そうだダンジョンに行こう
あれから数ヶ月が経過した。街の様子はすっかりと秋ざめ、段々と気温も寒くなってきました。
街の冒険者とはだいぶ顔なじみとなり、今では食事を一緒に取ることもあります。それと冒険者としてのランクが銅まで上がりました。依頼や薬草を納品し続けた結果、その功績が認められたようで先日、ケリーさんからランクアップの事を教えてもらいました。
前に私が地面へと触れた時に起きたあの現象はもう二度と起きることはなかった。たった一回の特別な力だったのか…もしくは何かが足りないのかよくわかっていません。
「ご主人様?今日も森に行くの?」
「そうですね。お金も随分と溜めましたし…薬草を摘みに行くのは今日が最後かもしれませんね」
長い事お金を貯め続けて私の所持金は金貨10枚ほどまで増えたので、無駄遣いをしなければしばらくは大丈夫だと思います。それに、そもそも私の目的は魔物たちの観察ですしね。
『ご主人!次は結局のところ何処に行くの?』
「南の国に行こうかと思います」
『南の国!?じゃあ海が見れるの?』
「そうですね。綺麗な海が見れると言っていましたよ」
ケリーさんによれば南の国は暑いらしいですが…エルゼは大丈夫でしょうか?
後から聞いた話ですがスライムは魔力と言う世界に溢れている魔素を元にした力が命の源だと。ですので魔力さえ無くならなければスライムが死ぬことは無いらしいですね。ですが、スライムを倒すときに冒険者は核を狙います。それは、核を壊してしまえば、スライムは死んでしまうからです。
スライムの核には、空気中の魔素を魔力に変換し、生きているというのが現段階の私の仮説なのですが‥それを確かめる術は今のところ無いんですよね。私は観察するだけで全くと言ってスライムなどの魔物を自身で倒したことが無いんですよね。なので、魔物を倒している冒険者の皆さんに色々と話を聞いてみると、新しい発見が今でもあります。
「スライムの森に生息するスライム達もだいぶ観察できましたし…そろそろ頃合いですね」
【魔典】にも様々なスライムの情報が追加されていた。
ポイズンスライムやエレキスライムにももう一度会うことが出来まして、しっかりと観察することが出来ました。ポイズンスライムはどうも毒を自分で作っているのではなく、毒草を自ら取り込む事によってその毒を使用して敵を倒しているみたいでした。毒を吹き付けて来るのを避け続けた結果、一定の時間が経つと体に溜まっていた毒が無くなったのか直ぐに踵を返して逃げた。ですので後を直ぐに追いかけてみますと毒草を食べていましたのでこのことが分かったのですが…あれは大変でしたね。ニアに何度も解毒をしてもらいました。
エレキスライムでの観察ではエルゼが非常に役に立ってくれました。
攻撃性の高いエレキスライムは戦闘が避けられない状況でした。ですのでエルゼに霧を出してもらい、エレキスライムの体を縛ってもらえるように頼み、その間はゆっくりとエレキスライムを間近で観察できました。
体中に常に微弱な電気を怯えており、私のナイフがくっ付いたのを見て少し驚きました。
体内で発電をしているから光っているのだと思っていましたが体中に常に電気を走らせている事によって帯電し、光っているようでした。
触るのは少し怖かったので止めました。それにエルゼにもニアにも止められたので‥‥少し残念ですが死んでも困るので。
他には少し面白いスライムに会いました。
森の少し奥には果実が実っている樹があるのですがそこで一匹の小さなスライムに会いました。
サイズ的にはエルゼの半分程度の大きさでしょうか?果実を取るときに【魔典】が発動してその手に持っている物が魔物であると初めて気づきました。
慌ててそのスライムを手から離して、距離を取って様子を見ましたが、全く動かないんですよね。
他に調べる手段も無いので仕方なく【魔典】を見てみるとそのスライムは【フェイクスライム】と言うモノでした。どうも果実に化けていたのは偶然だったららしいですね。そのスライムの特性は魔典を見て知ったのですがどうも体内に取り込んだ物へと姿を変えることが出来るらしいです。
ニアが私が手に持っているそのフェイクスライムを指さして毒と言いました。どうやらニアにはそれが毒かそうでないかが分かるらしく、そのフェイクスライムに毒がある事も分かりどうして食べられるような姿に変化しているのかその時になって分かりました。
食べた生き物がその毒で死ぬことによってそれをまた食べると言う連鎖が生まれるのでしょう。
ですのでこのような姿をしているのだと思います。
私がこれを食べた瞬間に私は天国にいるのでしょう。また、神様に会うのは勘弁してほしいですね。
他にも出会いましたが似たような性質を持ったスライムでしたので真新しさは特にありませんでしたね。恐らく進化にも幾つかの系統があり、そこから樹形図のように派生していくのでしょうが…元となったスライムが同じであれば似たような特性を持つのでしょう。
「色んな事がありましたね。ですがまだ森全部を見れたわけではありませんが、海に行きたいのもありますので、南の国に向かいたいんですよね」
『ねぇねぇ?魚の血って美味しいのかな?ご主人の血よりもおいしいかな?』
「どうでしょう。…そうであると少し助かるのですが」
「ご主人様?早く森に行こう?」
「その前に少しギルドによってからにしましょう。新しい薬草などの依頼があるかもしれません」
「分かった」
『了解!』
私はギルドへと向かい、依頼が張り付けられているボードを見る。
「…どうやら私が望んでいる依頼は無いみたいですね」
『今日はお休み?』
「そうですね、他にやることもありませんし」
希望の以来が無いのを確認し、掲示板から離れるときだった。とある冒険者が話しかけてくれた。それは山賊の時にお世話になった若い冒険者のシェイグ達だった。
「あれ?シズクさんじゃないっすか。どうしたんです?」
「受けられる依頼を探していたのですがどうやら今日はなさそうです」
「そうなんすか?じゃあ良ければ何すけど俺達と一緒にダンジョンに行きません?」
「ダンジョンですか?」
「ハイっす。ダンジョンは良いっすよ?浅い層であればそこまで危険はないっすし、魔物も弱いっすから稼げるっす。ただ宝箱は浅い層に出ないのである程度の深い層まで行かないといけないんす」
ダンジョンですか…そう言えば行ってませんでしたね。危険な場所と言うイメージがついてしまい、ついつい自分とは無縁な場所だと考えていたからでしょう。しかし、他の冒険者さんたちに迷惑をかけないでしょうか?
「ですが…私が付いて行ってもいいのでしょうか?邪魔ではないかと」
「何を言っているんすか?シズクさんが戦えるのはここに居る全員が知ってるっすよ。それにうちのパーティーは頭で考える人がいないんすよ。みんな考える前に体が動くもんで‥‥だからシズクさんが良ければ何すけど一緒にどうっすか?」
…とんでもない勘違いされている。私は戦えるわけではありません。スキルによってその場しのぎで何とかなっているだけなんですよね。確かにニアとエルゼはある程度は戦えるとは思いますが…肝心の私は防御力ゼロに攻撃力ゼロのお荷物なんです。ですが…断れないですね。こんな真っ直ぐにお願いされるとどうにも断ることが出来ないのですよ。日本人の悪いところ出てますね。
「分かりました。ですが私はダンジョンに行ったこともありませんので素人です。ですので今回のダンジョンで皆さんが得た物を私を入れて分配するような事も私がダンジョンで得たお金などもお渡しします。それでよければダンジョンに同行いたします」
「えぇ!?そ、そんな条件ありすっか?聞いたことないっすけど…シズクさんがそれでいいなら是非付いてきて欲しいっす」
「分かりました。では今日はお願いします」
と言うことで私は生まれて初めてのダンジョンに行くことになった。
読んでくださりありがとうございます。
今回登場したスライム達ですが主人公は他のスライム達も観察しています。ですが入りきらなかったので後日に今まで登場した魔物に関しての詳細な説明などを書いたモノを投稿致します。
気になる方は読んでみてください。
まぁ…特に興味が無い人は物語を楽しんで下されば幸いです。
では次回は主人公のダンジョン内での話です。
最後にブクマ、評価をお願いいたします。
ではまた会いましょう(@^^)/




