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穴を掘ってみたら、ダンジョンに着いた  作者: コネ:ケミ
第四章 ひとりダンジョン
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 夜、ベッドの中でじいさんのことばを思い出す。


 化け物が助けを求めているってどういうことだろう? 俺が出会った親分スライムは自分が殺されることを願っていたように思ったんだが。


 化け物ってスライムのことじゃないのか? いや同じものだろう。二回行って、同じ親分スライムがいるんだから。間違いなく同じと考えていいと思う。


 化け物がスライムだとして、スライムがどうして助けを求めている?


 まったくわからない。あまりにも情報が足りなすぎる。もっとダンジョンについて、知らなければならない。


 ダンジョンの時間の進み方がこちらの約五分の一ぐらいなら、朝早く出れば向こうで一泊できることになる。ダンジョンでの滞在時間が長ければ、わかることも多くなるはずだ。

 宿屋があるかどうかわからないが、用意だけはして出かけたほうがいいかもしれない。


 ……あ、お金がないから泊まれないか。白メダルを使っちゃったら帰れなくなるし。

 日本のお金は使えないだろう。


 そもそもあの土地全体にわたって共通に使えるお金自体が存在するのか、わからない。この地球だって、一つの大陸なのに、国境が引かれ、使えるお金の種類が違うから。その調査もしなければならない。


 お金が存在したら、どうやってそのお金を稼げばいいのか。それはあの集落に行って考えればいいか。


 一泊するんだったら、どんな準備が必要なんだろう?

 時間があるときに必要なモノをリストアップしてみるか。


 いろいろ考えることがある。


 明日の授業の予習は大丈夫だったかな?



 学校に着いてから、リーディングの予習が追いついていないことに気づいた。前の席の間宮に見せてもらってどうにかやり過ごした。


 学校からの帰り道、今日のダンジョンをどうしようか、悩む。


 二宮さんは、今日は友だちとの付き合いがあるのでダンジョンに行くことができない。


 ひとりでダンジョンに行こうかと思ったが、俺一人だと洞窟の親分スライムに苦戦しそうだ。


 ……というか、俺、考えたら、スライムと一度も戦ったことがなかった……


 一度くらいは戦っておくか。親分スライムは攻撃してこないからきっと楽勝だろう。


 二宮さんには、

『今日は一人で、集落の偵察に行ってくる。友好的なゴブリンたちだったからきっと大丈夫』

 と携帯メッセージを送り、帰宅後、ジャージに着替えてすぐに二宮邸に向かった。


 二宮邸に向かう途中、メッセージの返信があった。


『洞窟の親分スライムは、たぶんいないと思う。私が朝、スライムくんと遊んだ。白メダルを四枚拾った』


 おおー。ちょうど二枚、昨日の残りがあってよかった。これで往復できる。


『ありがとう。昨日の残り、白メダル二枚あるから行ってくる』

 そうメッセージを送り、じいさんから鍵を借りる。


 プレハブ前には、サバトラと茶トラが座っていた。ミケがいなくなったせいなのか、痩せてしまって元気がない。


 「久しぶりだな。ミケがいなくなったけど、元気を出せ」


 ひざまづいて、俺がそう話しかけると、二匹でみーみー鳴いて近寄ってくる。なにか言いたげであるが、ゴブリン語はわかっても猫語はわからない。二宮さんなら、猫のチカラがあるからわかるかもしれない。そう思って改めて二宮さんにメッセージを送る。


『久しぶりにサバトラと茶トラに会った。元気がない。なにか言いたげ。二宮さんならわかるかも』


「それじゃあ行ってくるね。ご飯、しっかり食べるんだぞ」


 二匹にそう言うと俺は鍵を開けて梯子を降りる。


 ポケットに入れにくい短刀に紐をつけて肩から斜めがけをする。


 再度メダルを確認してから、俺は洞窟に入った。








お読みいただき、ありがとうございます


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