噂?
特別ミニチビエマ前編
チビエマの国はエマール王国。通称チビエマ国と呼ばれており、魔導科学に優れた発展した国である。
独自のランクで冒険者と魔物、ダンジョンは決められているので一流を目指す冒険者は皆遥々チビエマ国を目指す。
チビエマ達のランクは、子供でも強さはCからB。Aランクが最下位で最高峰がZランク。
チビエマ達はドラゴン肉が好きで、獲物を狩る狩人としてドラゴンを狩りに行く。
大人のチビエマの平均ランクはLランク。
Lランクか、それ以下なら散歩行くついでにドラゴンを狩れる。
私はロリエッタ・スヴォルツ(22)。
スヴォルツ公爵家令嬢であり、誉れあるアルツオーネ王国の王国騎士団団長でもある。
長い赤い髪を一つに結わえ、白い軍服を着た私は執務と格闘していた。
ここ最近、同じ人物についての苦情が我々王国騎士団以外にも、魔法師団、暗部からも寄せられてる。
苦情曰く、ゲスキター卿が女性騎士に色目を使ってばかりで訓練にならないとか……。
魔法師団の女性魔法使いをやたらと口説いたり、付きまといをして迷惑だとか……。
暗部の居る詰所に無断で侵入して、酒を飲んだのか酔い潰れて寝ていて邪魔だとか……。
共通の苦情を言われていた名前は、ゲスキター・ハッゲツェア。
ハッゲツェア公爵家の嫡男で、一応見目は良い。
我が王国騎士団に席を置く、平の下級騎士だ。
一応衛兵よりは、王国騎士団に合格したのだから実力もあるのだが、騎士になってから任務もサボるわ、訓練もサボるわのていたらく。
そんな彼が、私の婚約者だった。
「団長、やっぱりゲスキターに婚約破棄した方が良くないきゅか?このままじゃ、団長の評価まで巻き添え来るきゅ」
私を下から見上げたのは、25センチくらいの小さな小人。
真ん丸いフォルム。
円らなポチッとした目。
その姿で、騎士団の軍服を着ている。
彼はロイス・トゥーラ・エマール(24)。
エマール王国と言う国から単身、留学していた私と共にやって来てみるみる内に実力を発揮し、今では王国騎士団副団長をしており、出世して伯爵位を持ってる。
だが、彼は元々エマール王国の公爵家嫡男。
なんで私についてきたか分からん。
「ロイス、そうしたいのは山々だが、これはあくまでも公爵家同士の契約婚約なんだ。相手が決定的有責でなんか仕出かさない限り、簡単に婚約破棄なんか出来ない」
苦笑して私はロイスに答えた。
「……成程。あっ、そう言えば……他の騎士から噂聞いたきゅ。最近、ゲスキターが男爵令嬢に熱を上げて関係を持ってるとかきょ」
思い出してロイスは円らな目を更に丸くした。
ちんくりんで小さいロイスは、自分の可愛さに気付かない。
「ロイス副団長、それ俺も聞きました」
私とロイスの近くで、書類を仕訳していた騎士も声を上げる。
緑色の髪、軍服を着た端正な顔立ちの青年。
カドルグ・ワーグズ(22)。
ワーグズ侯爵家嫡男で、団長副団長付き騎士。
つまりは、秘書みたいな立場だ。
ワーグズ家は、内務省や財務省、外務省に一族を輩出してる名門で、カドルグはエマール王国で一緒に過ごした留学仲間だった。
ロイス、私、カドルグでエマール王国の最難関ダンジョンに挑んだのは良い思い出だ。
「男漁りに貴族専用図書館で入り浸っていた男爵令嬢にゲスキターがロックオンされたらしく、所構わずイチャイチャとか。
噂だと肉体関係もあるらしいです」
苦笑してカドルグが話す。
「待て、婚約者居る身で未婚の女に手出ししたら……事実だとすればアイツ破滅するぞ?貴族法にも引っ掛かる」
思わず私は頭を抱えてしまう。
「これは調査うきゅな」
一瞬ロイスの目が光った気がした。
「諜報担当の騎士に声を掛けて来ます」
カドルグが部屋から出ていく。
……どうしてこうも、ゲスキターは馬鹿なんだ!?
私の声にならない叫びは、心の中で響いた。
ミニチビエマ後編。
チビエマは普段は25センチくらいで過ごしている。
気まぐれか、公式な場では全員が人間バージョンになって出迎える。
ギャップがあり、人間バージョンは見目麗しい。
押しくら饅頭は、親交を深める場合と仲直りした場合、警戒して攻撃体勢に入った場合にすることが多い。
見極めるには、チビエマの表情に注目だ。