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星の子ポンタ  作者: 鴨川京介
33/45

33.家族会議

 マローンは先日の王国からの書簡を対応してくれていた。

 返還されたものの中にはあの六芒星の半箱も入っていた。

 星野家が所有していたものはそのままじいちゃんが保管してくれている。

 俺はこれらの箱も解析して、ゼクウ王家の半箱を再現している。

 じいちゃんが持っているものは半箱ではない。

 新しいもう半分がついているものになっている。

 現在そこには元から六芒星の箱に入っていたものをすべて保管している。

 これは代々の家宝にするつもりだ。


 マローンは少し顔色が悪いようだ。

 俺は最近源蔵さんのところで開発された健康ドリンクをマローンにも勧めて一緒に飲んだ。

 これは魔力の回復と体調の復調をメインに作られたもので、結構よく効く。

 おかげで疲れ知らずだが、これは効果が大きすぎるので、市販のものは効能をかなり落としたものにするそうだ。現在複数の薬と共に臨床試験などを行っている最中だそうだ。


 顔色が少し戻ったマローンは話し出した。


「トモロウ。お前に頼まれていた王国からの魔道具や書籍の返還は無事済んだ。」

「ありがとう。助かったよ。」

「うん。それでな。」

「ん?」

「今、タクマ王がトモロウに謁見したいとメライトの領都まで来ている。」

「え?」

「こっちもいきなり来られたんで、対処だけで大わらわだ。今は先代に応対してもらっている。」

「うん。なるほど。だから今日来た時に顔が青かったんだな。で、王家の目的は?」

「やはり先日の手紙に書いてあったように日本国との国交樹立らしい。」

「なるほど。しかし、そこまでゼクウ王国にメリットはないと思うんだが。」

「うん。それが、どこからか王の耳にメライト領で行っている魔法教室の話が入ったようでな。そのマンガ本を見せてほしいということらしい。」

「…」

「そして、それらを紐解いたであろうトモロウにぜひ会いたいということで、はるばる来たそうだ。」

「…」

「騎士団500人を携えて。」

「え?」

 俺はあきれ返った。あの王様は俺とけんかするつもりで来たのか?

「いやいや、トモロウが考えているようなゼクウ王国がトモロウに戦争を仕掛けようとしているのではない。むしろ国王は少数でお忍びで来たかったようなんだが、周りの貴族たちが心配して、王家派の貴族がそれぞれ10名ずつ騎士を出して、これほどの数になっているらしい。」

「…」

「どうにかならんか、トモロウ。」

「う~ん。あの時は俺の方からわざわざ向こうに行ったのに失礼な対応をしたから揉めたんだよね。それでそのあと、家宝の箱からゼクウ王国の成り立ちがすべてわかったから、「なんだ、こいつら。偉そうにしていながらも、自分たちが国を興したんじゃなくて、ゼクウさんが起こした国をそのままもらっただけじゃないか。」と思ったら、そんなに国交をつなげることに意味を感じなくなったんだよ。ただ、問題は日本の皇室が、国交を結びたがってるのは事実なんだ。本来はメライト領と日本国が交流を深めるというのが筋だと思うんだよ。なぜなら、朝峰家の初代がお世話になったのはゼクウ王家ではなくて、メライト家なんだから。だから俺はメライト家には全面的に協力してるんだ。」

 俺はそこで、困った顔をしているマローンを見つめた。


「マローンはゼクウ王国を見限って、独立する気はないのか?」

 俺は単刀直入に聞いた。


「実はあの王家での一件の後は、そのことを真剣に親父とも話し合ったんだ。しかし、あの時はまだその時期じゃない。もっとメライト家が強くあらねばと日本の施策などの資料も勉強させてもらって、メライト領全体の底上げを行っている最中なんだ。」

「それの一環があのマンガ本だよな。」

「そうなんだ。おそらくだが…。」

「ん?なんだ?」


「恐らく、王国はトモロウを含めた日本に見限られることが怖いんじゃないだろうか?初代が起こした国ではあるが、その大半は異邦人がやってくれたということは王家にも伝わっているはずだからな。それに、近隣諸国との不具合もいまだ改善されていない。極端に言うと、いつ攻め込まれてくるかわからない状態なんだ。タクマ王の呼びかけを断ることはできるかもしれんが、そのあとに起こる戦争で、たくさんの民が死ぬことが俺には耐えられんのだ。」

「なるほどね。先代たちの付けを払わなきゃいけなくなってるってことだな。どういう着地点を考えてる?」

「いや、全然見えてないんだよ。断るにしても王権に逆らうということは国からは反逆者として扱われる末路は見えている。今はまだ時期尚早だと思う。」

「う~~ん…」

 俺はしばらく考えてみた。


「どれぐらい時間稼ぎはできそうだ?」

「恐らく2週間ほどが限度だと思う。」

 俺は意を決した。


「わかった。俺は一度皇室に行って事情を話してこようと思う。その上で、アメリカにでも行って銃器を仕入れておけば、戦争になっても負けはしないと思う。問題は国交が結ばれるとして、その主導権を皇室やゼクウ王家に渡したくないんだよな。これは是空の子孫として、思っていることだ。」

「すまんな。苦労を掛ける。」

「何言ってんだ。お前はもう俺たちの家族なんだ。心配するな。まあ、2週間待たせるためにも一度俺がそっちに行って会うよ。それでタクマ王の真意を聞くのと、今のゼクウ王家がどういう存在なのかを改めて認識してもらうつもりだ。そこで合意できれば俺は皇室に言って話をつけてくるよ。」

 と俺は言ってマローンを送り出した。

 俺は明日の朝そちらに行って国王と会うからその段取りをしておいてほしいと頼んだ。


 マローンが去ってから、星野家と朝峰家の面々を集めて家族会議を行った。

 場所はまた源蔵さんの元の家だ。


「実はゼクウ王家から、俺に対しての謁見申し込みがあった。国王は現在メライト領に500人の騎士を連れてきているそうだ。明日、一度俺は会いに行ってみようと考えている。しかし、俺はあまり日本国とゼクウ王国が国交を結ぶのには消極的なんだ。日本側が受けるメリットがないからね。それから、朝峰家の初代がお世話になったのはあくまでメライト家であって、ゼクウ王家ではないんだよ。これはその薬で恩がある皇室についても同じことが言えるんだ。だから、メライトの発展のために寄与することは皇室のためにも、朝峰家のためにもいいことだとは思っている。俺が問題に思っていることを整理してみるね。」

 俺は大広間に設置した舞台の上で、ホワイトボードに書き出していった。


 1.当初こちらから挨拶に伺ったが、いきなり切りつけられ、星野家の家族、メライト家の家族の命を危険にさらした。


 2.この際、現国王はその計画を事前に知っていたが、どさくさに紛れて国王を打つことしかせず、俺たちの家族を危険にさらしている。


 3.皇室、朝峰家が恩を感じるのは薬の調合方法を伝授し、皇室に届ける薬を提供してくれたメライト家であり、ゼクウ王国はこの件に関与していない。これは朝峰神社の古文書で確認が取れている。


 4.朝峰家に異世界渡りの方法を教えたのは星家の人間だ。つまり、星野家の先祖にあたる。


 5.ゼクウ王国は星野家の先祖、星是空という僧侶が向こうにわたり、魔物から人々を守ることで、そこが国になったという経緯がある。なぜ初めにゼクウが向こう側に渡れたかは不明。是空日記にもいつの間にか渡っていたという記述が残るのみ。


 6.しかし、ゼクウ本人は魔法や魔術を研究して、無事に日本に帰還している。このことはゼクウ王家の秘宝と同じものが星野家にも保管されていたことからもわかる。


 これぐらいだろうか。


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