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「それじゃあ、今度こそ転移しよう」
俺はそう言って白メダルを岩の上から拾い上げる。
「なんで転移陣を使うのに料金が必要なのかな」
二宮さんがつぶやくように言う。
「転移するためにエネルギーを使うからじゃない? 病院とか百貨店とかはエレベーター、無料だけど」
「なるほど、エネルギー代ね。バスとか電車に乗るようなものね。でもなんでその料金がスライムからドロップするの? スライム、寝てるみたいだし」
「うーん、スライムってお金持ちなのかな。まあ、地下の世界、ダンジョンに行けば、なにかわかるかもしれないね」
そんな会話をしながら転移陣の中に二人で入った。
闇の自由落下に身をまかせたしばらくのちに、俺たちはあの広場にいた。ポケットの中の白メダルを確認すると四枚になっている。
思ったとおり、転移陣を起動するには白メダルが必要だということがわかった。
二宮さんとそのことを確認したあと、彼女に一枚白メダルを渡して置くことにした。万が一、はぐれてしまったら一人で帰れるようにだ。
「一緒に行動するからはぐれることはないと思うよ」
「俺もそう思うけど、念の為だよ」
今のところ持っているだけの短刀より彼女の【猫の手】のほうがはるかに強い。俺が守ってもらっているんだから、はぐれないようについていくよ。
広場は変わらず薄く霧がかかっている。頭のマップも働かない。
「まずは付近を歩いてみようか」
そう言って二人で歩き始めた。
方角もわからないし、放射線状に道があるので適当に一つを選んで歩いてみる。
囲んでいる石塔を抜けると、腰ほどの高さの柵が見えた。そのとき、
「「おおーーっ」」
二人で声を上げてしまった。
その柵は幅が50センチほどありそうだが、柵の上にきれいな透明の球体がまばらにのっている。
全体像は見えないが、どうも柵は石塔を含めた広場をぐるっと囲んでいるようだ。そして透明の球体もずっと柵に沿ってたくさんみることができた。中には透明のものだけではなく赤や黄色、緑や紫色など、色のついた球体もわずかだがある。
まるで宝石のようだ。
霧が晴れたら、きっと壮麗な広場なんだろう。
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