おっさんとの会話
「おっさん、これをくれ」
「あいよ!」
露店のおっさんから果物を買い、近くの木箱に座って食べる。
初めて城の外に出て一週間が経過した。あれからほぼ毎日外に出るようになった。無論、市場価値や民の生活を見るためである。
ちなみに、ゼパルには「後学のため」と言いくるめてあるから問題ない。親父は政務の山に埋もれていて今日はこれていない。だからあれだけ早く終わらせろと言ったのに……。
「あんちゃん、身なりが良さそうだけど、どこの出身だい?」
「ヤマト」
「ここの國の人間かいな。俺はサウリル國の人間でな、出稼ぎで来ているんだよ。あんちゃんを見ていると故郷に置いてきた娘を思い出すよ。ちょうど背格好も同じだしな」
「そうなのか」
買った果物をもりもりと食べていると、露店のおっさんが話しかけてくる。
こう言った話をしなければここから遠く離れた地がどうなっているのかが分からん。俺個人としては、こう言った話を重要視しなければならないと思っている。
「皇室をどう思っている」
「商売もしやすいし、食べ物も上手い、それを支えてくれている皇室には感謝しかないよ。ただ……」
「ただ?」
「向こうと違って平民と貴族との差が激しいのだ……」
貴族と平民の差……確かに、金銭的にも教養的にも貴族の方が優れている。それを解消する為に学校を作ろうとしている。
だが、予想していた以上に反発も大きかった。
古い貴族どもが真っ先に反発し、そいつらが「その制度が執行されれば洗脳される」とか抜かしている。
無論、そんな事をするつもりはない。そんな事をしてもこちら側にしかメリットがないからな。それに、平民が全うな知識をつけると困るのは犯罪行為に加担している貴族だけでなく、住民に圧政を敷いている貴族、反乱の気配がある領地を持つ貴族、様々いる。
そしてそう言った貴族が権力を持つからたちが悪い。成る程、これは親父も逃げ出したくなるな。
取り敢えず、解消するまではもう少し年月がかかりそうだ。
「サリウルでは昔から貴族と一緒に狩りをしたり、朝まで酒を飲み明かしたり、何やかんやあって近い存在なんだ。けどここは……良く見かけるけど、俺たちとは話さないからな……近くて遠い、て言うんだっけか。そんな感じなんだよ、この国の貴族は」
「精神的な距離か……」
山岳地帯で危険も多いサリウル国では、事故や野生動物の獣害もあるし、住民と密接な関係を築かないといけないからな。けど、ここはヤマト国。確かに貴族は良く見かけるけど、平民と話している様子なんて見たことがないな。
近くて遠いってと言うのもあながち間違いではないな。
(直接関わるのは商人ばかり……。成る程、これが原因で貴族と商人の癒着ができてしまうのか)
最も、それが無くても癒着はできてしまうののだろうけど。
「あんがとな、おっさん」
「おう、あんちゃん」
果物を食べ終え、木箱から飛び降りて歩き出す。
さて、次はどこに行こうか。




