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JKときどき死神  作者:
第六章 銃声
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死神の心理

 委員長だけ先に帰らせた宇賀神は再びそこらへんにあった机に腰かけて足を組んだ。肉感的な太ももの隙間からパンツが見えそうで見えなかった。僕たちは少しの間無言で見つめあっていたが、やがて宇賀神が先に口を開いた。

「で、話って何? わたし疲れたから早く帰りたいんですけど」

「この一連の事件についてすべて話してください」

「え~!? それってちょっとフェアじゃなくない? それならひな子ちゃんもわたしの質問に答えてよ。わたし、ひな子ちゃんのこともっと知りたいんだ」

 僕は遠藤の方をちらりと見やった。宇賀神の味方をするわけではないが僕も彼女についてほとんどなにも知らなかったので、これは良い機会のように思われた。彼女は少し考えるそぶりを見せていたが、最終的に「……答えられる範囲で答えます」としぶしぶ承諾した。

「じゃあ、わたしも答えられる範囲で答えてあげる。何が聞きたい?」

「ではまず、せんぱいはこのあたりのエリア担当ですか?」

「せいか~い」宇賀神はそう言って小さく拍手をした。

 そういえば遠藤は先日死神にはエリア担当がいると話していたが、宇賀神がそうだったのか。それにしても両者を比較すると人間にも色々いるように、死神にもやはり個性というものがあるのだなあと感じずにはいられなかった。

「そうですか――竜髯市民に同情します」

「ちょっとそれどういう意味? これでも評価高いのよわたし」

「それは分かります。でなければ特注の鎌なんて所持が許されるはずありませんから」

「お、分かる? セクシーでかっこいい女スパイみたいなのって発注したらすぐつくってくれたんだ。ただ、外見については希望どおりでまったく不満はないんだけど、発砲音まで再現する必要なんてないのにね。しかも霊感がないと聞こえないってすごい中途半端だし。やっぱ鍛冶師って変人ばっかだねー」

「ていうか銃の形をしてるのに鎌なの?」僕は先ほどから気になっていた質問をぶつけた。

「〈鎌〉っていうのは死神の権能を備えた神器の総称で形に決まりはないの。ようは魂を刈り取れればなんだっていいからね。もっとも、なんだかんだで鎌の形をしたのが多いんだけど。わたしの持ってるような銃型のタイプは銃鎌って呼ばれてる」

「鎌の話はそれくらいにして、質問の続きをさせてください――委員長さんの寿命を採取してたのはやはり宇賀神せんぱいなんですか?」

「そうだよ。委員長には気の毒だけど、あなたたちをおびき寄せるにはエサが必要だと思ったから」宇賀神はこともなげに言った。

「そんな――友達なんだろ? あのまま放っておいたら委員長は死んだんだぞ」

 僕の言葉に宇賀神はびっくりしたような顔をしたが、その後腹を抱えて笑い出した。

「何がおかしいんだよ」

「何って、おかしいじゃん。死神と人間が友達って、何それ対等ってこと? ありえないでしょ。たしかにあのままにしていたら委員長は死んだよ。でも、だから何? そんなのわたしにしてみれば大した問題じゃないんだけど」

 僕は内心とても不愉快だった。今すぐぶん殴ってやりたかったが身体に力が入らなかったし、それにどう考えても死神相手に勝ち目はなかったのでやめておいた。

「それでも、友達面して――委員長はきっと宇賀神さんを信頼して相談したんだろ? だからこそおばあさんのことも話したんだろ? そんな彼女を利用してなんとも思わないのかよ」

「あのさあ、しょーもないお説教するなら帰るよ。わたしだって暇じゃないの」

「せんぱい――やめましょう。これは宇賀神せんぱいの方に分があります。死神にとって人間の命なんて所詮単位でしかないんです。そこは理解してください」

「でも……」僕は釈然とせず黙り込んだ。遠藤は一体どっちの味方なんだよ。

「ところで、宇賀神せんぱいは私の存在にいつから気付いてたんですか?」

「うーん、先月の中旬頃かな。そのあたりから微弱な死神の気配をときどき感じるようになった。ただそれが誰のものなのかまでは特定できなかったんだよね。でも、この間宝山神社で肝試ししたときにひな子ちゃんが死神なんじゃないかって疑い始めたの」

 そういえばあの晩、轡が何かに憑かれたとき遠藤は鎌を出していた。あの近辺に僕たち以外人影は見当たらなかったから、それで正体がばれてしまったのだろう。

「そうか、イニシエーションに参加したのも遠藤が死神かもしれないとふんでて、その確証を得るために――」

「んなわけないじゃん」

「へ?」

「ひな子ちゃんの正体に勘付いたのはほんとに偶然。わたしは単に健君と仲良くなる機会が欲しかっただけだから」

 僕がちらりと遠藤の方を見ると彼女は小さく肩をすくめた。なんだか死神の思考がよく分からなくなってきた。

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