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冒険者とは何ぞや?


扉をくぐった後に私は女性の話を聞いた。

そしてある事を知ったのだ。この世界に神がいた事を私は遂に知ってしまった。

神という生き物は人間と同じような姿をしているがその知能や体の構造は人知を超えたモノになっているらしい。目の前の女神は運命を管理する神だと言う。到底信じられる事ではないが今までも信じられない事を見せられているので信じるしかないのだ。女神の話を聞けば聞くほどその生体について興味が出るがそれよりも私は女神が言う異世界に思いを馳せていた。

まだ見ぬ生き物がいて、それを発見出来るのは地球で私だけなのだ。これが興奮しないわけがない。


「と言う事を貴方にお願いしたいのですが受けてくれますか?」

「勿論!そんな事を引き受けない愚か者はいるはずがない。まさか異世界の生き物を記録しろだなんて…そんなのは私にとってはご褒美の様なものですよ」

「そ、そう何ですか?それならよかったです。それで貴方にはその記録の為にあるスキルを渡します」

「スキル…確か異能と呼ばれる力ですね?」

「そうです」

「要りません」

「ハイ?」

「必要ないですよ?そんな摩訶不思議な力は生物観察には必要ないでしょう?」

「いいえ、その記録ですがスキルを使わないと記録できない物になってるのです。ですのでそのスキルを受け取らなければ今回の事は無しと言う事に…」

「要ります!確かによくよく考えてみれば必要なものでした」

「そうですか。それは良かったです。…では貴方にこのスキルを授けます」


そう言って女神の手から出てきた光が私の体の中に入り込むとそのスキルと言う力の情報が頭の中に入って来る。


「なるほど…これ程の膨大な枚数の空白のページだけ記録をしろと言うんですね」

「やめますか?」

「いえいえ、勿論やります。ですが今のままだと達成する前に私が異世界に骨を埋めることになります。何とかなりませんか?」

「安心してください。私の加護によって不老にしておきますので。ついでに体の方も全盛期の頃に戻しておきましょう。神の加護は持つ者に永遠の時を与えます。それは神がその人物を世界にとどめるだけの価値があると言う判断によって与えられるものなのです。それを理解してくださいね?」

「ではこれで心置きなく生物の記録が出来ると言う事ですね?」

「その通りですが不死ではありません。貴方の心臓は一つなのです。死んだら終わりなのは変わりませんのでそこは注意してくださいね?」

「分かりました」

「ではそちらのドアを開けて出て行けば異世界に行けますので…あと教会で私の像の前で祈ればまた会えますので時々進捗を聞かせてください」

「教会ですね?そう言えば名前を聞いていませんでした。私の名前は知っているようでしたので自己紹介は必要ありませんよね?」

「そうね。私はゼイラ。運命神のゼイラです」

「そうですか。では早速ですが仕事に行きますね。異世界の生き物が私を待っているので」

「はぁ…お気を付けて」


そう言って私は異世界の扉を開いた。

眩しい程に照りつける太陽の光は何だか懐かしいようにも感じる。

何処かの道に出たようだが…誰もいないな。

私が記録しろと言われたのは異世界の生き物…確か魔物と呼ばれる生き物だ。

女神から貰ったあのスキル【魔典】には空白のページが沢山ある。


「オープン…本当に出てきた」


目の前に大きな本が現れた。パラパラと捲っていくがどれも白紙のまま。

これを今から自分が埋めるのだと考えるとワクワクする。


「クローズ…消えた」


取り敢えずスキルの効果は分かっている。

と言うか服も体もいつの間にか変わっているな。


身体は若々しいモノになっており、眼鏡を外してもぼやけずに見える。

軽く走ってみるが息切れもしない。完全に全盛期に戻ったようだ。

服装も変わっている。

何かの皮で出来たローブに靴。それと伸縮性のある私の知っているようなシャツにズボン。

それと肩にかかっているこの鞄。あの女神がくれたものだろうか?

私の被っていた帽子は消えてしまったようだ。少しお気に入りだっただけに悲しい。


「さてと…取り敢えず街に向かいましょうか。観察をしたい所ですが女神の言う通り命は一つ。寿命と言う時間の制限もない中で生き急ぐ必要はないですからね」


私は道を真っすぐに進むことにした。

周りには草原が広がる道は近代化が進んでいた地球ではなかなか見ない光景だ。

それなだけに自分が今異世界にいるのだと改めて感じる。

道も舗装などされず土のままであった。アスファルトで舗装されていない道を歩くのは別に珍しくもないが何処か少しだけ嬉しかったりする。知らない国に来たように心が踊っているのが自分でもわかる。


暫く歩いていくと途中で小さな街があるのが遠目でわかる。

家が見えるので少なくとも人がいる事が確定する。

そしてここで疑問なのは言葉が通じるのかだが…もし通じない場合はかなり不味い事になる。


街に着くと人の会話が耳に入って来た。

そしてそれと同時に街の前に掲げられた看板を見る。

『ウォーテル』そう看板には書いてあった。恐らく街の名前だろう。


「最近物騒ね?最近の事だけど近くの村で山賊が出たそうよ?」

「えぇ!?じゃあこの街も危ないのいかしら?」

「冒険者達がいるから多分平気よ。それにこの街には警備隊もいるわ」

「そうね。流石に山賊もこんな田舎の街には用なんてないでしょうし心配するだけ無駄よね」


問題なく聞こえるようだが…どう聞いても日本語なんですが。

女神さまが何かしてくれた?

今度会うときに聞いて見ることにしましょう。

兎に角問題なく読みも聞き取りも出来ることが分かった。最後に会話が可能なのかを調べる必要がありますね。まぁ最悪はジェスチャーで何とかして伝えてみますか。


「すみません…少し良いですか?」

私は先ほど会話をしていた女性の一人に話しかける。


「あら?どうされたのかしら」

「失礼ながらお話しされていたのを少し聞いてしまい、気になる事がありましたので…」

「山賊のことかしら?」

「それもそうですが冒険者と言うものを教えてくれませんか?」


問題なく会話が成立したと思っていたが私が冒険者なるモノについて聞くと急に女性は目を皿にする。何か間違った事を言ったのだろうか?少し不安になりながら女性にどうしたのかと聞く。


「いえ、すいませんね。まさか冒険者を知らない人に会うなんて思いもしなかったので」

「すいません…山村にて住んでいましたので世間の常識には多少疎いのですよ。私は世界を見るために旅をしている途中なのです」

「まぁそうなんですか?冒険者の事について知りたいのならあそこに行ってみるといいですよ」


そう言って女性はある建物を指さす。

その建物は青い屋根が特徴的な石造りの建物であった。


「あれは?」

「冒険者ギルドですよ。あそこに行けば山賊の事も冒険者の事も聞けるのではないでしょうか?」

「そうですか。どうも親切にありがとうございます」

「良いんですよ。それじゃあ旅人さん、良い旅を」


山賊は分かるが会話の話を聞く限り近い場所にいる事が判明している。この街も危ないんじゃないかと思うが今はそんな事よりも冒険者と言うモノについて知りたい。

海外のあの映画のように洞窟を冒険してお宝を見つける人たちの事を言うのか…推測されることはどれもいまいちピンと来ないのですが…聞けばわかるのでしょうか?


私はモヤモヤを抱えたまま冒険者ギルドの門をたたいた。

中に入ると意外と広い空間が広がっている。

奥には掲示板の様なボードに大量の何かが書かれた紙が入りつけられており、その前には何人もの武装をした人が何かを話している。


左側には受付の様なカウンターが用意されており、女性が武装した者達から紙を受け取り、何かをしているのが分かるが詳しい事はよくわからない。

右には上に続く階段と椅子と机があり、小さな話し合いの場の様な空間になっている。

私は話を聞くために空いている受付の女性に話を聞こうとする。


「すみません…少し良いでしょうか?」

「…何でしょうか?」

「私は遠い場所の山村から出てきた田舎者でして…冒険者の事を良く知らないのです。街の人に聞けばここに来れば教えてもらえると教えてもらったので来たのですが」

「なるほど…では私にその説明をしてもらいたいと?」

「可能であればそうして頂ける良いんですが…嫌であれば何かそう言った事を書いてあるマニュアル本などはありませんか?今すぐにでも読んでお返しいたしますので」

「ほ、本をですか?読めるのですか?」


何やら疑うような顔をするが…もしかして今の俺はそこまで馬鹿に見えているのだろうか?

確かに今の私は全盛期の私だ。多少馬鹿に見えていたとしても不思議なことではない事は認めよう。

だが!文字が読めないと思われるまで…そこまで馬鹿に見えるのか?


「いいからあるのなら貸してください!」

「わ、わかりました」


少し馬鹿にされているのかと思い、口調を強めに要求する。そして渡されたのは薄い本だった。

厚さにして子供の読むような絵本とかと同じような厚さだ。

パラパラとページを捲り、重要そうな情報だけを記憶する。


研究者と言うものは数え切れない程の論文、参考書を一日に読む。その為時間が勿体ないと感じていた私は、少しでも早く読もうと意識していた。だからなのかいつの間にか速読と言う特技を身に着けていた。こんな厚みの薄い本など読むのに一分もかからない。


「はい…これはお返しいたします」

「え!?…やっぱり読めなかったのですね?」

「いいえ?普通に読めましたけど?…と言うよりも誤字が多いので多少ですが時間がかかりましたね」

「ご、誤字?どこですか?」

「えっと…例えば6ページにある冒険者のルールについての所です。ほら…ここですよ。あとここも」

「本当だ…し、失礼しました」

「いいえ、お陰で冒険者と言う職業については知ることが出来たので大丈夫です。あと私も登録って出来ますよね?お願いしてもいいですか?」

「分かりました。ではこちらの紙に名前、年齢、希望のクラスを書いてください。そして最後にこの場所に血を一滴お願いします」

「分かりました」


私は自分の名前と年齢を書く。

クラスと言うのは剣士とか魔法使いなどという役割の事をさすらしい。

まぁ私には関係のない事だ。


「書き終わりました」

「確認致します。…この観察者と言うのは?」

「クラスの事ですが?…クラスは希望の役割を書けばいいのですよね?なら私は観察者を希望します」

「何をするクラスなのですか?」

「観察ですが?」

「え?」

「うん?」

「そ、それだけですか?他には?」

「するわけないでしょう?まぁ良いですからこれで登録してくれれば問題ないです。私はチームを組む気は今の所は無いので…ですので貴方が心配しているような事は起きませんよ」


そう言うと嫌々そうに私の書いた紙に判を押し、針を渡される。それを指先にさして血を一滴だけ紙に垂らすと紙が反応を示す。一瞬だが紙が優しい光に包まれたような気がした。


「これが貴方のギルドカードです。身分証にもなりますので失くさないようにお願い致します。また再発行にはお金がかかりますので」

「ありがとうございます」

「私はチームを組むことをお勧めいたします。一人での冒険など無謀としか言いようがありませんので」

「ご忠告どうもありがとうございます。ですが危険な事はしないから心配いらないですよ」

「そうではなく…」

「それでは私はこれで失礼しますね。どうもありがとうございました」

「あっ」


私はそのままギルドを飛び出して早速私は初めての観察へと向かう。


読んでくださりありがとうございます。

タイトル回収出来てねぇぞ?という方もいらっしゃるかと思いますがもう少しお待ち下さい。

それと明日から2回の投稿になりますので読みに来てくださると嬉しいです。




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