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二章 開幕

ふぅ~……今日も暑いなぁ。


ローナたちと別れ、馬車での旅が始まり数日が経過し、何事もない旅を楽しんでいる頃。

ベアル魔帝国の帝都にある魔王城の一室にて一人の少女は慌ただしくしていた。


「使徒様が来る。使徒様が来ちゃうよ。どう対応したらいいのかな、威厳のあるいつもの感じ?それともお姉さんみたいな感じ?妹みたいな感じでもいいのかな?…お兄ちゃん…ぐふふ、いいかも~」

「魔王様?」

「はっ!?」

「使徒様にはいつもと同じように対応してください」

「でもでも、そんなことしたら不敬なのでは?もういっそのこと、魔王の位あげちゃいたいし。…あれ?それって、私と使徒様が結婚すれば叶うのでは?というか、使徒様は私達魔族にも偏見が無いみたいだし、いいんじゃない!?もはや結婚してくださいと運命が言っている気がする!」

「戯言もそこまでにしてください」

「酷いよ!?そこまで言わなくてもいいじゃん。夢見たっていいじゃん。魔王だよ?この間の事件についても協力したよ?ちょっとくらいは良い思いしてもいいんじゃない?寧ろさせるべきだと思うんだよ」

「……どうしてこんなのが魔王なんですかね?いつも、あんな風にしてくだされば私としても安心しますのに」

「それは無理!絶対に無理!というか、ヘレンにだけだよ?こんな姿見せるの」

「当たり前です」


魔王と呼ばれている少女は部屋の中で侍女と思われる女性と姉妹のように喋っていた。

ベッドの上で枕を抱きながらゴロゴロしている姿を冷めた目でじっと見つめるメイド姿の女性は、一つため息をつく。


「はぁ、使徒様が来てもどうせ緊張して殆ど話すことなんてできないじゃないですか。何がお兄ちゃん、ですか。まともに会話することすら怪しいのに」

「ぐっ、今のは魔王の心臓をえぐったよ。言葉のナイフって知ってる?」

「えぇ、それが魔王様のためになるのでしたら喜んで刺しましょう」


笑顔でそんなことを言うヘレンにゾットした表情を浮かべる魔王。その顔には引きつった笑みが張り付いていた。そして、顔を手で覆い、わざとらしく泣きわめく。


「うえぇぇん、愛が…愛が重いよ、ヘレンちゃん」

「そんな芝居をしてないで、早く仕事をやってください。王が働かないでどうするのですか?」

「チッチッチッ!私は皆のために休んでいるのだよ!私が働きすぎると皆がこまっいだだだ!痛いよ!」


無言で魔王の耳をつねり上げる。


「早く着替えてください。もう使徒様は我が領土に入ったそうですよ?」

「えぇ!?じゃあ、意外と早くついちゃう……まだ仕事、半分も終わってないよ」

「そうですね、このままですと…謁見だけで他は何も話せずに終わることになりますね」

「……紅茶の準備しといてね」

「はい、いつものを用意してお待ちしております」


ヘレンは部屋を出て扉を閉める。少し寂しそうな彼女の顔は、魔王がいる部屋を少しだけ見つめると魔王の仕事場へと向かう。


暗闇が広がり、ジメジメしたとある場所の地下深く。その場所の存在を知る者は一人を除きこの世界にはいない。地面にはガラス製の何かが砕け散ったのか、ガラスの細かな破片が散らばっている。

そんな床を裸足で歩く男がいた。足の皮膚はガラス片によって裂け、血が出ている。しかし、男の歩みは止まらない。自身の血に汚れた足跡を見て少しだけ満足げな顔をする。


「次は何をしようかなぁ」


狐のような仮面を頭に付けたその男は玩具を目の前にした子供のような笑みを浮かべる。鼻歌を歌いながら、次の玩具を選び始める。


「まさかあんな結末になるなんてさ。思わないよね?新たな使徒がここ以外から生まれるなんて何が起きたんだろ?面白いよね?あの子は言ってたね。世界は美しいって。僕も同じ意見さ、きっと僕たちは運命的な出会いをする。だから待ってるよ。僕はここで君の事をずっとずっと待ち続けるよ。それにしても、君はつまらなかったな」


くるくると踊るように男は移動し、道を男は進む。そして道の行き止まりに置かれた大きな籠の中にいる獣を見つめる。その獣はまるで魂を抜かれたかのように呆然とその場に座り込んでいた。


「ねぇ?ねぇ?ベ・デ・ブ君?聞いてる?僕の話しを聞いているのかい?」

「…あ…う…あぁ」


獣に対して華奢な体をした男はベデブと呼びかける。

ベデブは、口を小さく動かし何かを話そうとしているのか言葉になっていない。


「君は悔しくないのかい?君は使徒として何百年もその使命を果たすために動いてきたのに…皆に理解して貰えなかった。そして、ぽっと出の使徒にさ?全部持っていかれちゃったね。民の心も使徒としての威厳もそしてその地位もさ。負け犬君?シズク君に負けて悔しくないのかな?」

「しず…く……しと?」

「そうそう。君をこんな目に遭わしたのは使徒であるシズク君だよ」

「しずく…シズク!…シズク!許さない、許さない、許さない、許さない!」

「いいねぇ、いい憎悪だよ。その調子だ。その体も随分と馴染んでいるようだし、問題ないね」

「ごろず!殺しでやる!使徒も獣人も人間も!」

「いいよ、殺しちゃいなよ?壊しちゃいなよ!。世界を君の手で壊して、ぐちゃぐちゃにしちゃおう!そうしたらもっと世界は綺麗になる。もっと世界は楽しくなる!」

「がぁ!出ぜ…お前モ俺のジャマをスルノカ?」


ベデブは籠の柵を手でつかみ、こじ開けようとする。

男は籠の前でとても楽しそうにしながら、笑みを浮かべる。


「君の行先は他種族の連合王国 エドリナ王国だ。そこは君を受け付けない。つまりは君の敵が沢山いる場所だ。……でも、今はその時じゃない。君が今行ってもちっとも楽しくない」

「だぜ!出せ!ココカラ出せ!」

「うるさいな!少し黙っててくれる?少し考えているんだからさ」


そう言うと男は籠の中にいるベデブに向けて魔法を放つ。

黒い色をしたその魔法はベデブの首に巻き付き、強い力で締め上げた。


「ぐがぁ!?ぐるじい…ぐるじい・・・だすけて」

「う~ん…あれに対抗するにはやっぱり複数の属性を混合させるしか無いよね。でも、それだときっと形を保つことができない。途中で体が負荷に耐えきれずに崩壊しちゃうから……あ、そっか。簡単じゃん」


手のひらをポンと叩くとベデブの首を締め上げていた魔法が霧散する。

涎を垂らしながら息を荒くするその姿は元人間とは思えないだろう。


「ぎぃひゅー…ぐひゅー…」

「楽しみに待っててね?君を楽しませるのは僕の役目なんだから」


男の目には地に伏し、息を乱した獣姿のベデブしか映って居なかった。

読んでくださりありがとうございます。

二章のプロローグですね。というか、文章の書き方を少しだけ変えたんですよね。嫌だなぁと思ったら全部変えて勝手に書き直すかもしれません。

というか、主人公の目的は生物の観察なのに…全然してないじゃん!って怒られそう…。

二章から本格的に進むのでよろしくお願いします。

ブクマなんかして待っててください。忘れないで。

次回もなるべく早く投稿しますので。(必ずしも明日では無いのだよ!)

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