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猫たちの案内について行くと、しばらく野菜も作ってないような畑に着いた。少しだけ雑草も生えている。
この辺りは東京から電車で一時間ほどの半田舎。車があった方が便利かもしれないが、なくても生活できそうな地域である。畑もいまだに点々と残っている。
猫たちはみーみーと鳴いてこちらを見たあと、三匹で穴を掘り出した。三方向から前足で、えいえいと掘っている。まるでここを掘るのを手伝えと言わんばかりだ。
ここ掘れ、ワンワンならぬ、ここ掘れ、ニャンニャンだ。
三匹でトイレを作っているとも思われない。
すると後ろから声がした。
「また掘っているようだのう」
振り返るとじいさんがいる。
「ときたま、掘っているんじゃ。なぜか人を案内してな。今日は君か。この際だから一緒に掘ってみるかね。埋蔵金でも埋まっているかもしれん」
「埋蔵金かぁ、夢があるなあ。掘っていいんですか?」
この辺りは鎌倉時代あたりから人が多く住んだ集落で、戦国時代には小さな城もあったという。本当かどうかは知らないが、秀吉が攻め込んだという昔話もある。そのときに秀吉に略奪されるのを恐れて、商人だか、豪農だかがため込んだ黄金を、どこかに埋めたという話が伝わっているのだ。もちろん誰も信じていないだろうが。俺も信じていない。しかし、夢はある。
「いいぞ。わしの土地じゃ。もう畑をするほどの体力もない。マンションでも建てようかとも思っていたが、ご先祖様からの言い伝えもあるし、それに、アイツらがときどき来て穴を掘ろうとするので、悩んでいたのじゃ。あいつらはかわいいからのう」
たしかにかわいい。じいさん、話しが合いそうだ。特にかわいいのはやはりミケか?
しかし、猫たちよりご先祖様からの話を、より大切にしたほうがいいんじゃないか。
「今、シャベルを持ってきてやろう」
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