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暗闇の中、足下から突き上げてくるような感覚に襲われたしばらくのち、俺たちは再び洞窟の中にいることに気がついた
戻ってきたようだ。
二宮さんの顔を見る。二宮さんも俺の顔を見た。手を繋いで見つめ合っているーーといっても薄暗いから顔ははっきりくっきりとは見えないがーーことに気づいた俺はそっと手を離して二宮さんから一歩離れた。
二宮さんも少し離れて顔を下に向けた。
「やっぱり転移陣だ。身体の感覚からすると地下の世界に転移したんじゃないか?」
声がうわずってないか、俺。
「そう思う。戻ってきたときの方が驚いたかも。どうしようかと思った」
洞窟に戻ってきた今になって、胸がドキドキしてきた。地下の世界に対してなんだろうけど、二宮さんと手を繋いだせいかもしれない。
「俺も驚いた。焦っちゃったよ。今日はここまでにして戻ろう。地下の世界は明日から探索しよう」
「探索するの? 怖くない?」
「怖いけど、どんな世界が広がっているのか、見てみたくない?」
「見てみたい……から行ってみる」
二人で入り口まで戻る。なんとなく恥ずかしくなってしまい、会話が続かない。二宮さんも無言だ。
神棚に今回使わなかった短刀をしまって階段を登る。時計を見ると、まだ二時前である。一時過ぎに洞窟に入ったのでまだ一時間も経っていない。
洞窟にいたせいか、外は日差しが強く感じられた。
二宮さんの顔を避けて、周りを見回す。見慣れた地元の景色だ。
「ちょっと早いけど、おやつはチーズケーキだよ」
二宮さんは、気分を変えるように明るい声で言う。声のトーンに助けられて、俺は二宮さんの顔を見ながら言った。
「チーズケーキもいいけど、連絡先、交換しない?」
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