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JKときどき死神  作者:
第六章 銃声
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結果報告

「おはよう」

 いつもどおりの月曜日を迎えた僕はいつもどおり登校していつもどおり健と堂島に挨拶した。

「で?」堂島がわけの分からない問いかけを発した。

「『で?』とは?」

「そりゃあデートのことに決まってるでしょうよ、ねえ健さん?」堂島がにやりと笑いながら健の方を見た。

「気にならないと言ったら嘘になるな」健もにやにや笑ってやがる。

 遠藤をドラゴンパークに誘ったことをこいつらに話してたのをすっかり忘れていた。そういえばあの後帰宅した際、母親も同じような顔をしてたっけ。さすがにこいつらはお赤飯炊こうかなんて聞いてこないけど。

「別に何もないよ。普通に遊んでおしまい」僕はうんざりして机の上にカバンを置いた。

「え、なんだ告白してないのか?」

「してないよ」

「ほんとヘタレだよな。そこは勇気を出して告白しろよ」

「なんかそんな雰囲気でもなかったから」

「うまくいかなかったのか?」

「別にそういうわけじゃないけど」

「何だよそれ。遠藤さんは喜ばなかったのか?」

「いや、喜んでたと思う」

「じゃあ成功だろ。また次どっか誘って、タイミングを見計らって告白すればお前も晴れて彼女持ちだ」

「普通の女の子とならそうなるのかもしれないけどな……」僕は小さくため息をついた。

 なんていったって相手は死神だ。どれだけ努力を重ねたところで、普通の男女の付き合いに発展するかなんて分からない。そもそも死神が人間に恋愛感情を抱くことなどあるのだろうか。そういった不安要素を抱えながらも僕はずるずると遠藤への想いを募らせ続け、さっさと他の女の子に切り替えることができないでいた。本当に男という生き物は愚かだ。

「遠藤さんってあんなかわいい顔してそんな変人なのか?」

「そういうわけじゃないけど……」変人どころか人間じゃないと暴露することができたらどれだけ説明が円滑になることか。

「とにかく大吉は臆病になってるんだよ。当たって砕けろくらいの気持ちじゃないと彼女なんてできないぞ」

「たしかに――それもそうだな」健の言うことには一理ある。あれこれうじうじ考えたところで始まらない。ダメもとで挑戦してみても良いのかもしれない。

「でも俺、てっきり大吉は轡さんが好きなのかなって思ってたけどな」堂島がぼそりとつぶやいた。

「前から言ってるけどそういうのじゃないから。嫌いじゃないしむしろ好きな方だけど、付き合うとかそういうのは考えたことないよ」

「たしかに彼女にしたいタイプじゃないかもな。デートのこと轡さんにばれないようにしろよ。嫉妬に狂って呪殺しかねんぞ」

「まさか」口では否定しつつも、僕の脳裏には丑の刻参りをする轡の姿が生々しく浮かんでいた。


 昼休みになって購買へ向かおうと席を立つと堂島がこちらへ来た。またあのにやにや笑いを浮かべながら。

「何だよ、気持ち悪いな」

「気持ち悪いは言い過ぎだろ。彼女が来てるぞ」

 扉のところを見ると遠藤が立っている。それは良いのだが、何というかクラスメイトの視線に冷やかしが入っているような気がしてならなかった。健と堂島があることないこと言いふらしてるんじゃないのか。

「どうしたの?」僕は背中に視線を受けるのを感じながら遠藤のもとへ行って尋ねた。

「一昨日の話の続きをしときたいんですけど」

「分かった。少し、場所を移そうか」

 購買でパンやサンドイッチを買った後、僕たちは旧校舎裏へ移動した。こういうのを目撃されて、また逢引してたとかって誤解を招くんだろうな。

「それじゃあさっそく、委員長さんの件ですけど――」

「ちょっと待って。その前にひとつだけ」

「何ですか?」話の腰を折られて遠藤は面白くなさそうだった。

「俺の教室に来るのをなるべく控えてもらいたいんだ」

「え、ひどい、なんでですか? 後輩の女子に迎えに来てもらうのが男子高校生の夢だって轡せんぱいから借りたマンガに書いてあったから、わざわざ来てあげたのに」

「いや、うれしいのはたしかにうれしいんだ。ただなんというか、そういうのをやっかんだり冷やかしたりするやつもいるからさ」遠藤って案外影響受けやすいタイプなのかな。

「ふーん、せんぱいって私よりクラスでの体裁をとるんですね」

「いや、そういうわけじゃないけど――頼むよ」

「分かりました。このツケは高くつきますからね」

「……今度何かおごるよ」なぜ僕が借りを作ったような形になっているのかはよく分からなかったがこの際何でも良かった。

「で、委員長さんの件ですけど、今日の放課後どうにかして連れ出してほしいんです。彼女ひとりだけ、できれば人気のないところ――例えばオカ研の部室のようなところに。ただ部室だと轡せんぱいが邪魔ですから、彼女をどうにかする必要がありますけど」

「邪魔って……多分、轡さんは何とかできると思うけど、委員長はどうかな。なんだか宇賀神さんもついてきそうだし。絶対に委員長ひとりじゃないとだめなの?」

「はい。普通の人に私の鎌は見えませんが、近くにいるだけで予期せぬ効果が生じる可能性があるので」

「……分かった。何とかしてみる」

「委員長さんを連れ出すことができたら、あとは彼女にかけられた採取の効果を鎌で無効化します。これでとりあえず彼女は安全です」

「え、でもこの間、もうそんな力残されてないって言ってなかったっけ?」

「事情が変わったんです――せんぱい、この間の指輪持って来てますか?」

「ああ、一応」僕はポケットから携帯電話を取り出すとストラップに通してある指輪を見せた。

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