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穴を掘ってみたら、ダンジョンに着いた  作者: コネ:ケミ
第一章 穴を掘ってみる
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 三匹で10センチほど掘ったところに、スコップを持って近づく。


 掘り出された土があたりに散らばり、湿った新鮮な赤土が穴の中であらわになっている。


 猫たちは掘るのをやめ、俺を見るとみーんと鳴いた。

 いや、俺よりもスコップを見てないか? やっぱり。スコップに三匹で猫パンチをしている。バトンタッチのつもりか。


「よし、任せろ」

 俺はそう言って10センチの穴にスコップを入れた。


 もともと良い畑だったのか、土は柔らかく、掘るのに邪魔となる小石もない。簡単に掘り進むことができる。一時間ほどで直径二メートル、深さ一メートルほどの穴が出来上がった。いい汗もかいた。


 埋蔵金は出てこない。期待はしてないが。


「そろそろ、お茶にしなさい」


 声の方を見るとばあさんがいる。後ろには梯子を持ったじいさんもいる。


「ときどき見にきていたが、熱心に掘っていたのう。梯子じゃなきゃ、上がれまい」

 そう言って穴に梯子をかけてくれた。


「ありがとうございます。まだ埋蔵金は出てきてません」


「そうみたいじゃのう、まあ、先は長い。茶でも飲みなさい」



 服が土で汚れているので居間に上がるのはどうかと思ったが、ウチは農家だったから気にするな、はたけば落ちると言われた。


 それじゃあと、お言葉に甘えてお邪魔してお茶とカステラを食べた。ザラメが底にひいてある高そうなやつだ。おいしい。どうやら、俺のために、カステラを買ってきてくれたらしい。


「今日、無理しなくとも、ブルーシートを被せておくのでまた今度来て掘ったらええ」

 ばあさんのことばに俺は内心びびる。


 また来て掘り進めるのか? なぜだ? 埋蔵金はマジなのか? 


「もっと掘っていいんですか」


 意図がよくわからず、恐る恐るそう尋ねると、


「まだ猫たちが掘って欲しそうだからのう」


 じいさんを見ると、じいさんはさらにことばを続けた。


「あんたが穴から出たあと、猫が続きを掘っておった」


 なるほど、猫優先ですね。



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