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商会の発展

「失礼する」

「うん、入っていいよ」

俺は扉をノックしてから扉を開けて中に入ると、白いポンチョのような服を着たサードが様々な和紙とにらめっこしていた。

盗賊たちと被害者たちを衛兵に届けた後城下町に戻ってきて俺はアリエス商会に向かった。

「それで、私に何のようでしょうか」

「この宝石を知っているか?」

本当の表情が読めない笑みを浮かべるサードに俺は懐からニルトから貰った宝石を手渡す。

こいつは表も裏にも明るい。これの正体くらい分かっていてもおかしくない。

「ウィルベガトリ族の宝石……その中でも最高級のものですね。これをどこで」

「ニルトと言う商人から貰った」

「ニルト……サリウル国一、二を争うアッカイヤ商会の代表ですね。あそこは向こうでも珍しいウィルベガトリ族と交易を行っている商会でしてそろそろこちらから接触したいと思っていたところです。これなら、こちらにとって好条件な商談が出来そうです」

「……そうか」

ペラペラと饒舌で話すサードに向けて僅かに殺気を向けると今までのニヤついた顔から表情が失せる。

こっちが舐められても困るし、そろそろ本題に入ってもらわないとな。

「……そして、これは普通の交易品とは違いまして親書のような変わりになるものです」

「親書?」

「ええ、この紋様は向こうの王族の紋様です。これが刻まれた宝石を他国の王族に渡す事で『どれだけ友好的に接していきたいか』を表すのです」

「その尺度は?」

「確か宝石の種類で決まると聞いたことがありますね。色が白に近づけば近づく程親しくしたいと言う事になります」

この宝石が親書。あのニルトと言う男は言うなれば、ウィルベガトリ族の使者のような役割を与えられていたのか。

「そしてこの宝石の色は『白』ですね。向こうの国では最も尊く聖なる色としている色ですね」

「その答えは?」

「……分かりませんね」

「分からないだと?」

「ええ、分かりません。最上級の親書であることは分かるのですが……それ以外はさっぱり」

情報通のサードでも分からないとなるとこの宝石はかなりの例外中の例外と言えるだろう。

そんな物を一応王族である俺に渡す……。普通ではないな。

「とりあえず、これは王に渡した方が良いものかと」

「……分かった」

宝石を返され、俺は袋に宝石をしまう。

さて、用事もすんだし城に戻るか。

「……と、そうだ。商会の方はどうなっている」

「かなり好調ですよ。物の運搬次いでに人の運搬を行ったりしてそれなりに稼いでいます。それと、馬車に振動が殆んどなくて好評ですよ」

「そうなのか」

整備されていない道を通る訳だから荷物がずれて落ちたりした困るから俺の知識にあったサスペンションを作って馬車に取り付けただけなんだが……。

「ええ。あれなら馬車に乗った際の疲労もかなり軽減されるでしょうからね。無論、その技術は私たちが独占していますが」

「ああ、それと食堂の方はどうなっている」

「そっちも好評ですよ。普通では食べれないような食べ物が食べれる訳ですから。あ、それと料理本が平民たちによく買われてますね」

「狙い通りの結果だ」

俺とサードは互いに笑いながら成果について語り合う。

三年間の内にアリエス商会は大きく成長した。

チェスやトランプを初めとする遊びから宝石などの高級品、俺が発案して作り上げた着物は町でブームとなり、この町にオープンさせたアリエス食堂は平民たちにとって憩いになっている。

今や、アリエス商会はこの町において新進気鋭の商会になっているのだ。

「ただ、幾つかの弊害も起きていますね」

「と、言うと?」

「やはり、貴族たちですね」

「……あいつらか」

俺とサードは額に手を当てて呆れてしまう。

貴族どもは平民が自分達の知らない商品を買ったりするとそれ理由にいちゃもんをつけてくるのだ。あんな派手な服を平民に売るな、とかあんなにも美味な物を平民に与えるな、とか事例を挙げたらキリがない。酷いときだと賄賂をせびってくる時もあるらしくたまったもんじゃない。

一応王族である俺の商会で賄賂を渡そうものなら……即刻捕まえる。

「それと、他の商会も問題ですね」

「あーまあ、それは仕方ない」

わずか三年で頭角を表したこの商会を妬む人間は多いと言う事か。

この商会で働いている人間の約九割……と言うか貴族たちを相手にしている奴ら以外の殆んどは元スラムの人間なのだ。金にがめつい彼らのために給料は他の商会よりも高く、人数も多いため多角的に事業を行えている。そのため、他の商会から良くは見られないのだ。何せ、新参者が自分達の領域に殴り込みを仕掛けてきたような感じだしな。

因みに、殆んどの奴らは下部の仕事。染め物や紙作りなどの工場勤めから、木こりなどの農家をしている者もいる。未開の地が結構あったから親父が補助をだし始めたからそれに乗じて下部の仕事にまわせれた。

親父、グッジョブ。

「経営や人事は元暗殺者ギルドの人間を使っているし、不正はなく公平なはずだよ」

「あいつら、優秀だな」

「優秀でなければ暗殺者は勤まりまらないでしょうからね」

暗殺のために努力を惜しまない……と言うことなのか?その努力を他の道に使え……て言うのは酷な話しだよな。

「それと、見習いたちはどうなっている」

「皆さんとても優秀ですよ。学校にも通えて友達もできているそうですよ」

「俺も、行きたかったな……」

「貴族たちの問題も面倒くさそうですね」

暗い雰囲気に沈む俺を慰めるようにサードが頭を撫でる。

全く、あの貴族たちは面倒くさすぎて相手にするのも個人的には嫌なんだよな。けど、あいつらと関わらないといけないから厄介なんだよな。

「そうだよなー……と、長居しすぎた。そろそろ俺は帰らせてもらう」

「ええ、また来てくださいな」

「ああ」

壁に立て掛けてある時計を見て俺は部屋を出る。

取り敢えず、この宝石を親父に渡すか。仕事は速い方が良いだろうからな。

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