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穴を掘ってみたら、ダンジョンに着いた  作者: コネ:ケミ
第三章 ダンジョンに着いた
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いいね、ありがとうございます

 林を抜けた。


 広々とした草原が広がっている。


 気持ちのいい草原だ。


 暑くもなく、寒くもない、過ごしやすい気温、湿度も高くなさそうだ。

 空は青く雲も浮かんでいるが、太陽らしきものは見当たらない。


 頭のマップが、移動したところがわかる状態で復活したことを二宮さんに報告して、どこに行けばいいのか、相談する。


 二宮さんは整った鼻を少しだけ空に向けると、

「あっちから生活のにおいがする」


 そういって指差す方向には、たしかになにやら建物がありそうだ。


「建物らしいのが見えるけど、文明がありそうだね」


「料理のにおいもしているから、ある程度文化的な生活をしているんじゃないかしら」


「その場所を確認して今日は帰ろうか」

 俺がそう言うと、

「そうだね、帰り道も時間かかるし、いい時間になりそう」

 と賛成してくれた。


 そうだ、腕時計、と思い、腕時計を見たら止まっている。


 時間がわからない……


 申し訳ないと思い、二宮さんに直ぐに伝える。


「時計が止まっていて、時間がわからないんだ」

 俺がそう言うと、


「ダンジョンだからよ」

 と落ち着いた声が返ってくる。


「ダンジョンって異空間だから時間の流れとか、違いそうじゃない? 感覚的には一時間半ぐらい経っているかな」


 今ごろ止まっている時計に気がつく俺をフォローするように、二宮さんが言う。


「わかるの?」

「なんとなくだけど。今日は遅くなる覚悟をしてここに来たから、私は大丈夫。みやじくんは大丈夫?」


「俺も大丈夫」


 ごめん。そんなこと、考えてなかった……



 草原を二人で歩いて行く。


 周囲に対して警戒はするが、敵意らしいものは感じない。

 飛びかかってくるスライムもいない。


 デートって感じだけど、未知のダンジョンなので、周囲に注意を払いながらだから、楽しむ余裕がない。


 二宮さんも、黙々と歩いている。


 建物が近づいてきた。集落、村のような感じだ。周囲に柵はない。一番手前の建物前に誰かいるのが見える。顔色の悪そうな人たちが俺たちを見ているようだ。


「声が聞こえるけど、なにを言っているのかわからない……外国語のよう」


「俺にはまだなにも聞こえないけど、ここはダンジョンだから、きっと異国のことばだよね」


 建物近くまで来ると、顔色の悪いと思っていた人がしっかり確認できたが……


 ……ゴブリンに見えるけど……


「ファンタジーに出てくるゴブリンに似てない?」

 俺が二宮さんの顔を窺いながら尋ねると、


「どうしよう……あれってゴブリンだよ、きっと」

 ちょっと震え声の二宮さんが答える。


「ここで引き返そうか」

 弱気になった俺が立ち止まる。


「……でも、よく見ると攻撃してきそうには見えないよ。お年寄りの背中を押して、若い人が隠れているし」


 そうなの? 


 目を凝らしてゴブリンたちをよく見てみる。


 ……ほんとうだ。後ろの二人が老人一人を押し出している……向こうも俺たちを怖がっているみたいだ。








お読みいただき、ありがとうございます


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