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向こうのゴブリン三人も俺たちを怖がっているみたいだし、いきなり襲われることはないだろう。
とは思うものの、用心は大切だ。
「一応用心のため、すぐに戦えるようにこころの準備はしておこう」
「うん、わかった。でも出来るだけ友好的に接してね」
そう答える二宮さんは気持ちに余裕がありそうだ。
押し出されている老人らしき人と後ろに隠れている若いが大人らしき二人。服は着ているがあまり上等なものには見えない。
まずは挨拶だ。
挨拶はこころをツナグと先生に教わったことがある。先手で声をかけるのが挨拶の肝だと先生はそのとき、言っていた。
実践する場がきたのだ。この際、ことばが通じるかどうかなんて、二の次だ。
俺が先を歩き、
「こんにちは」
と笑顔で先手の挨拶をする。囲碁でも将棋でも先手有利と聞いたことがある。本当かどうかは知らないが。
俺の声を聞いて老人は驚いたような表情をする。
そしてゆっくりと口を動かした。
「キーがー」
え? ことばが通じてる?
俺は確認するために、さらにことばを続けた。
「私たちはあやしい者ではありません。旅のものです。集落があるように見えたので立ち寄ってみたのです(ぐーばギーダーツー。ガーギ。ギぐーぞーギーラー)」
老人が急に笑顔になって答える。
「ガーぐーばギーギコ、どムーサ(姿、格好が異なるのにことばが話せるなんて、我々と同じ【知恵】を持っているんですね、すばらしい人たちだ。)」
わかる! ことばがわかる! 英語はしゃべれないし、韓国語も中国語もできないけど、初めて聞くゴブリン語がわかるなんて! しかも俺のことばも通じているし! すごい!
待てよ? 俺のことばが通じているってことは、このゴブリン老人、日本語ができるのか? でも、ギーギコとも聞こえるから、日本語ではないような気もするが、どういうことだ。
後ろに隠れていた大人たちもホッとした表情をしているようにも見える。
よくわからないが、会話を続けてみる。通じるのなら友好関係を築けるかもしれない。
「ふつうの旅人にすぎません。今日はこれでおいとましますが、また来ます」
「えぇ、同じ【知恵】を持つあなたたちなら、大歓迎ですよ」
老人と握手を交わす。
握手って異人種共通か?
後ろにいた二宮さんが背中をつついて俺に尋ねる。
「なんだか話が通じているように見えるけど、ゴブリンの人たち、なにを言っているか、わかるの?」
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