強制命令
「……ここは……」
「ツクモ様!!」
「ツクモ!」
「……アリエス、目が覚めた」
俺が瞼を開けた瞬間、ブリスト、親父、リリンの安堵した表情が目に写る。
……体が鉛のように重い。強引に法術もどきを使ったからまだ身体に疲れのようなものが残っているのか……。
「良かった……本当に、良かった……」
「……うん。良かったね、ブリストちゃん」
「うん……!」
「ツクモ、起きれるか?」
「……一応な」
ブリストは涙を流して喜び、リリンがブリストの身体を抱き抱え、俺は重たい身体を起こす。
この疲労感から考えて数日は歩くのにかなりの労力が必要となるだろうな……。だが、法術もどきを使うためのエネルギーは完全に充填されている。
無論、使うつもりはないが。
「……え?」
「……どうかしたの、ブリストちゃん」
「う、うん……。ツクモ様、その瞳はどうしたのですか?」
「瞳?」
「……ちょっと待ってね」
謎の指摘をするブリストに違和感を感じているとリリンが手鏡を持ってきた。
「……これで見て」
「ああ……。て、何だこれ」
手鏡を見た俺は己の変化を実感する。
俺の右目は氷のような白に近い水色に変色し、左目は血のような濃い紅色に変色していた。また、手を見ると右手の指先の鱗が雪のような白色に変わり、左手の指先の鱗も朱色に変色していた。
これがアカシックレコードが言っていた第二段階の事か……?
「まるでドラゴンのようだな」
「……ドラゴンのよう?どういうことだ、親父」
「そ、それは……」
俺の姿に何かを重ねた親父に俺は質問するが親父は歯切れの悪い返ししかしなかった。
何か隠しているようだが……今は気にするときではないな。
「ブリスト、リリン、すまない。もう少し眠らせてくれ」
「分かりました」
「……うん」
「親父は仕事に戻れ」
「う、うむ……」
ブリストたちを外に出した後、俺はベッドに倒れこむ。
まだ起きるのは難しそうだ。……それにしても、第二段階に進化したと言っていたが、何か肉体に大きな変化でもあったのだろうか。
「……うん?」
天井を見上げていると天井の近くにふよふよとした動きをする虫ぐらいの大きさの珍妙な生命体が浮いていた。
うーん、見た感じクリオネに蛍光色の黄色を入れたような感じだな。
「……何かいるな」
身体を起こして部屋を見てみると様々な場所に珍妙な生命体がいた。
小人のような生命体に上のやつに近い生命体……様々な形の生命体が部屋中で走り回ったりしていて、何て言うか目障りだ。見ていると無性に不機嫌になってくる。
「『失せろ』」
『『『『『!!』』』』』
俺が命令を口ずさんだ瞬間、珍妙な生命体が開けていた窓から外に出ていってしまった。
まったく……あれは何だったんだ?親父らの反応からして俺しか見えていなかったようだが……。そういえば、俺の強めの命令に親父やあれらは何故か逆らわなかったな。……この命令は生命体を強制的に従わせる事ができるのかもな。
(ま、今は寝よう……)
身体が再び疲れを感じ始めたため俺はベッドに倒れる。
この命令は体力を使うのかもな……。体が戻ったら体のスペックを確認しておこう。




