強襲殲滅
『それでよお……そいつが小便を漏らしてひいひい言ってたぜ』
『『『ギャハハハハハハハハハハハ!!』』
(……下品だな……)
下の階から聞こえる下品な笑い声にイラつきながら持ってきた小麦粉を確認する。
親父が兵士たちに指令を送り初め、翌日から俺は暗殺者ギルドとその傘下の組織の殲滅に動き出した。
これまでに十の組織を潰す事には成功した。前よりも手際よく潰す事が出来ている。……まあ、かなり強引な方法で潰しているが……ま、潰せているのなら問題ないだろう。
「さて、始めるか」
袋を持った俺は天井にできたいた木と木の間から袋に入っていた小麦粉を全て下の階に落とす。
さて、準備は整ったし俺は全力で耐えますか。
『おい、上に誰かいるぞ!』
『殺せぇ!』
「くっ―――!」
下の階からの怒号が途絶えたのと同時に俺の体は壁に吹き飛ばされる。
俺が行ったのは粉塵爆発。小麦粉や埃といった物が乾燥した空気中に漂っていた時に火を使うと引火して大爆発を引き起こす『自然の爆弾』である。材料も調理場から簡単に入手できるから使用頻度は多い。
「っあー、やっぱり痛いな……」
瓦礫のを退かして抜け出すと身体中についた埃を払い体に突き刺さった木の欠片を引き抜く。
強引かつ最も手早い方法だが、代償も大きい。
この方法だと自分へのダメージも大きく、鱗は問題ないがヒューマンのような皮膚にはダメージがしっかりと入ってしまう。
そのせいで耳が少し欠けたり鱗が占める面積が少しずつ増えてきたりしている。まあ、耳の方は元からエルフのような尖った耳が更に伸び、鱗もついてしまったが。
「ぐっ……あ……」
「みーつけた」
瓦礫に埋もれた男に笑みを向けながら鎌で首を切り裂くとすぐに呻き声もあげなくなった。
後はダメージを負った奴らの急所を切り裂いて行くだけの、単純な作業だ。
「糞ガキィ!」
「おっと」
瓦礫を突き破って現れた武道家のような格好をしたエントレイ族の男の蹴りを背後に飛んで避ける。
こいつが恐らく暗殺者ギルドから派遣された用心棒だろう。そこら辺のチンピラとは雰囲気が違う。
「せいっ!」
「くっ……!」
大降りの拳を避け鎌を振るうが脚で防がれる。
くっ……体格差が開きすぎてる。それに、エントレイ族はウィルエントレイ族には劣るものの筋力が高い種族、一撃でも当たればかなりのダメージが入ると見て間違いないだろう。
「ぬあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「速い……!」
鎌を捨て男の拳から放たれるラッシュを何とか手で直接的なダメージを防ぐが後ろに少しずつ押され初めてしまう。
くそ、やっぱり体格が小さいとダメージの溜まり具合が速いし容量が低い……!このままじゃ押しきられる。
だが、見切った。
「なら……!」
「ぬっ!?」
ラッシュとラッシュの呼吸の合間に身を屈めて男に接近すると男が対抗するための蹴りを放つ。
それをすると信じてたぜ!
「よっと!」
「なっ!?」
男の蹴りを肌にギリギリ当たらないように避け、太腿を上に上げて体勢を崩させる。
「ふっ―――!」
そのまま足元に捨てておいた鎖鎌を拾い足の健を切り裂く。
これで倒れている時間が長くなる。
「止めだ」
「なっ――!?」
倒れた瞬間に男の眼球を鎌の先端が穿ち、男は俺を退かそうと抵抗したは簡単に動かなくなっていった。
さて……この近くには呼吸音が聞こえない。全員死んだ、と見て間違いないか。
「それならさっさと撤収します」
「……アリエス、久しぶり」
「リリンか」
鎌をしまい逃げようとしたら物陰からリリンが顔を出してきた。
ここら辺はリリンの生活圏か。
「何をしてたんだ?」
「……友達と、遊んでた」
「友達ねえ……」
俺にはブリストやミュウのような友達と呼べる存在がいない。これは親父が俺を過保護なまでに護ってきたのが原因だがな。
「……アリエスも来て。みんなに会わせたい」
「構わないが……」
俺が参加するとなると暗殺者ギルドに狙われる可能性があるが……まあ、こいつらは護られる程柔な性格をしていないから問題ないか。
「……ついてきて」
「分かった」
リリンに手を引かれて俺は歩いていく。
リリンの友人か……どんな奴何だろうか。少し気になる。




