秘密の共有
「親父、帰ってきたぞ」
「おう、お帰り」
中庭に面した開いていた窓から執務室に入ると、親父が政務をしていた。
仕事の内容は……やはり、スラムについてか。
「紙の制作は成功したか?」
「ああ。ついでに向こうの土地を使わせて貰う許可も貰ってきた」
「仕事が早いな……」
「仕事はさっさと終わらせるに尽きるからな」
「うっ……」
まあ、親父はすぐにサボろうとしてるししょうがないよな。
にしても、向こうの兵士たちから聞いた限りの犯罪組織はスラムの中でもかなり広範囲に分布しているな。これでは数日程城を出ないといけないかもしれないな。
「それと、ツクモに一つ聞きたいのだが……」
「どうかしたのか?」
「お前、何人殺した」
(なっ……!?)
隠し事がバレ、俺は奥に秘めていた感情が表に出てしまう。
何時、どこで、俺の殺人がバレたんだ……!?偽装は完璧だったはずだぞ……!
「……やはり、か……」
しまった!これは親父のブラフか。まんまと騙されてしまった……!だが、落ち着け。ここでの回答次第で大きく今後の動きが大きく変わってしまう。それだけは回避しなければ……!だが、どうやって……うん、仕方ないよな。
嘘をついてもボロが出るだけ。それなら本当の事を言ってしまえば良いだけだ。
「両手では足りない程」
「何故、そこまで……」
「スラムを潰すため」
「スラムを……?」
「集団で潰そうとすれば集団が動く。なら個人で喧嘩を売る程度なら……向こうは簡単には集団を動かせない。それに、俺が皇子だと言う証拠は完全に消してあるし、襲った奴等は皆殺しにしてある」
「……………」
俺の言葉に親父は唖然としながら絶望したような顔をし、俺はそれを懺悔のように冷静に見つめる。
これは俺が始めた喧嘩だ。親父に口出しされようとも止めるつもりはない。
「そうか……我らの先祖が残した負の遺産をたった一人で払拭しようとしていたのか……」
「あの場所に学校を建てれれば上々。それに、あそこは犯罪の温床。すぐにでも切除しなければならない場所だからな」
「確かにな……」
親父のやつ、俺の言葉をあっさりと信用しているな。親父も、スラムを潰そうとしていたのか?
「……よし、我もそれに一枚噛ませろ」
「……は?」
やはりか。けど、そうならないと思いたかった。そのためなのか、すっとんきょんな言葉が口から出てしまう。
「俺を罪に問わないのか」
「仕事を増やしたくない」
「おい」
親父の余りにも素直な本音を聞いて呆れてしまう。
だが、これで親父は俺の味方についた。親父には犯罪組織の中でも誘拐を専門とする組織……貴族と繋がっている組織を潰して貰おう。
「そうとなれば、まずは貴族と繋がっている組織を先に潰しておこう」
「……頼む」
親父も俺の思考を読んだかのように申し出てくれたので俺はすぐに仕事を押し付ける。
これで俺はあいつらとの契約を成就させる事ができる。
「数日中に貴族と繋がらない一般兵たちを動かさせる」
「貴族と繋がられていては困るからな」
これで、貴族と繋がる組織を殆んど潰せれる。その後は俺が暗殺者ギルドと繋がる組織を個人的に潰していく。
「ツクモ……我を頼っても良いのだ。頼ってもらえれば我はツクモが正しい行いをしている限り力を尽くそう」
「ありがとう」
そして、ごめん。
俺は個人的に暗殺者ギルドを潰さなければならない。これは俺が始めた喧嘩。俺が後始末しなければならない。
親父たちは……俺が護る。




