馬車の中
私がいた街の名前はウォーテルと言う名前でした。
ケリーによれば私たちのいた場所は大陸の端っこらしいですね。随分と辺境の地に送られたものですね。ですがそのおかげでニアやエルゼ達にも会えましたし、ケリーと言う強い味方も得られましたし…これも神様のおかげなのでしょうか?
「そう言えば南の国に行くとは言っていましたが…具体的には何処を目指しているんですか?」
「そうですね、海が見えて、魚が美味しい国に行きたいのですけど‥‥ありますかね?」
「つまりノープランと言う事ですね?」
少し呆れるようにケリーは言う。別にプランが無いわけではないのですが、そこまで作り込まれた者があるわけでも無いのも確かですね。
「まぁ、そうですね。取り敢えず南の国に行ってみようかと‥‥寒いのは苦手なんですよね」
「なるほど…ではアルレリアと言う国に行ってみてはどうでしょうか?」
「アルレリアですか?それは何処にあるのでしょう?」
「そうですね、今いる大陸の名前は分かりますか?」
「…すみません、わからないですね」
「はぁ、リアノ大陸です。常識なんですが本当に分からないのですね。一体どこに住んでいたのですか?子供でも分かる事なんですが」
「そうですね‥‥言えることは随分と遠くこの世界の小さい場所で住んでいました。まぁもう故郷に変えることは出来ないので関係ないですね」
「帰れない?ずっとですか?」
「少しあって追い出されてしまったのですよ。ですのでもう帰ることが出来ないのです」
「‥‥すいません」
「あぁ、別に悲しんでなんかいませんよ。ですので気にしないでください。私がいた場所の決まりと言うかそう言うのでそこについての説明は禁止されているのです」
「分かりました。少し気になりますが聞かないようにします」
「助かります‥‥それでそのアルレリアとは何処にあるのですか?」
「リアノ大陸の南東側にある大陸‥‥スーレ大陸と言う場所にあります。アルレリアは水の都と呼ばれていて、とても美しい国ですよ」
水の都ですか…地球にも同じように呼ばれている観光地がありましたね。確かヴェネツィアでしたっけ?世界を飛び回っていても行った事が無いんですよね。せっかくですのでこの世界のヴェネツィアに行ってみましょうか。
「ではそこにしましょう。どれくらいかかるのでしょう?」
「えっとですね、この馬車はジェンドと言う商いの栄えた街へと向かっています。そこからまた別の馬車に乗って船が出ているポーレリアと言う港町に行きます。それで大体半分ですね」
地図を開き、指でなぞって説明してくれる。ケリーの説明は非常に解りやすく、土地勘の無い私でも理解できるので助かります。にしても…。
「随分と長い道のりになりますね」
「ですね、馬車のお金も馬鹿にはなりません。ですのでポーレリアに着いてから一度ギルドに寄りましょう。そこで資金を調達すれば問題なく船へと乗れます」
「わかりました。…少し疑問なのですが受付係と言うモノはそこまで詳しいのでしょうか?」
相談していて少し思ったのです。ギルドの受付は別に観光案内所ではありません。ですがケリーは余りにも詳しく知っているのだと驚きました。
「いえ、私は一度行った事がありますので少し詳しいだけですよ。昔、冒険者をしていた時に」
「昔?」
その言葉が私の中で突っかかる。そんな昔と言えるほどケリーの年齢は高くないはずですよね。
だってこんなに若々しいのですから‥‥。
「えぇ今から十年前程になりますかね?冒険者だったころです。その時、私はシズクさんと同じようにソロだったんですよ。‥‥実はシズクさんに同行を求めたのはそう言った理由もあるんです」
「というと?」
「私が一人で冒険者をしていた時に何度も仲間がいればと思ったのです。ですが私はハーフエルフ。あまり好かれていない存在でしたので仲間が出来なかったのですよ。ですのでシズクさんにはそう言った思いはして欲しくないと思ったんです。過去の私の姿と重ねてしまうのは良くないのですが…」
「は、ハーフエルフ?」
「……あっ」
しまったという顔で口を手で隠す。どうやらケリーには隠していたい事があったようです。
ですが思わず出てしまったのでしょう。
「ケリーはハーフエルフなのですか?」
「…そうです。すみません、言おうと思っていたのですが」
「いえいえ、嫌な事は別に言わなくても良いんですよ。ですが悩みなどは話してくださると嬉しいですね。何か力になれるかもしれませんので」
「は、はい。…嫌ではないのでしょうか?」
「何がですか?」
耳を抑えながらケリーは私にそう聞いてきた。まるで怒られる前の子供のように怯えているような。
「私がハーフエルフについてですよ。普通は嫌な顔をするもんですが…シェイグさんもシズクさんも嫌な顔どころか私の事を凄いと言ってくれました」
「まぁ少し思うところはあります」
「……そうですよね」
暗い顔をするケリー。耳を抑えていた手に力が入る。
「まず気になるのは、エルフとは何を食べるのか、人間と何が違うのかや、生活のリズム、文化や習慣などなど気になる事は山ほどあるのですが全部をケリーに聞くのは酷だと思ったので今、喉の下で止めています」
「え?思うところがあるってそういうことですか?」
「それ以外に何があるんです?」
私の生きていた地球にはエルフと言う存在はいませんでした。
アニメや漫画の中の生き物であり、まさかこの世界にもいるとは思っていなかったのです。ですがその血を受け継いでいる存在が今、私の目の前にいるのですよ?
聞きたいじゃないですか!エルフの生態について…非常に興味があります。
魔物ではありませんが元々は私、生き物が好きなので人間の観察とかも時々してたんですよね。
ですのでエルフなんかも観察の対象になるのです。
「やっぱりシズクさんはシズクさんですね。私はあまり詳しく答えられるほど詳しいわけではありませんが話せる範囲で話してもいいですよ」
「本当ですか!?で、ではまず体の特徴などから…」
それから私の質問が始まった。
ケリーは私の下らない質問にも答えてくれる。本当にいい人なのだと思いました。
普通は自分が調べられていると言う気持ち悪さによってこう言った事を嫌う人が多いのですが…ケリーは嫌な顔一つせず答えてくれました。
私の質問でわかった事はエルフは人と似ているがその性質はかなり違っていると言う点ですね。
人間の寿命はせいぜい100年です。それはこの世界も私のいた世界も変わりません。寧ろ医術が発達していない世界で100年なのですから随分と長いのだと感じました。
それでエルフの寿命ですが…分からないと言います。容姿も大体十代後半の若々しいままで止まるとのことです。女性にとって何とも羨ましい存在なのではないでしょうか?
更にエルフの中には1000年も生きる存在がいるのだと。到底信じられないですが異世界ですし、ケリーが噓をつくようには見えません。ですので正確な寿命が分からないほど長く生きる。と言う結果が出ました。
次に魔力の話です。人間に限らず、この世界に生きる者には必ず魔力を持っています。ですがその扱える量などは人それぞれであり、残念ながらそれは先天的な物らしいです。
エルフはそれがどの種族よりも優れているらしいです。
他にも魔族と呼ばれる種族が魔力について優れているらしいです。そこらはまた今度聞きましょうか。今はエルフの事を知りたいです。
「では次に何を食べているかについてですが…肉や魚、野菜など何か特定の食べ物しか食さないと言った文化はあるのでしょうか?」
「エルフの中にも色んな派閥があります。人間同様に肉や魚、野菜を食す派閥と肉を食べない派閥。更に卵や乳も取らないと言った派閥があります。ですのでエルフによると言うのが正しいですね」
そこら辺は人間のようですね。小説のような、決まった設定がないのはやはり現実だからでしょう。
「私はエルフの里から人間の街に住み移り、そこから独り立ちをして冒険者になりました」
「なるほど…ですのでエルフにも詳しいのですか」
「はい、ハーフと言う混じった存在にはその混じった種族の特徴がどこかに現れます。普通は耳が尖った形になったり、目が異常に良かったりするのですが私はそれが魔力に出ました」
話で言うとエルフは魔力が多いらしいですね。
と言うことはケリーも魔力が多いという事になります。
「この剣…魔剣と言う特別な武器なんですがこれに魔力流し、操ると言う事が出来るのも私の魔力が多いのが理由です」
「あれはカッコイイですね。山賊での戦いには少しビックリしましたが…」
何というか…戦っていると言うよりも剣を操っている指揮者のような感じでしたね。
まぁ…どういった原理で動いているのかは詳しく分かりません。大体その魔力と言う謎物質も分かってないのですからそもそも論なんですよね。
他にもエルフについての話をしてくれましたが途中でそんな素晴らしい時間が終わってしまいました。馬車が街の中に入り、止まる。どうやら先程話にあったジェンドと言う街に着いたようです。
「ご主人様、お腹すいた」
『私もお腹すいたよ~!血吸っていい?』
「少し待ってください。そうですね…ケリー、違う馬車に乗る前にお腹を満たしましょう。朝早くから出てきましたからお腹が減っているようです」
「そうですね、私もお腹が減ってますので何処かで適当に食べましょう」
馬車の御者にお金を払い、街を散策するのだった。何故か迷子にならないようにと釘を刺されたのかは…その私の様子が子供のように見えたからでですかね?
読んでくださりありがとうございます。
移動中の話でしたので会話が多くなってしまいました。
無くてもいいじゃん!と思うかもしれませんがここで少しケリーさんについて話しておきたかったのですよ。それにエルフについても話したかったので‥‥。
次回は主人公の知らない街でのお話になります。
最後に少しでも良いと思って下さればブクマ、評価をお願いします。
これから少し忙しくなってしまい、二話投稿が難しくなるかもしれませんが…それでも読んでもらえるとありがたいです。
ではまた会いましょう(@^^)/




