真夜中の隠し部屋
(さて、こちらの仕事は上々と言ったところか)
夜、俺はテラスから町を眺めながらそう思う。
あのサードと言う女はあの気配や雰囲気は怪しいものの商人として親父が信用する程度には優秀だ。俺を四歳のガキだと見くびっていなかった。そんな優秀なやつを手駒に入れれたのは大きい。
そんなサードが次に行う行動は見習いたちの確保だろう。そして、その見習いをスラムで安く雇うだろう。
ここまでは俺の推測だが、あの女が商人なら使いやすい手段だろう。身元も割れないし容易く手にはいる。
(さて、商会の方はサードに任せておいて俺は俺ができることをするか)
だが、俺が今できる事はそう多くない。暗殺者ギルドも手詰まりだし、母上の病気の治療法も賭けになっている。政務に関わる事もない。さてさて、どうしたものか……。
(……そう言えば、この城の秘密の部屋や通路はどれだけあるのだろうか?)
親父は王族にのみ伝えられていると言っていたがその正確な数字をだしていなかった。それに、親父に教えられたのも数個だけで正直に言って少ない。もっとあっても可笑しくないはずだ。
(……徹夜して探そうかな)
四歳の身体には負担が大きいけど真夜中に行動した方が周りに知られないだろうし、何より夜中の方が人通りも少ない。
「行くか」
外套を羽織り、俺は静かにドアを開けて部屋を出る。
まずは、俺があるだろうと目星をつけていた場所に向かおう。
「……ビンゴ」
書庫の棚にある本の一冊を押すと棚がズレて奥に更に多くの書物が置かれた部屋が現れた。
書庫には重要な秘密がある。これ常識。古事記にだってそう書かれている。
「どんな内容の本かな~?」
俺は近くに置かれていた使いかけの蝋燭に灯をともさずに適当に本を手にとって読んでみる。
暗闇でもこの目には昼間と同じように良く見えるから火を灯さなくても問題ないからな。
(内容は……何だこれ?絵しか描かれてないぞ)
しかもこの絵は……遺跡か?何かの祭壇とも見えるが……それに、遺跡のような絵以外にも魔法陣のような奇妙な絵や壁画の模写のような絵が描かれていた。
(文字は……分からないな)
別の本を手にとって読むが本の内容が分からずに元の場所に戻す。
文字自体は現在使っている物だが、文法が古すぎのか暗号化されているのか、よく分からないが何を書いてあるのか分からなかった。
まあ、俺はあくまで隠し部屋や通路を見つけるのが目的であって深くは考えないようにしよう。
「さて、他の場所にも行きますか」
本棚を元に戻して俺は書庫から静かに出ていく。
夜は長い。今日だけでもかなり見つけれるだろう。




