ミーリアの秘密?
ミニチビエマ特別編
チビエマの生態系は、人間と変わらない。
種族はエルフの亜種。
チビエマ国以外にも、様々なチビエマ国がある。
カドルグが向かったのは、騎士団の中でも特殊な部署だ。
その名も特別騎士対策特務部署。通称騎士諜報部署である。
「ミーリア署長はいますか?」
「これはこれはカドルグ卿、貴殿が来るのは珍しいですね。ですが、申し訳無いのだけど生憎署長のミーリアは別件の元騎士を調査していて現在席を外しているのですよ」
カドルグが中に入って顔を出すと、執務をしていた壮年の男性騎士が苦笑して答えた。
茶髪の髪をオールバックにし、物腰穏やかそうな壮年の青年。
カロス・マルゴ(54)。
元アルツオーネ王国騎士団副団長で、現マルゴ伯爵家当主。
ミーリアの父であり、本来ならば引退した時点で領地に戻るのが普通なのだが、親バカ過ぎてミーリアが一人前の署長になれるまで見守るつもりらしい。
「そうだったんですか?実はミーリア署長に調査して欲しい騎士が居まして……ミーリア署長が戻り次第団長室に来るように御伝えください」
「分かりました、必ず伝えますね」
「ありがとうございます、それでは私はこれで失礼します」
カドルグはカロスに頼むと、一礼して部屋から去っていく。
「……ふむ?団長室に行くとなるとロリエッタに関わることかな?」
カロスは首を傾けた。
同じ頃、スラム街では……
「畜生!!何であの女が此処に!?」
息を切らせながら、一人の男が全力で走って居た。
男の名は、バグアス。
元王国騎士団の騎士で、元グッツア侯爵令息だった。
度重なる素行不良で、商人達から賄賂を貰って便宜を図ったりし、私腹を肥やしていた。
ロリエッタがミーリアに調査を命じ、悪事が明るみになって騎士団を除名されたと同時に侯爵家からも勘当されたのだった。
「逃がしませんよ」
「っ!?」
背後に女性の声が聞こえた瞬間、バグアスの目の前に暗器が通過して壁に数本突き刺さる。
「ひいっ!?」
恐怖で尻餅をついたバグアスは情けない声を出す。
「スラム街で違法薬物を売り捌いていた商人はバグアス貴方ですね?貴方に売っていた商会も調べますが……この私から逃げられるとは思わないでください」
黒髪の髪を一つに結わえ、黒い軽装を着た美しい女性はバグアスにナイフを突き付けた。
ミーリア・マルゴ(22)。特別騎士対策特務部署の署長。マルゴ伯爵家の令嬢となっている。
「ちっ畜生!!クソッたれーー!!」
バグアスの悔しい声が響き渡るのだった。
数時間後。
「署長、刑事課からの情報提供で奴がどの商会から買っていたか分かりました。ドゥガ商会です」
「ふむ?ドゥガ商会?聞いたこと無いな」
刑事課から出てきた部下からの報告に、ミーリアは目を丸くする。
「何でも……ここ数年で業績を上げてきた新興商会らしいですね」
部下の青年は苦笑する。
「ドゥガ商会は知らなかったが、同じ数年で王都に別邸を構えるようになったスコーピオン男爵家も謎だったな?領地の収入も変わらんと言うのに、謎の収入で成金にのしあがったと言うし……」
「ドゥガ商会とスコーピオン男爵家、偶然とは思えませんね。繋がりがあるかどうか調べて見ます」
「あぁ、任せた。私は騎士団に戻る」
部下に任せてミーリアは騎士団本部へ戻るのであった。
「ミーリア、やっと来たか。騎士の捕縛お疲れ様」
特別騎士対策特務部署に戻ると、カロスが待って居た。
「カロス伯爵、貴殿がこの時間まで居るのは珍しいな?」
ミーリアは目を丸くして驚く。
「はは、一応ミーリアの父親役だからね。あぁ……そうそう、カドルグ卿が君に用があって来たよ。団長室に来るようにと言っていたね」
「カドルグが?団長室にと言うことはロリエッタに関わることか?」
カロスから聞いてミーリアは更に戸惑う。
「ミーリア、貴殿の事情は分かるが……そろそろミリアルドとしてロリエッタと向かい合わなきゃ駄目だろう?ゲスキターの事もあるし、副団長ロイスも恐らくはロリエッタを狙っているんだからね」
そこでカロスはミーリアに言う。
「向かい合いたいのは山々だが、まだミリアルドを殺そうとした黒幕が始末出来ていない。今は当分ミーリアとしてロリエッタの近くに居るさ」
苦笑してミーリアは肩を竦めた。
「難儀だね。王族ってのは」
「継承権争いしたいのが連中なんだから仕方無いさ」
溜め息をついてカロスが言うと、ミーリアも思わず苦笑いした。
「それじゃ行ってくる」
ヒラヒラ手を振り、ミーリアは特務部署から出ていった。
ミニチビエマ特別編。
例えばあるチビエマは。
チビエマは朝起きると、住んでる町を全力でマラソンして家に帰ると朝風呂に飛び込む。
朝食はドラゴンのサンドイッチ。
身支度を整え、馬車で王城へ登城する。
執務室に入ると、文官と共に書類を裁く。
休憩の合間、王に直接報告しつつ片手にドラゴンサンドイッチ食べる。
午後は、文官と共に決死の徹夜書類片付ける。
翌朝、ゲッソリしながらチビエマは書類を提出した。
そのままノックアウトし、その午後やっと帰宅。