イレブン
「おーいそろそろつくぞー!」
ラルクと船に備え付けられていたチェスをして遊んでいたらグルニカが大声で叫び始める。
俺が起きてからは海賊の出現や襲撃は起きなかった。因みに、昨日の生存者は数人ほどいたらしく、そいつらは海賊に囚われていた人たちだったらしい。海賊どもが保護されていたら取り敢えず、強制労働確定だしな。
「にしても、強いな……。流石、その歳で商会を立ち上げて急成長しているだけの事はあり、頭が良いな」
「生まれつき頭が良いからな。それに、親父はそれなりの資産家だし、そのバックアップがあったからな」
「へぇ、やっぱり良いところのお坊ちゃんだったのか?」
「まあな。ま、基本的に家に帰らずに放浪しているけどな」
「……それ、大丈夫なのか?」
「今回はな」
基本的に親父は放任主義だしな。実績さえ出てればそれで問題ないらしい。ただし、すぐには助けにいけないとは口を酸っぱくして言われてたけどな。
「……お、停まったな。それじゃあ、俺はこれで」
「おう。お前とはまた何処かで会いそうだ」
「ああ」
ラルクと力強く握手を交わして互いの手を叩きあい部屋を出る。
あいつらは……多分、もう降り始めているだろうな。
「……遅い」
『遅いです』
「悪い悪い。それじゃあ、始めるか」
船から降りてすぐの倉庫の前で待っていた二人と合流し、俺らは市内に入っていく。
「さて……」
適当な二流の宿にチェックインし、二人におこずかいを渡して俺は市内を歩いていく。
二人とも俺に気を遣わずにのんびりとしておいて貰いたい。人拐いのような邪な気配にリリンはとても敏感だし、闘うことは無理でも身の危険から避ける事は可能だろう。
「……お久しぶりです、ツクモ様」
「久しいぶりだな、イレブン」
少し脇道に逸れて入っていくと、黒ずくめの男たちを気絶させた男物の礼服を着たタウロクロノ族の女性がたっていた。
イレブンは俺の商会の中でも特殊な立ち位置で、基本的に放浪している。無論、情報を入手するためである。そのため、イレブンがこの町に来ていた事は少し驚きだ。
イレブンも、パォンデロー公爵のきな臭さを嗅ぎ付けていたのか。
「そいつらは?」
「密偵でございます。私を拘束し、商品の隠し場所を吐かせるつもりだったようです」
「……どう言うことだ」
イレブンは元暗殺者たちの中でも秘密主義的なところがあり、集団行動を得意としていない。そのため、俺でも知らない事が多いのだ。
「実は、この街から売られた商品、その数名を強奪してしまいまして……」
「それで、そいつらは」
「サード様に頼み、サリウルの秘境に住まわせております。面倒見のよいニサンやトゥトゥ、クイチ、ハヨン、ゴンサに任せたました」
「そいつらは確か、ハニートラップを専門とした元暗殺者だったな。……と言うことは、子供か?」
「はい」
あぁ……そう言えば、イレブンは大の子供好きで、子供が犯罪に巻き込まれたり仕事の対象だった場合、仕事を放棄して助けたり依頼者を殺すことも多々ある問題のある暗殺者だったらしい。
十一番から三十九番台の暗殺者は優秀だが色々と一癖も二癖もある暗殺者が多いのだ。何故、それ以下の人たちの方が普通な性格をしているのだろうか……それだけ仕事に情熱を持っている、と言うことか?
「子供はヒューマン五人、ドワーフ三人、エルフ二人、ビースター八人、全員六歳から八歳までの子供でショ……男の子が六人、ロ……女の子が十三人です」
「今、ショタとロリって言おうとしたよな……?まあ、それはどうでも良い。何故、レクス大陸の子供が?」
「どうやら、嗜好品としてこちらに密輸入され、高値で売られているそうです。ツクモ様は何故この地に?」
「俺にヒューマンやビースターの暗殺者を送られた。そしてブリスト、リリン、が元はここから売られた奴隷だったからだ」
「……取り敢えず、今は情報交換を行いましょう」
「ああ」
俺とイレブンは脇道からでて表通りを歩いていく。
……何だろう。たまにイレブンから性的な目で見られているような気がするが……気のせいか?
(可愛い!可愛すぎるぅぅぅぅぅぅぅ!抱き着きたい抱き締めたい抱き上げたい!その豪華不遜の態度も見上げる力強い瞳も、何もかも可愛すぎるよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!)
………気のせいだ、うん。気のせいと言うことにしておこう。




