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穴を掘ってみたら、ダンジョンに着いた  作者: コネ:ケミ
第一章 穴を掘ってみる
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 三時に六時間目が終わったあと、日直でも掃除当番でもない俺はそそくさと下校する。


 所属クラブは帰宅部。


 家に帰ってやりたいことは別にないのだが、周りに合わせるのはちょっと苦手な性格だ。家で本を読んだり、ネットを見たりしていた方が気が休まる。


 前の席の間宮に、それじゃあ、と挨拶をして校門脇の自転車置き場に向かう。家までは急いで漕げば十分ほど。急ぐ理由もないのでゆっくり漕いで帰る。


 近頃は日も長くなってきたので、帰宅後に改めて散歩に出ることも多い。たまに猫にも出会える。


 夕方、普段着に着替えたあと歩いて10分ほどの運動公園に向かう。公園といってもここは広い。野球場があり、陸上競技場があり、弓道場を含めた武道場があり、テニスコートも二面ある。子供が遊ぶような滑り台やブランコのある広場もある。学校にも近いので、たまに制服姿の生徒を見かけるが、俺は友だちが少ないので俺だとわかる奴はまずいない。


 それだけ広いとジョギングやウオーキングしにくる人もいて、老若男女、よちよち歩きの子供もいて、人間ウオッチングするにも、もってこいだ。一周して帰ることが多い。


 行きはつい同じ道を歩いてしまうが、帰り道をいろいろ変えている。気分転換というやつだ。


 一昨日狭い路地に入ってみたら、野良猫と思われる猫が三匹座っているのに出くわした。一度に三匹とは初めて、俺の新記録だ。


 茶トラが門柱の上に、サバトラが門扉のそばに、もう一匹の三毛猫が道の真ん中に。それぞれ毛色が違う三匹の猫。どうも家族ではなさそうだ。しかし、同時に三匹の猫がいるのだから、きっと仲間なのだろう。三色同盟を結んでいるのかもしれない。ミケがいるから五色になるのか? いや、茶が被っているから四色か?


 サバと茶は近寄るとささっと距離を一メートルほどとって警戒しているが、逃げていこうとはしない。ミケはまったく逃げずに泰然と座っている。よく見ると三匹とも左耳がさくら型にカットされているので地域猫だ。なかなかかわいい。



 帰宅部の活動として、三日続けて同じ道を通って猫に挨拶をする。茶だけは初日だけで、サバとミケは毎回会っている。この二匹はこの道がテリトリーなのだろう。茶はお散歩好きか。気が合うかもしれん。



 一日あけての五日目。

 例の路地に行くと、今日は三匹の猫が集まって道の真ん中に座っている。相談事か? 悩みなら聞いてやらんこともないぞ。いや、聞かせてくれ。猫ニャンは何に悩んでいる?


 俺を見ると、みーんとミケが鳴いて近づいてきて座った。俺もしゃがんでみーんと真似をして鳴いてみた。


 すると茶とサバが歩き出す。それに続いてミケも歩き出した。どこかに出かけるようだ。ミケが振り返ってついてこいと言わんばかりにみーんと鳴く。


 暇だし、ついて行ってみるか。これも帰宅部の活動だ。





新連載です。

よろしくお願いします。


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