励みになります


よろしくお願いします

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ