エルゼは何処に?
街の西側の一角はどうやらスラム街のようになっているようです。
わざわざ誰も好きでそこには行かないと街の人が教えてくれました。
ですがそこにエルゼがいるのでしたら行くべきでしょう。
暫く歩いていると先ほどの大通りの賑わいが噓のように今歩いている道では物音一つしない。
寂れた街を歩いているかのような錯覚さえ起こしてしまいそうになるほどそこは暗い雰囲気を出している。
「ここら辺で一度スキルを使って見ますか…【サーチ】エルゼ‥‥あ!」
するとかなり遠くにですがマークが見えました。
ですが次の瞬間、マークが消えた。
「き、消えた?い、いえですが確かに奥の方にマークが一瞬ではありますが出たのは事実」
どういうことでしょうか?スキルを使っていてそんな事は今までありませんでした。
マークが消えると言うことは…距離?
「つまり動いていると言う事ですか?」
「何か分かったのですか?」
「……もしかしたら見つけたのかもしれません。この先のずっと奥に一瞬ですがエルゼの反応がありました」
「スラム街の奥ですか?…もしかしたらですがエルゼちゃんは攫われたのかもしれません。好き好んでこの様な場所に来る可能性は低いのでは?」
「確かにそうですね…あの子の性格でこんな場所に来るようには思えません」
もしかしたら鞄から落ちた後にそのまま連れ去られた可能性がありますね。エルゼはスライムの中で特殊なスライムです。いいたくありませんがエルゼのスライムとしての価値は恐らく高いでしょう。
「急いだほうがいいかもしれません」
「そうですね。この先は危険です。一度…」
「戻りませんよ?私はあの子の保護者のような立場です。それに鞄から落ちたのは私のミスでもあります。ですので何を言われても私は行きます」
「はぁ、分かりました。ですが危険な場所ですので警戒してください」
「分かりました。ニアも絶対に私の手を離さないようにしてください」
「分かった。離さない」
ニアは私の腕にしがみつく。
別にそこまでしなくてもいいのですが…取り敢えず今はマークが消えた場所まで行きましょう。
今まで考えていたことが全部空回りに終わる事を今は願いますが…。
私達がスラムの奥に進んで行くとそこにも市場が存在した。
所謂闇市のような感じでしょうか…ローブで顔を隠した者達が物を見ながら売り買いしている。
「こんな場所が…」
「知らなかったのですか?」
「ええ…ですがあそこで売られている物など一般には出回らないモノですので恐らくここは普通の市場とは異なるのでしょう」
「スライムなどの魔物が売られている事も?」
「可能性が無いとは言えません。ですがスライムなどの魔物をそのままの形で売る事は禁止されているのです。魔獣と呼ばれる魔物の小型であれば普通の市場でもペットとして売られていますが…」
「そのままの形?」
「えぇ…つまり殺して別の形で売ると言うことは許されているのです。ですので冒険者などの産業も成り立っているのです」
頭に良くない光景が浮かぶ。
「急ぎます。【サーチ】エルゼ」
マークが現れる。だいぶ近づいてきたようで、マークが消えることはなかった。
「こっちです」
「気を付けてくださいね…あっちはこちらの都合など考えてくれません」
「分かっています。ニアも悪いですが協力してください」
「分かった。悪い奴をやっつけてエルゼを助ける」
やる気は十分のようです。日ごろから喧嘩していますがやはり喧嘩する程仲がいいと言う事でしょうか?ニアもエルゼの事を一生懸命に探していましたし、大切な仲間と思ってくれているのかもしれませんね。
マークの場所まで進もうとして細い道を通る。
少し腐敗臭がしますがそんな物…どこぞの国の食べ物に比べればまだマシです。
あれを食べた時は死ぬかと思いましたね。こんな場所で思い出すことではありませんが…。
「おいおい!?一般人が此処に何のようだぁ?」
「えらい美人の姉ちゃん連れとるな?どうや、そこのひょろがりを捨てて俺達と楽しくやらんか?」
「そこのガキも置いて行けよ?…子供は売れば金になるからな」
暗い通りを進んで行くとやはりこう言った輩に絡まれますね。
外国でも日本でもやはり裏路地と言う場所にはいかない方が良いモノです。近道を仕様として逆に時間がかかるなどよくある事ですからね。
「面倒ですね…」
「あぁん!?てめぇ誰にモノ言ってやがんだよ」
「…やる?やっていい?」
子供と言われた事が嫌だったのか、ニアの声のトーンが少し低く感じる。
「お願いできますか?…顎ですよ?」
「分かってる」
ニアが男たちの前にテクテクと歩いていく。
男たちも予想外だったのか唖然としている。だが勘違いしたのか男たちは私ににやけた笑みを見せる。その目は私を嘲笑するかのように完全に下に見ている。
「ハッ!ガキに守られるなんて俺達よりクズじゃねぇか。おめぇも大変だな?あんな奴が親でよ」
「だな?そっちの姉ちゃんもそんなクズ野郎なんか捨てて俺達のところに来いよ?なぁに悪いようにはしないからよ」
ケリーは何も言わないのですが少しだけ手が震えていますね。
怖いのでしょうか?確かに普通はこんな状況に陥ってしまったら怖いですよね。私も最初はそうでしたし。
「ご主人様を…」
「あぁ?」
「馬鹿にするな」
ニアの手が伸びて男の顎にヒットする。
「アガッ!?」
「「へ?」」
突然の事で体が動かない二人の男たちも同じように仕留める。ですが動かなくなった男をペチペチと触手で叩いているのは何故でしょうか?
「ニア?もういいですよ」
「どうして殺さない?」
「殺すのはちょっと慣れていません。ですのでもういいですよ」
あまりニアに殺人はさせたくない。
別に死体が怖いだとか気持ち悪いだとかそんな事は無いのです。骨や臓物も自分の中にあるものですから怖がっていては観察できませんしね。
ですが人が人を殺すと言う行動には特別な意味があり、どうも私はまだそれに慣れていない。この世界ではそんなことを言っていては生きていけないかもしれないでしょうが、今はこのままで良いと思います。
「シズクさんはクズじゃありませんよ」
「いきなりどうしたのですか?」
「えっと言われていたので少し言ってみただけです。気にしてないならいいのですが」
「大丈夫です。あんな輩の言うことは殆どがその場の勢いに任せて言っているだけですよ。お気遣い感謝します」
「あ、はい」
ですがケリーが美人だと言うのは同意しますがね。
まぁこんな私が言ったところでセクハラ問題になり兼ねないので言いませんが。
「あと少しで着きますが…あれでしょうか?」
目の前には他の建物とは違う大きな屋敷のような建物があります。ですが古く、手入れもされていないのでしょう。壁には苔や植物のツタが生え、壁の至る所にヒビが入っている。
「恐らく。それに良くない気配を感じます」
「気配?」
「えぇ、微かにですがこれはあっち側の魔力です。恐らく中にアンデットがいるかと」
「アンデット?」
「えっと死体のような魔物です。その魔物はこの世ならざる者であり、魔力の質が生者とは違うのです。私にはエルフの血が混ざっているのでそう言うのも少しですが分かるんです」
「……少し興味がありますね」
「えっ!?…まさか」
「いえいえ、勿論エルゼの救出が先ですよ?…もし時間があれば見ておきたいと思っただけです」
アンデットと言うことはゾンビですよね?
腐った死体がどのようにして動いているのか凄く気になります。腐敗しきった体では動けないと思うのですが…また魔力と言う不思議パワーで動いているのでしょうか?
建物の前にやって来た。エルゼはこの中にいるみたいですね。
入りましょう…手にドアをかけ、中に入ろうとした時、ケリーが私の背中にくっ付いてきた。
「ケリー?どうしたのですか」
「……」
「まさかとは思いますが…」
「違いますよ!?」
「まだ何も言ってないのですけど‥‥」
「とにかく違います。これは近い方が守れるかと思っただけで…行くのでしたら早く行きましょ!」
「わ、分かりました」
鍵はかかって無いのか扉は抵抗なく開ける事が出来る。中は薄暗くなっており、少しだけ中がひんやりとしていて冷たい。まるでこの建物の中だけどこか別の世界のような雰囲気が出ている。
「では行きましょうか」
「ケリー、ご主人様から離れて」
「む、無理です!」
「本当に大丈夫でしょうか?」
読んでくださりありがとうございます。
皆さんは幽霊とかを信じたりするのでしょうか?
ちなみに私は信じたりしちゃう側の人間です。怖い話とか苦手なんですよね。
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これからも多くの方に読んでもらえるように頑張って投稿いたしますのでよろしくお願いします。
ではまた会いましょう(@^^)/




