8
アレンside
泊まらせてもらって次の日、早速出かけた。
隣にいるのは、エジンだ。着いてきてくれるとのことで。
俺は早速気配を探った。
気配探索。
「こっちから気配がする。さぁ、行こうか。」
「へ?あ、うん。」
それから数分も経てば、すぐに合流出来た。
「ラッセル〜!!」
「ん?なんやこの声…。この声…!アレンか?!」
「後ろにいるよ〜」
「アレンやんかー!!こんなあっさり会えると思ってへんかった!!」
「ん?なんやなんや?探し人見つかったんかいな!」
「え?誰この関西人。」
「なんや?カンサイジン?」
「あ。ラッセル…気にしないで。で、紹介してもらってもいい?」
「そうやったな!こっちの世界でお世話になってるおっちゃんや!」
「おっちゃんはヒノクニのヒガシノ都市出身で18人の子供持ちのギガンティックダディやで!」
「18人って…」
碌でもない人なのはわかった。奥さん大変だな。
絶対…浮…ゲフンゲフン…。
「まぁまぁ!細かいことは気にせんと!おっちゃん!って呼んでな!」
「おっちゃんさん。俺の仲間が大変お世話になりました。」
「おっちゃん!でええんや!」
「は、はい…おっちゃん…。」
無理やり言わされた感が半端ない。
「いやぁ〜ラッセルとカレンちゃんには、俺が殺されそうなところ助けて貰えたからな!」
「え?!」
「アレン…分かっとるやろ?修羅場に出くわしてたんや。」
「な、何となくわかった…。カレンも元気そうでよかった。」
「無事よ。」
「あ、そういえば…俺、挨拶してなかったな。俺の名前はアレン・スコッティ。そして、こちらがエジン。俺がお世話になってる人。」
「ぼ、僕…え、エジンと言います…!よ、宜しくお願いします!」
エジンがちょっとキョドった。うんうん、可愛いなぁ。
俺にも弟がいたらこんな感じだったのかな。
弟なんていても慕ってくれることなんて無いだろうけど。
「ここで立ち話もなんやし、おっちゃんの家に来な!おもてなしするでー!」
そうして、おっちゃんの家に連れて行ってもらった。
おっちゃんの家の内装は暖かい感じだった。
「あら!もう見つかったの?!」
「そうやねん!ねぇさん!」
「それは良かったわね。すぐお茶を出すから待っててね。」
そう言って奥さんかな?とても美人な方が
リビングへ行くよう俺たちを促した。
リビングに行けば子供達がわんさかいた。
「「「「「「「「「「「「あたらしいお兄ちゃんだー!!!」」」」」」」」」」」」
おぉッ…!?
「「「「「「「「お兄ちゃんあそぼ!!」」」」」」」」
可愛い女の子達が駆け寄ってきてくれた。
「俺と遊ぶの?」
「「「「「「「「うん!!」」」」」」」」
「おままごと〜!! 」
「お兄ちゃんがお父さん役!」
「わたしがつまー!!」
「やだ!!わたしも!!」
「わたしのお兄ちゃんだもん!!」
ん?なんだこれ?
「すっごいなぁ〜!一瞬で懐かれてるやんか!大した男やで!俺と同じ素質を───ぐふっ!」
「滅多なこと言わないでちょうだい。」
奥さんから腹に拳を食らっていたおっちゃん。
女性はどの世界でも強いんだなと思った。
お礼はしないといけないし…とりあえずは遊ぶかな。
そうして、俺は可愛い少女達とおままごとをして楽しんだ。
かれこれ2時間ほど。
朝の7時に家を出て、すぐだから今は9時過ぎ。
子供たちは疲れたのか、眠っていた。
あれれ?
「あらあら…。こんなにぐっすりなの初めて見たわ。これなら3時間ぐらいは寝てそうね。家事も捗っちゃうわ。」
「オレでもここまでじゃなかったなぁ…なんでやろ…。」
「いや多分…昼ドラだったから…」
「ヒルドラ?」
「なんでもないよ…」
そう。昼ドラ。
日本の女性達が愛してやまないドロドロした恋愛ドラマ等。
浮気だったり、愛人だったり…愛憎劇である。
俺は精神的にキツかった…。
もう思い出したくないので、あえて口にはしない。
そして、遊んで─子守りしていたことである事に気づいた。
おっちゃんはとんでもなく役に立たないことに。
仕方ない…あの材料で作るか…。
「おねぇさん、部屋借りてもいいですか?」
「えぇ、良いわよ。」
「アレン…まさか!!」
「そのまさかだよ。」
ラッセルが部屋へ案内してくれた。
今部屋にいるのは、ラッセル、俺、おっちゃん、エジンの4人である。
「さてと、昨日買ってきた部品で作ろうかな。」
「あーなんか店員さんに言ってやつだよね?!」
「そうそう。」
床に必要な部品を全て取りだした。
布とか機械的部品様々。
さぁーてと何にしようかな。
家事スキル子守りスキル言語スキル付与!合成!!
「まぶし…!」
「な、なんやこの眩しい…のはっ!!」
「見えない!!」
「これはまさか!!あれやん!」
出来上がったのは。
人型ロボット。
俺は彼の手を握る。
「起動シマス。」
見た目は王子のようなアンドロイドだ。
金髪に青い瞳に、優しそうな表情。まさに青年になる手前。
服もそんな感じ。青を基調としている。
────────────────────────
プリンスアンドロイド [レア度]測定不能
見た目は王子のようなアンドロイド。
家事はお手の物。又、子守りも得意である。
共に暮らしていく事で学習する。
設定する事で、兄弟として過ごさせることも可能。
子供達の成長に合わせて、体も成長する。
暴走することは無いが、万が一のために合言葉を
決めておくといい。
───────────────────────
「合言葉ね…」
「アイコトバはナニニシマスカ?」
「そうやなぁ…やっぱりあれや!愛してる!」
おっちゃんが堂々と叫んだ。
「カシコマリマシタ。アイシテル認識中…。」
「ぇぇぇ…マジでぇ…」
「はははは!!ええやんええやん!」
「認識完了イタシマシタ。主、ボクのなまえを。」
「そうだなぁ…。ダイヤにしよう。」
「なんでダイヤ?」
「4月の誕生石を取りました。石言葉に、「清浄無垢」「永遠の愛」「不屈」「純愛」って言葉があるので。この家庭で楽しく愛に包まれて過ごして貰えたらなぁって。」
「マスターありがとうございます。」
「あ、言葉ちゃんと喋れるんだね。」
「ハイ。」
「あ、そうでもない?」
「たまに、カタコトになりますね。」
「よし、君を紹介しないと。奥さんにね。」
「ハイ。」
「おっちゃんに…また息子ができるなんて!これは報告せなあかんわ!!」
おっちゃんは、嬉しそうにスキップして
奥さんのところへ行った。
エジンはダイヤに釘付けだった。
「凄いすごいすごいいいいぃぃぃぃぃ!!あの部品からこんな立派な人形ロボットができるなんて!」
エジンはダイヤの至る所を触りまくっている。
「流石!アレンやな!」
「ふふん♪」
実はもう一体分の部品も持ち物に入っているのはここだけの話。
「呼んできたでー!!」
「あら?どなた?」
「初めましてお母様…。僕は、ダイヤと申します。」
「あらあら…ご挨拶も出来ていい子ね。」
ヨシヨシとダイヤの頭を撫でるおねぇさん。
ダイヤは嬉しそうに笑った。
拒絶されるのが怖かったけど、受け入れて貰えたようだ。
「私の夫はクソ最低な男だけど、子供達はとてもいい子だからダイヤ…貴方が見本になってあげてくれる?兄として。」
「はい!」
「ふふ…なら一緒に家事をしましょうか。」
「はい!お母様!」
なんだか…仲睦まじい親子になった…一瞬だったな。
でも良かった!
恩返しは出来たかな??
ダイヤは家事も簡単にこなすのでおねぇさんは驚いていた。
ダイヤに関して色々伝えておいた。
すごく感謝された。
高価なものなのに本当にいいの?と言われたけど、助けてくれたお礼だからと
言ってラッセルとカレン、エジンを連れて今度は
コウとネロに会いに行こうと家をあとにした。
─────
───
──
家を出て、数十分ほど歩いていたら…
小さな女の子が、お腹を好かせていた。
「お腹すいたよぉ…守鬼…食べていい?」
守鬼ってなんだろ?あの仮面とか?
「あのー」
「なぁに?お兄さん」
「お腹すいてるなら、ご馳走しようか?」
「え?ほんと?!わーい!!」
「アレン、ほんとにええんか…?」
「うんいいよ。一人増えたところでだし?」
「俺朝食べてないからお腹空いたんだよね。」
クラーガーさんの家で作り置きはしておいたけどね。
「分かった。行くで!」
そうして、飲食店へと向かった。
そして、彼女…マシュリーは大食いだった。
いやいいんだけどね?
「モグモグモグモグ…!!ゴクン!おかわり!」
「すっごい…食べるやん…」
「凄い食欲ね…」
「僕…胸焼けしそう…。」
「はは!ギャル○○みたいだなぁ…いい食べっぷり。マシュリーゆっくり食べなよ。」
コクコクと頷きながらも、一向に速さは衰えない。
それから、1時間が経った。
「げぷっ…」
「食べ過ぎやろ?!」
「まぁまぁ、あれがどっかに消化されるんだよな。凄いや。」
「アレン?!なんでそんな感心してんねん!しかもや!お金!」
「あー?お金?お金なら大丈夫大丈夫〜」
「アレン…ほんと規格外やで…。」
「知ってる。」
そうしてお代は5万程。
結構食べてたからね。
それから、マシュリーと話してて気づいたことがある。
あの男だ。俺の顔を見た途端、殺意を向けてきた男。
マシュリーは俺が見た彼と似た特徴の彼を話に挙げた。
色々彼について聞いてみたけど…
彼の事をマシュリーは王子様というので
本当の名前は分からない。
そして、お店を出て…数分も経たないうちにマシュリーはどこかへ行った。
「あれ?あの子おらんやん!」
「どっか行ったんでしょ。さ、コウとネロに会いに行こう。」
「ええ、そうね。」
そうして歩いていれば…殺気がした。もしや…
停止!
あぁもう…ほんと嫌だな。
俺は敵意なんてないのに。あ、そうだ。
憤怒殺意消失!
そう唱えてから振り返った。
「なんでバレてんのかなぁ…?」
「うわっ!なんちゅー男前や!」
「おっちゃん…わかったから…ちょっと黙っててくれへん?」
「なんで、そんな冷たいこと言うんや〜ラッセル〜!」
「あー!暑苦しいで?!」
「おい…テメェ!俺に何かしやがったな?!」
「あー効果出てるんだ。良かった〜」
良かった良かった〜でもただの時間稼ぎに過ぎない。
「まぁ…とりあえずは仲良くしようよ?」
「あぁ……」
静かな返事が聞こえた。