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白メダルが転移に必要なお金かもしれないことは、二宮さんには伝えなかった。
まずはきちんと確認してみたいと思ったのだ。
まさか転移陣に料金が発生するなんて、ふつうは思わない。
翌火曜日、学校が終わったあとに、ジャージに着替えて二宮邸に行く。
こんにちは、と声をかけて畑に行くと、洞窟の穴を覆うように大きなプレハブが建っていた。入り口を見ると、南京錠の鍵までかかっている。
驚いて本宅に行き、玄関で再びこんにちは、と声をかける。出てきたじいさんにプレハブのことを言うと、
「ブルーシートは面倒なのでプレハブにしたのじゃ。プレハブなら鍵も掛けられるし管理しやすいからのう」
とのことだった。
管理とは? まさか将来、地下ダンジョンへの入場料でも取ろうとしてないか? まさかな。まあ、確かに洞窟の奥には親分スライムがいるし危険といえば危険か。そう考えると管理も必要かもしれない。
そんな会話をしていると、制服の二宮さんが帰ってきた。学校が終わっての帰宅にしては帰りが少し遅いと思ったら、どうも友だちの誘いを断るのが大変だったらしい。
「もう、なかなか帰してくれなくて。明日は必ず付き合うからって言って、許してもらったんだ」
「なんでそんなに誘われてるの?」
不思議に思って俺が尋ねる。
「四人が集まらないと遊べないから……まあ、それはいいじゃない。遅くなっちゃって、ごめんね。すぐにダンジョンに行こうよ」
「おう、そうだな」
「それじゃあ、私、着替えてくるから」
そう言って家に入る。
四人で集まってするゲーム? どんなゲームがあるのか、ピンとこない。
四人のメンバーを想像するに、きっとあのいつもつるんでいる銀縁メガネの子も一緒なんだろう。
二宮さんがジャージに着替えるの待っている間に、じいさんから鍵をもらう。
ジャージ姿で戻ってきた二宮さんとプレハブを開け、俺は短刀を取り出して、二人で洞窟に入る。
俺の頭の中にマップが広がって青い点が表示された。
あれ?
昨日とマップが違う!
日によって迷路が変わるのか。
二宮さんにそれを言うと、
「でも、マップが頭の中にあるから大丈夫よね?」
と言われた。
その通りです……俺たちにはモーマンタイです……
二宮さんに【猫の手】で親分スライムを片付けてもらい、白メダルを拾う。
もちろん、拾うのは俺の役目だ。今日は四体いたので四枚ゲットだぜ。
それから、二人で転移陣に向かう。
転移陣の手前で、俺はおもむろに昨日の一枚と今日ゲットした四枚、合計五枚を岩の上に置く。
「今日はまず実験です。そこの岩の上に白メダル五枚を置きました。今、メダルは持っていません。これで転移できると思いますか?」
俺の突然の出題に、二宮さんは面食らっている。
「なに? まさか転移するのにメダルが必要なの? そういうメダル?」
「それを確認するんだよ、さあ、転移陣に入ってみよう」
そう言って二人で円陣の中に入ってみる。
転移陣は、うんともすんとも言わない。
「あれ? 転移しないね。壊れちゃったかな?」
「やっぱり転移するには白メダルが必要なんだ」
俺はそう言って、昨日気がついたことを二宮さんに説明した。
「よく気がついたね。だとすると白メダル一枚だけ持って転移しちゃうと、迎えにきてもらうまで帰れないんだ。気をつけないと」
そうだね……それが一番大事なことかもしれない……俺はそこまで考えなかったよ……
よく気がついたのは、二宮さん、あなたのほうです……
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