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JKときどき死神  作者:
第六章 銃声
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猩々

「わたしの管轄内で他の死神にうろちょろされるのは嫌だからとりあえずよそに移動してもらおうと思ったんだけど、ひなこちゃんが死神だっていう確たる証拠はないから困っちゃってね。そこで委員長を利用させてもらったんだ。それにしても、仕掛けておいてなんだけど、こんなにうまくかかるとは思わなかったな。ひな子ちゃんが委員長を助ける保証なんてないんだもん」

「昔の私だったら放っておいたかもしれませんね」遠藤が呟いた。

「ただ、想定外だったのが猩々。まさかこんなところでお目にかかるなんてね。昔、名鎌目録で見ただけで現物は初めてだったけど、その鮮血の色ですぐ分かっちゃった。そこで当初の予定を変更して、ひな子ちゃんを殺って猩々をいただいちゃおうって考えたんだ」

「遠藤の鎌ってそんなに珍しいの?」

「そりゃあもう。骨董的価値もさることながら、特筆すべきはその破壊力だね。ていうか危険すぎて本来冥府で管理されなきゃいけないものなんだけど。あんまりピンと来ないだろうから分かりやすく例えると、えーっと、民間人が核ミサイル持ってるようなものかな」

「……え、そんなに危ないの?」

「さっきは大吉君の霊力を吸っただけだからあの程度だったけど、本来猩々は万単位の命を蓄えて力に変換するものなの。その気になればまちひとつ消しちゃえるよ」

 遠藤はそんな危ないものを持っていたのか。そしてそれに自分が安易に力を貸したことにぞっとした。

「それにしても、ひな子ちゃんは一体それをどこで手に入れたの? ていうか何者? それに形代まで持ってるなんて」

「それらの質問にはお答えしかねます。それにこんなオンボロ、せんぱいの持っているような最新の鎌と比較すればがらくたも同然です。実際、ついこの間まで鎌としての権能さえ使えなかったんですから」

「でもさっきは普通に使えてたじゃん」

「偶然便利なものが手に入ったので」

 そう言って遠藤は左手薬指にはめた指輪を見せた。

「ちょっと見せて!」そう言って宇賀神は突然遠藤に詰め寄ると彼女の左手をつかんだ。

 遠藤はびっくりすると同時にとても嫌そうな顔をしていた。つい先ほどまで敵として対峙していたのに、急にこの距離感だと誰でも戸惑うだろう。それにしても遠藤のこんな表情は珍しく、彼女にとって宇賀神は苦手なタイプなのかもなあと他人事のように僕は考えていた。

「なるほど、これで大吉君の霊力を鎌に――これをどこで?」

「あ、それは俺がもらったんだ。ドラパーにこの間行ったとき、マスコットのホップ君から。なんでくれたのかはよく分からないけど」

「……渡したやつは大体想像つく。あの野郎、今度こそ本気で痛い目に合わせないと――ところで、ドラパーってひな子ちゃんと行ったの?」

「え? ま、まあ、そうだけど」

「なんだ、結構やることやってんじゃん」宇賀神がにやにや笑いながら頭を撫でようとするのを遠藤は「うるさい」と言って払いのけた。

「それじゃあ大体のことは話したし、わたしそろそろ帰っていい?」

「ちょっと待ってよ、一番大事なのが残ってる。委員長はもう大丈夫なんだろうけど、他の生徒の寿命を採取してるのもやめてほしい。そもそもなんでこんなことをしてるんだ?」

「は? 何言ってんの?」

「え、何って……」

「たしかに委員長の寿命を採取したのはわたしだけど、他は違うよ。だってここはわたしの管轄で、わたしが治安を守る立場なんだから。そもそもわたしがこの学校に潜入してるのだってこの事件を調査するためなんだし」

「えーっと、どういうこと?」なんだか混乱してきた。

「つまり宇賀神せんぱいが竜髯高校の生徒になりすましているのは、ここの学生の寿命が採取されている原因を調査するためで、その最中に偶然私が死神だと分かったから委員長さんを利用して私をおびき出そうとした、そういうことですか?」

「そうそう」

「調査しにきたのに被害者の寿命をもっと採取するってどういうことだよ……。死神ってそんな無茶苦茶なのか?」

「彼女を死神の代表みたいに思われるのは不本意です」

「ひど~い。死神には広範な裁量権が認められているんだから最終的に帳尻が合えばそれでいいの。終わり良ければすべてよし!」

「そう言うからには誰が寿命を採取しているかもう分かっているんですか?」

「もちろん。わたしを誰だと思ってんの?」宇賀神は豊かな胸を張った。

「え、ほんとに?」

「嘘言ってどうすんの。ほんとはひな子ちゃんの鎌を奪ってからゆっくり裁いてやるつもりだったんだけどね」

「で、それは誰?」

「それはね――」

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