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邂逅


宿を探すのも大切だがそれよりも大切な物に気づいてしまった。

それはお金だ。考えてみれば私は一文無しの貧乏人だったのだ。冒険者登録が無料で出来たのは運が良かった。だが宿に泊まるには絶対にお金がかかる。


「……確か薬草を探せばお金になるとマニュアル本には書いてあった。初心者がする依頼について書いてあったが薬草探しが一番簡単らしいし探してみるか」


確か貰ったスキルの中に探し物をするのにうってつけの物があったはず。


「えっと…【サーチ】薬の効果を持つ植物」


このスキルはあたり一帯を調べてくれるスキルのようだ。

足元を見ると一つの植物に何かのマークが見える。これもサーチの効果であり、該当した物に対しては分かりやすいマークが付く。


「この植物は地球のドクダミに近いような気がするが…流石に【魔典】では分からないのか。取り敢えず薬として使えるようだし持っていくか」


葉っぱの一枚を取り、その手に付いた匂いを嗅いでみると地球にあったドクダミとは少し匂いが異なる。あれよりも幾分か匂いが柔らかく、臭気のようには感じられない。

そう言えばドクダミは根っこにも薬や食用とされた部分があったかな?

この世界ではどうなんでしょうか?少し地面を掘ってみましょうか。


地面を少し掘ってみるとそこにはワサビの様な緑色をした細い根っこがあった。一応、この根っこも折らずに採取しておきましょう。何かに使えるかもしれない。


「じゃあ…貰ったこの袋に入れて次のマークの場所まで行きますか」


それからも私はマークの付いた場所を転々とし集められるだけの薬草を採取した。

地球の植物に似ている物が多かったがやはり完全に同じものは一つとしてなかった。

葉の形状、色や匂いなどまだまだ調べたい事はあるのだがそんな事をしていれば稼ぐどころの話ではない。先ずはこの薬草たちがどう売れるかを調べなければならないしな。


ガサガサッ…


茂みが動き、後ろから小さな得体の知れない生き物?が出てきた。

その姿はゼリーの様にプルプルしており、体は半透明になっている。体の中心部分には丸いビー玉の様な物が浮いているが…そもそもこの生き物は?


プルプルッ!?


私を見るや否や体を震わし始めた。どうしたのだろうか?

威嚇のつもりなのだろうか?それとも別の意味があるのか…分からない。

その目の前の生物が移動してきた場所だが…あれは溶けているのか?


考えていると【魔典】が勝手に発動する。

空白だったページに文字が書かれ、目の前にいる魔物の名前が明らかとなる。


【オリヘンスライム】幻種・粘液生物


特徴

・ゼリー状の体に球状の核がある。

・体が酸で出来ており触る者を溶かしてしまう。

・敵と出会うと分裂し、おとりをその場に残し素早く脱走する。


『【オリヘンスライム】のページが新しく更新されました』


あれがスライム!

ゲームをしない私でも知っているファンタジーの代表的な魔物ではないのか?

だがこの特徴によるとあのプルプル震えているのは分裂…つまりだが逃げようとしているのか?

どうにかして敵ではない事を伝えられないか?

どうすればいい?


「…えっと【サーチ】このスライムが好きな物」


そうすると袋の中に入っている物にマークが付く。

手に入れた薬草の中で一体何がスライムの好物だと言うのだ?


「…これか?」


マークが付いていた物は一番初めに取ったドクダミに似た薬草だった。

そしてその根っこにマークが付いている。

袋からその根っこを出すとスライムが身体を震わすのを止める。


「……っと」


根っこを半分にして片方をスライムの目の前に落とす。

するとスライムは恐る恐る体から触手の様な物を取り出し、その根っこを箸で突く様に確かめる。

やがて体をその根っこの上まで移動させ、根っこを吸収し始める。


「……なるほどそうやって食べるのか。あの出てきた触手には何か効果はあるのか?例えば味を感じられる器官であったり、手の様なものであったりするのだろうか?」


考察はまだまだ終わらない。

身体が酸で出来ていると言うが…それは気づつける為ではなく物を消化するためと外敵から身を守るためではないか?逃げる手段を持ち、そこまで外敵から身を守る術を身に着けているのは敵が多いからなのが妥当な理由だ。ということはこのスライムと言う種はこの世界で強者に立っている生き物ではないのか。


スライムは俺の手にある根っこにまで触手を伸ばしてくる。

恐る恐ると言う感じが一番適切な表現だろうか?

俺の事は怖いが目の前に好物があるから食べたいのだろう。

私は試しに手渡しでスライムに根っこを渡してみようと思った。


「どうぞ」

スルスル…


根っこに触手が巻き付いて私の手から根っこを取る。

気づいたのだが…私の皮膚は酸によって溶けていないのだ。もしかするとだが酸によって相手を攻撃するのかどうかを選べるのではないだろうか?

それか触手だけ触れても溶けないようになっているのか。


スライムがズルズルと私の方へ寄ってきて足元にすがるように引っ付く。

靴が溶けている事も無く、何をしているのか私には良くわからない。


「一体…何をしたいんだ?もしかしてだがもっとよこせと言っているのか?普通はもっと警戒するはずなんだがこれもスライムの特徴なのか?」


私は屈んでスライムにそっと触れる。

すると水風船を触っているような気がしてくる。指は溶けていない事を考えるにやはり敵意のあるものにだけ酸は発動するのだろう。


「これも食べるか?」

プルプルッ!


俺が出したドクダミに似た植物の根っこに激しく反応するとそれを早くくれと言わんばかりに複数の触手が根っこを持っている手の周りをうねうねと動く。


「ふむ…スライムカフェなるモノでも行けそうなくらいにこうしてみると可愛い魔物だな」


『【オリヘンスライム】のページが更新されました』


なるほど…私が魔物について考え、その行動を見ることつまり観察する事によって記録されていくのか。

この項目はその為にあるのか。


ページには複数の項目がある。それは名前、この種の説明、特徴的な習性、使用するスキルの四項目と進化と言うよくわからない物が一つある。

あれだろうか?某モンスターのようにレベルが上がれば進化でもするのだろうか?

生物学上だとそんな短期間での進化などあり得ない事ではあるが…生憎とここは異世界だ。

そんな事が可能性に上がるのも無理はない。


『スキル【調教師】を獲得しました。【オリヘンスライム】をテイムしますか?』


【調教師】?テイム?…もしかしてだが本当にあのアニメやゲームの様な事が出来るのか?

確かに…此処で観察対象とさよならするのは惜しい。


「じゃあ…して見るか」

よろ…しく


そんなかすれた声が聞えたが…もしかしてだが目の前のスライムだろうか?

いやいや流石にいきなり喋るのは無理だろう。きっと気のせいに違いない。


「だがこのまま街に行くと誤解を招く。…小さくなれるか?と言うか私の言葉は理解しているのだろうか?」


するとスライムは身体を震わしたと思えば私が肩からかけている鞄に入るくらいには小さくなった。

サイズも変更が可能らしい。本当に面白い生き物だ。

こんな生き物がまだまだこの世界にはいるのだと考えると年甲斐もなくワクワクする。


『【オリヘンスライム】のページが更新されました』


【オリヘンスライム】

スライムの始まりの種。

スライムは環境に素早く適応し、進化をするためこの状態の姿は極めて稀である。

身体は半透明の酸を体内に溜めている。体の中心部分には核と呼ばれるスライムの心臓がある。

この種は非常に警戒心が高く、他の生き物と会うだけで分身を作り逃げてしまう。

酸で出来た分身を食べ、死んだ魔物を食べる事もあるが基本的にそのまま脱走する。

スライムには個性があり、好みがそれぞれ違う。

雑食であるが好んだ食べ物を与えることによって進化が決まる事もある。


特徴がつらつらと書かれていた物が一つの文章へとまとめられている。

どうやらある程度の情報を集めるとこのようになるらしい。

空欄な物はスキルなのだが…また今度にしよう。空がもう段々と暗くなってきている。

急がなければ今日の宿屋に間に合わないかもしれないからな。


私はスライムを連れて急いで街へ戻るのであった。


遂に出会いましたね?一番最初の魔物は全国民が知っているスライムです。

これからこの生き物について考えていくんで宜しくお願いします。もし自分はこう考えるなど等の感想がございましたらご自由に感想にお書きください。え…本作品へのダメ出しは?

…お手柔らかにお願いしますね?

また続きが気になりましたらブクマ、評価をしてくださると私が飛び跳ねて喜びます。

低い天井にでも頭をぶつけながらも泣いて喜ぶでしょう。


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