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御神たち

「えっと三番目……三番目……と、あったな」

書庫の奥にある本棚の三列目にある本を手に取り、机まで持っていく。

母上がここに来て本を読んでいた際に御神の伝承を多く取り揃えている棚と語っていた。それなら、俺の身体に起きた変化について書かれている書物も可能性は低いとしても何か書かれているかもしれない。

【御神伝承の考察】

お、この本は伝承を取り揃えるだけでなく考察までしているのか。えっと著者はアルター・オリボーレン。貴族の名前のようだが、知らない名前だ。古い本だし取り潰された貴族なのだろう。

「えっと、何々……?」

椅子に座り、分厚い本を読み始める。

うわ、字きったな!?読みにくいことこの上ない。これ、絶対に個人的に読むためのものだろ。

『御神の伝承は様々な地域で変わってくる。

ドラゴンは暴れん坊で傲慢であれば間抜けなところがあり失敗で土地を歪めたり人を殺してしまった伝承が他の御神よりも多い。このような伝承のため戦いの神として崇められている。

ダゴは物造りや悪戯、人と恋をする伝承が多い。そして子沢山の御神でもあり、子供の守護する神や造船、船の神として崇められている。

エンティは旅人を盗賊から護り、兵士たちに戦術を指南することもあったとされていて、兵士の神として崇められている。

ベガスは狩人としての側面と知識人としての側面があり、新米の狩人に狩りの技術を教えたり一緒に食事を取ったりすることもあった。また、とても優しい神でもあったが怒ると怖い神であり、悪戯好きなダゴな悪行ばかりのドラゴンを叱ることもあった。

タウレスは農耕や酪農の神として知られており、また御神の中でも温厚な神で裏切りや子供達からの悪戯でも一度も怒ったことがない』

どの神も人間臭い神だとは思っていたが人と接している伝承が俺が思っている以上に多いな。日本神話含む、多くの神々でも人と接する事は少なからずあったが、それはあくまで神と人として接している。だが、御神たちはまるで人と人が接しているような気楽さがある。

『神に等しき力を持ちながら、人間のような失敗談や成功談、人と恋に落ちる伝承が残されており、私は一つの仮説に至った。

―――――御神と呼ばれる存在は、変異した人間(・・・・・・)なのではないかと(・・・・・・・・)

変異した人間だと……?

確かに、突然変異では親とは全く違う特性を持つことはある。

だが、いくら突然変異でも種としてはヒト科である以上、尻尾はともかく、翼や角、手の甲の結晶はどうなるんだよ。

『確かに、突然変異だと説明つかない部分も大きい。だが、そこに原種たちの因子を取り込んだ場合別となる』

原種……?また妙なワードが出てきたな。

『原種とは■■■■■■■■■■■、御神たちはそのものたちと交わった結果、産まれたと考えられる』

原種の名前だけインクで塗りつぶされてる。つまり、知ってはならない情報。気になるが、深く考えてはならない情報なのだろう。

『また、御神たちは■■■■■■■■■■■を非常に憎んでいたという伝承も残っている。そこについても知らなければならない』

原種たちを御神たちは憎んでいた……?いや、一応親である原種を憎むなんて、何か大きな事でも起きたのだろうか。

『それについて語られている伝承は殆んど存在しない。時代の流れと共に失われたのか、意図して失わせた(・・・・・・・)のかは定かではないが、私はこれらの仮説を立てるために重要になってくるものが……遺跡にあると考えている』

遺跡……。書庫の隠し部屋にも遺跡の絵が多く描かれていたが、この書庫にはさの遺跡についての本が何一つとして無かったと記憶しているが、その遺跡とは一体何だ?

『遺跡とは■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■』

完全に塗りつぶされてる。この情報こそ知ってはならない情報なのだろう。

だが、収穫はあった。俺のこの体質に近しいものを御神たちが持っていたと言う事実だ。だが、あのちっさい何かの情報は書かれていなかったな。

「さて、そろそろ出るか」

俺は本を元の場所に戻して書庫から出るのだった。

「……………………」

キィ……

中にいた存在に気がつかず。

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