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穴を掘ってみたら、ダンジョンに着いた  作者: コネ:ケミ
第四章 ひとりダンジョン
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 ちょっと情報収集、偵察のつもりで来たのに。


 宿屋とか、お金とか、確認したかったのに。


【スライムの知恵】とか水色教や水色聖典とかのことで、もう、いっぱいいっぱいになっちゃったよ。予想外の情報が多すぎる。


 この分だと、このダンジョン社会の常識を身につけるのは大変そうだな……


 長話をしてしまい、時間が気になり始めた。

 時計が動かないから、実際、どのくらいの時間が経ったのかが分からないのだ。


 地上でも楽しいときは時間が早いし、苦しかったり、つまらなかったりしたら時間は遅い。時間って均等に刻んでいくものではなく、もともとは伸び縮みして流れるものだから、体感時間はあてにならない。


 ダンジョン内の時間推移が地上の五分の一といっても、そろそろ帰らないといけないかもしれない。


 今回はひとりで来ているので、そこから生じる不安も加わっている気がする。


「貴重なご助言をありがとうございます。ご迷惑でなければ、また今度いろいろ教えていただきたいのですが」

 そろそろ帰りますというサインを送ってみる。


「私でよければこの地上のことをご説明しましょう。その代わりと言っては失礼ですが、雲上界のことも教えてください」

 老人はにこやかに答える。


 俺の住んでいる地上は雲上界になるのか。このゴブリンたちにとってはここは地上だもんな。


 この老人だったら信用してもよさそうな感じがする。


「ええ、それは喜んで。これはつまらないものですが、今日のお礼です」


 情報料ではないが、なにかお礼をしようかと思ったが、あげられるものは、なにもない。時計をあげるわけにもいかない。家の鍵はなおさらだ。


 そこで思いついた。この土地のものでもいいじゃん、きれいなんだから。

 俺はポケットの中から透明な球体を一つ取り出してテーブルに置いた。これしか渡せそうなものがないんだ。


 老人は出された透明な球体に目を見張って、

「おお、これはクリアオーブ、やはり聖なる国を通ってこられたのですね。こんな高価なものは受け取れません」

 と言う。


 これって高価なもの? たくさんあったけど。もしかしてお金持ちになれる?


「あなたは雲上界からの旅人、もしや、この国の貨幣をお持ちではないのでは?」

 思いついたように老人が言う。


 俺が、

「ええ、実は持っていません」

 と答えると、


「それではこれを互助組合に行って売りませんか? 国のお金も手に入れることができます。お金があったほうがこれからの旅には都合いいのではないでしょうか。よければこれからご案内しましょう」

 そう言って老人は球体ーークリアオーブーーをポケットに入れ、立ち上がった。


 お金が手に入る。村の見学ができる。これは予想外の展開だ。帰る予定だったが、まだ大丈夫なことにしよう。なんせ、五分の一の遅さだからな。


「ありがとうございます。それは助かります」

 俺もそう言って立ち上がった。










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