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少女との再会

「さて……」

俺は城門がよく見える空き部屋から城門を見下ろす。

今日はウィルベガトリ族の使節たちがやって来る日だ。俺は、邪魔に親父らの邪魔にならないように隠れながら観察する事にしたのだ。

(ミュウのやつは元気にしているのだろうか)

俺は友人である白翼の少女の事を考える。

あいつもこっちに来ると行っていたから部屋に飾っていた羽根を今は式典用の礼服の胸ポケットに入れている。

「全く……簡易的な服で良いのに……」

ブリストが『全く会うこと無いとは思いますが、万が一に備えて礼服を着ていた方が良い』と言って礼服である黒いスーツを持ってきたのだ。

それも一理あると考えて着たのだが……やっぱり、動きにくい。もしもの時に備えて戦闘に移行するのに僅かにラグが起きてしまう。

「お、きたきた」

服装に対して批判していたが、城門が開いたので思考を切り替える。

さて、どんな感じなのだろうか。

「おお……これはまた……」

入ってきた使節団の姿を見て感嘆の言葉を呟く。

白馬が引く荷台は白を基調としており、金や銀などの装飾が施され、全体的に引き締まった感じがする。また、その側で歩いている護衛たちは防具と言うよりもローブのような動きにくそうな服装をしている。

また、優しげだがどこか気品を感じる美しい女性が手を振っているのを見て城勤めの兵士たちが目をハートにして喜んでいる。

「あの女性……ミュウに似ているな」

見た目も雰囲気も全く違うのに……どこかミュウと良く似ている。ミュウと同じ家の人間なのだろうか。

「っ!」

何かに気づいたような挙動をした女性がこちらを向いて手を振ってきたためこちらも平静を保ちながら笑顔で手を振る。

俺がここから見ている事に気がついたと言うのか……?だが、あの挙動は少し違和感を感じるな……。

「まあ、気のせいだろ」

違和感を押し潰し、使節団が城内に入ったのを確認して部屋を出る。

俺の方に来ることは無いだろうし、暇潰しに書庫にでも行って本を読んでいようかな。

「ツックー!」

「へぶらっ!?」

通路を歩いていたら突然背後からタックルをくらい床を転がる。

いきなり何だ!?それに、この声……まさか……!

「ミュウ!?」

「久しぶり、ツックー!」

俺の上に満面の笑みで笑うミュウが乗っかっている。

バカな、城内はそれなりに複雑なのにどうやって来たんだ!?それに、使節団はどうなっているんだ!?

「ミュウ……使節団はどうした……」

「何か堅苦しかったから透明化して抜け出して来ちゃった。それに、魔王と会うのはお姉様だけだから私がいなくても大丈夫なの」

「なら、どうやって俺の居場所が分かった……」

「別れるときに渡した羽根は霊的には繋がっているの。だからツックーが持っていればツックーがどこにいるか分かるの!」

俺の問いに笑顔で答えるミュウに頭が痛くなる。

ミュウが俺と同じように堅苦しい事を嫌っていたのは知っているが……まさか、このタイミングで抜け出すとは思っていなかった。親父には後でちゃんと説明するか。

てか、あの羽根にはそんな理由があったのかよ……。

「……あれ?ツックー見た目と雰囲気、少し変わった?」

「見た目は何故か変わってしまったが、雰囲気も変わったのか?」

「うん、前よりも鋭いくてチクチクするけど、それ以上暖かくて心地よい雰囲気だよ」

「そうなのかな」

ミュウが翼を羽ばたかせ、顔を俺の首もとに近づけて鼻をひくひくと動かす。

そんなものだろうか……。てか、顔が近い。そろそろ退いて貰わないと誰かに見つかったら色々と問題に成りそうな気がする。

「……ツクモ様」

あ、誰かに見られた。

「ん?どうかしたのかブリ、ス、ト……」

ブリストの声が聞こえて声がする方を向くと、タオルを持って笑顔なのだが黒いオーラが見える程の邪悪な気配を体から発していた。

あ、これはまずい。多分どころか絶対にガチギレしているじゃねぇか。何とか弁明しないと。

「そちらのお方は誰ですか?」

「こいつは」

「ミュウはミュウ!ミュウ・シュトロム。よろしくね、ブリストちゃん」

「え、あ、はい!よろしくお願いします……」

俺の言葉を遮ってミュウが自己紹介し、予想だにしない行動でブリストの毒気が抜けてしまう。

普通に自己紹介するのかよ……。いや、ミュウの性格的にあり得なくもないのだが……。

「私はブリスト。ツクモ様の従者です」

「何歳なの?」

「えっと……九歳ですね。ツクモ様より二歳年上です」

「じゃあ、私もツックーと同い年だからブリストお姉さまだね」

「い、いえ!私はそんな大層な」

「おーい、そろそろいいかー?」

二人が仲良く会話しているところに俺が横槍をいれる。

「退いてくれね?起き上がれない」

「あ、ごめんなさい」

「分かってくれたのならいい」

今の状況に気づいたブリストが慌てて俺の上から退くと謝罪する。

全く……人の上に座っているのに仲良く話し始めないでくれ……。てか、もう少し歳が高かったら完全にアウトだった気がする。最も、そう言った知識は子供の作り方程度しか知らないけど。

「それで、ブリストは俺に何か用か?」

「あ、はい。ギャラハッド様が練習場に来てもらいたいと」

服についた汚れを払いながら起き上がり、ブリストに用件を聞き出す。

ギャラハッド……あいつが俺を呼び出すだと?あの騎士団長のことだ、何かしら理由があるのかな?

「何故だ?」

「会わせたい人がいるとしか聞いておりません」

「……分かった。ブリストはミュウに城内を案内してくれ」

「畏まりました。行きましょう、ミュウ様」

「うん、ブリストお姉さま」

頭を掻きながら俺はブリストに命令してミュウと一緒に城内の案内をさせるのを見届けた後、練習場に向けて歩き出す。

それにしても、会わせたい人物とは一体誰なんだ?ギャラハッドは政治には関わらないスタンスの人間だ。そんな人間が普通の貴族を紹介するわけがないし……やはり、兵士関係か?ちゃんと聞かないとな。

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