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怨念と因縁の引き合いについて

作者:

 言葉の意味はお話に合わせて創作している部分もございます。実際にお使いになる時は辞書等で調べてからお願い致します。

「推しが可愛い過ぎて、辛い」


 ツラミがそう言う。


「推しがあるなんて、妬ましい」


 それを受けたネタミが言い。


「可愛いなんて、恨めしい」


 ウラミも言う。


「私なんて」


 ヒガミがそう続ける。


「ふんっ」


 ソネミがそっぽを向く。


 怨念五姉妹は自分達のアイデンティティーを保つための日課をすませると、瞬く間に仲良し五姉妹に戻る。

 五姉妹が住むのは人族と魔族の領域の間で、五姉妹は魔族寄りの人型で、アイデンティティーを保つための儀式を毎日行えば、その他は何をしていても消滅しない怨念と怨霊を混ぜて、人型に固めたような者達だった。五つ子のため全員がそっくりで、同時に発生したので姉も妹も無いのだ。ちなみに、ツラミの推しはソネミである。異論は認めない。



 一方の魔族の頂点に立つ五兄弟は全員、苛立っていた。周りの無遠慮な言葉と態度に、ゴウマンが傲慢にもまず城を飛び出した。


「ふん。俺に相応しい者なぞ、そういるものか!!」

「最もだー!!!」


 フンマンも同意して、憤懣やる方ならぬ様子で続ける。


「そんなことも無いだろう素敵な人がいる筈さ」


 平気で欺瞞に満ちた言葉を吐くギマンに、自惚れつつ自慢する、ジマン。


「まさか。この俺様に釣りあう者などそうはいまい」

「あー。あっちに行ってみようー」


 サンマンはふらふらと漂うように、人族の領域へと向かって行く。



 五姉妹は毎朝のアイデンティティーの確認をしていた。ツラミがいつものように始めると、邪魔が入った。なんと、五兄弟がばらばらと嗅ぎつけたように出現したのだ。


「推しが可愛い過ぎて、辛い」

「俺も今、それを知った」


 ギマンが大袈裟にツラミの手を取り、同意した。


「いつの間に彼氏ができたの! なんて、妬ましい」


 それを受け驚いたネタミが言い。


「その粘りのある妬ましさで、散漫な俺を永遠にくっ付けておいてくれ」


 サンマンがネタミに跪き、結婚の許しを乞う。


「まー。恨めしい」

「自慢では無いが、俺はあなたにとって恨めしい要素が満載だぞ」


 思わずウラミも言う。そこへ重ねるように自信満々にジマンが言葉を告げる。


「私なんて、無理」


 ヒガミが何とか続けるが、ゴウマンが強引に割り込んだ。


「無理なことなどあるものか!」


「ふんっ」


 ソネミがそっぽを向いた先に、噴き出すような愛にあふれたフンマンがいた。


「俺を呼んだだろう?」


 五姉妹に幸あれ。勿論、五兄弟にも。

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