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ローナ

荒削りですが……へへ、連日投稿だぜ。


断頭台に立ち、城の方を見据える。

シズクは必ず助けてくれるって言ったけど私はどっちでも良かった。

多分、死んでも今なら笑顔で死ねるから。


ローナは今までのことを思い返していた。


この世界は私に優しくない。

私達獣人に優しくない。でも、それでも生きてるのは楽しい。家族で仲間のみんなで楽しく過ごせるから。

でもそんな楽しい日は突然に終わった。あいつが来てから。


名前の知らない少し太った男が私の村に来た。村長とその男が話していると男のほうが私の方へ向かって来る。後ろに下がろうとすると鎧を来た人間が私の逃げ道を塞ぐ。


「な、なに…?」

「ローナ!逃げなさい!」

「お父さん!?」


お父さんが叫ぶ。村の仲間のみんなに抑えられているけど…私には何が何なのかわからない。

お母さんもお父さんも私に向かって「逃げて!」って叫ぶ。


「レイグ!耐えてくれ」

「長よ、なぜ、ローナなのですか!?」

「そうよ、なぜうちの娘なのです!?」

「すまない…儂のことはいくら恨んでくれても良い。だから、今は耐えてくれ」


私は逃げようと思って、森の中に逃げた。でも駄目だった。直ぐに追いつかれて、村に戻された。

そして、腕を拘束されたまま、別の男が私に馬乗りになって殴られた。私を殴った男は村長と話していた男だった。暫く殴ると満足したのか、首に金属でできた首輪をはめられた。

その瞬間、体の自由が効かなくなる。そして、私は気がついたら馬車の荷台の中にいた。そこから何日が過ぎたのかわからない。

逃げようと思っていた気持ちはもう消えかかっていた。お腹が空いて、眠ることも辛い。

体中が痛く、寒い。感情が段々と無くなっていく。


…もう生きたくない。死ねるなら死にたい。


そんなことを考えていた時だった。


「沢山積まれていますね。にしても縄で手を拘束された状態なのは面倒ですね」


知らない男の声が聞こえた。この感じは人間だろうか。臭いがしない。


「……誰?」


私の声は思ったよりも枯れていた。水も何も殆ど何も飲まずに過ごしていたのだから仕方がないと言えばそうなのだろう。私の声が聞こえたのだろうか、男の人は私に近づきながら声をかけてくる。


「貴方は?」


おかしな人間。私の名前を気にするなんて。人間は獣人を物として見てるって聞いたけど…この人は違うのかな?

私は自分の名前を人間の男に伝える。


「ローナ、貴方は誰?」

「私はシズクです。少しこの馬車の持ち主に歯向かった所、このように拘束されてしまいました」


言葉を失った。

この馬車の持ち主と言えばあの男の事だろう。あの男は使徒様らしい。でも私は信じない。

だって使徒様は神の使いでとても優しい人だってお父さんが言ってたから。あんなのが使徒様なんてありえない。


「……歯向かった?あの使徒様に?」

「そうですね。仲間を守るためには仕方がなかったんですよ」


仲間を守るためにこの人は拘束されたんだ。

私と同じだ。……でも私の場合は売られた。結果的に村を助ける形になっただけ。

シズクは多分、自分から立ち向かったのだと思う。やっぱり私とは違うのかな。


それからシズクと馬車の中で過ごした。

シズクは優しい人間だった。信じられないくらい優しかった。それに獣人を見たことが無いってことにも驚いた。獣人の奴隷は街の中には沢山いる。物凄く田舎の出身なのかな?

シズクは私の痣の治療もしてくれたし、食べ物や飲み物も譲ってくれた。使徒様に言われたことを忘れさせてくれるくらい私に優しい言葉をかけてくれた。

シズクは、あの男がいる前では私に優しくしてくれない。嫌な言葉も言うけど、私は悲しくなかった。

だって、シズクの顔がとても苦しそうに見えたから、それが嘘なんだって私でも分かる。

シズクは夜になると私が眠るまで物語を聞かせてくれた。今まで聞いたことのないお話で、とても面白かったのを覚えている。ニホンという国のお話でシズクもそこで生まれたのかな?


国に着きそうになるとシズクは私と約束してくれた。ユビキリって言う約束のおまじないらしいけどよくわからない。でもなぜか凄く安心した。

でも、使徒様が私のことを指さして、殺すと言った。


殺す?…私を?なんで?どうして?この間までは売るって……あれ?


どうして私はこんなに悲しんでいるんだろう。

この間までは死にたいって…もう生きたくないって思ってたのに。どうして…。


シズクが使徒様に対して何かを言っている。表情を見るだけで分かるよ。

私のために怒ってくれているみたい。なんでだろう、嬉しいと思った自分がいる。

地下牢に入れられると中には私と同じ獣人のお姉さんがいた。アーンって名前みたい。


アーンさんは私の顔に手をやって目を合わしてくる。黄金に輝いていて綺麗な目だと思った。

白い髪に白い肌…まるで伝説の白狼様みたいだと思った。

アーンさんが何かを呟くと急に不安が消えた。すると私の体は限界だったのか、直ぐに眠ろうとする。

そしてそのまま私は目を瞑り、眠ってしまった。


重いまぶたをゆっくりと開ける。そこで私は自分が眠っていた事に気がつく。

目を閉じながら周りの音を聞く。どうやら、私以外にも起きている獣人の子がいるみたい。

アーンさんの声も聞こえる。

頭を上げて、シズクを探す。シズクは壁によりかかりながら私のことを見つめていた。目が合うとシズクは笑顔で小さく「おはよう」と言ってくれる。

私は、ゆっくり立ち上がり、そのままシズクの方に歩き、抱きついた。

なんでこんなことをしたのかわからない。それに、シズクは何も言わないで私の頭を撫でてくれた。


「ローナ、少し聞いて欲しいことがあるんだ」


いつもとは少し違う声色で私にシズクは話す。


「…うん、なに?」

「今日、君は処刑される予定だ」

「…ッ」


そうだ。そうだった。私は今日、死ぬんだ。

嫌だよ、死にたくないよ。なんで私なの?私、なにも悪いことしてないよ?ねぇ?なんで?


不安が一気に私の中で膨らみ始める。

だが、そんな不安の膨張を抑えたのはシズクの手だった。撫でられている優しい手。

私の中の不安が消えていく。


「大丈夫、君は死なないよ」


シズクは、いつもの優しい口調に戻る。


「でも…」

「あくまでも予定ですよ。私がそんなことさせない。だから、待っていてくれないですか?不安なら泣いてもいい。私の名前を大きな声で叫んでもいい」

「…本当に待つだけ?」

「はい、それだけです。後は私が少しだけ頑張りますから」


そっか、そうなんだ。……私、好きなんだ。シズクのことが大好きなんだ。

だって、処刑されるのを待つのに今のシズクの言葉が嬉しくてしょうがないもん。

助けてくれたのも、優しく撫でられたのも、食べ物や飲み物をくれたのも、家族以外ではシズクが初めてだった。


「ちょっとだけ……勇気が欲しい」


少しだけ我が儘言ってもいいよね?

多分、私は死んじゃうけど、死ぬ前に思いは伝えたいから。

私は、シズクの首筋を軽く噛み、自分の歯型を残す。


ローナの回想はここで終わる。

何故なら、目の前に急に映像が流れ出したからだ。


そして、私の聞き間違いかもしれない。

すぐ後ろの方から待ち望んだ声が聞こえる。


「ローナ、待たせてしまいましたね」

「うん」

読んでくださりありがとうございます。

次もなるべく早く投稿しますのでよろしくお願いします。出来ることならブクマなどしてお待ちくださると嬉しいな。

というか、一日に何本も投稿してる人ってどんな生活してるんですかね?恐ろしいっすよ。

同じ人間とは思えないんですよね…ひぇ。

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