第4章 Aランク冒険者〜そして修行〜
次の日、ボクはいつも通りギルドに来たらジェシーさんに呼ばれた。
「先日の魔物の解体が終わりました。
こちらが解体料を引いた金貨30枚となります」
わぁ大金だー
この前のフォレストベアより高い。
「ありがとうございます!」
ちなみにこの前のフォレストベアは銀貨700枚でした。
通貨には、銅貨 銀貨 金貨 白金貨がある。
銅貨1000枚で銀貨1枚、銀貨1000で金貨1枚。
金貨10000枚で白金貨1枚になってて、なんの贅沢もせず、普通に1ヶ月過ごせば銀貨100枚あれば足りる感覚だ。
「それから、レナート君はAランクに昇進です。おめでとう!」
えぇーまたランクアップした...
でもみんな一瞬チラッと見ただけで特に反応はなかった。
「さすがレナート!」
と言うのはいつものごとく、ギンさんである。
「それにしてもランクって簡単に上がるんですね〜」
「「「「「あがんねぇよ!!!」」」」」
あるぇー?
なんかここにいる全員に突っ込まれた〜。
なんで? こんなに簡単に上がっちゃったのに?
「普通、Aランクっていや冒険者を数年やって到達できるのが5割を切るって言うぜ?」
「そうなの?」
ギンさんが丁寧に教えてくれた。
なんか実感ないなぁ〜。
「今日はなんか依頼すんのか?」
「ん〜Aランクのクエストがもうほぼ無いから今日はおやすみかな?」
昨日のワイバーン討伐した後、どうやら強い魔物は何処かへ消えてしまったらしい。
だからAランクのクエストはあんまり無いんだよね。
あるとしても街から街への護衛とかそのくらい。
まだこの街に居るつもりだからそのクエストはやる予定ないし。
「じゃあ今日も修行つけてくれ!」
「まぁ、いいよ」
って事で、昨日とは違う場所に来ました。
あたり一面草原です。
「今日は何すんだ?」
「防御と回避の修行!」
昨日は身体能力と攻撃力の修行したから今日は回避力と防御力の訓練をやろうと思う。
「ボクと戦って、ギンさんはそれをひたすら防御するか回避する!簡単でしょ?」
「俺...今日で人生終わるかも...」
「じゃあ早速いくよ!構えて〜」
「お、おう!」
適度な間合いから、ボクは剣を構える。
そして、ギンさんも構えたところで、一気に踏み込み間合いを詰めた。
「くっ!早い!」
ボクは右下から斜め上に切り上げるが、ギンさんは紙一重でそれをかわした。
「ッブネェ...」
「安心してる暇はないよ!」
再び間合いを詰め、ひたすら攻撃を仕掛ける。
剣と剣がぶつかり合い、キンキンと音を立てる。
左ちょっと隙があるね。
「せい!」
右から攻撃をしかけ、防がれたところでくるっと回って左からの攻撃。
「ぐわっ!」
うん、直撃。
「クッソ...」
「ヒール!」
回復魔法で傷を癒す。
初級だけどこのくらいならこれで充分。
「つえぇ...」
「そんな事ないよ。ボクより強い人なんてごまんと居るし」
「単独でSランク狩れる人なんてそうそういないと思いまーす!」
えーそうかな?
きっとランク査定間違ってるんだよ!
「それにボクは剣術で婆ちゃんに勝った事ないし、魔法や弓も爺ちゃんには勝った事ないもん」
「魔法は使えないから知らないけど、レナートより強い婆ちゃんっていったい...って弓も使えんのかよ!」
「だって一応これでもハーフエルフだし?」
「エルフの得意分野と人間の得意分野どっちも持ってる訳ね、チートじゃねぇか」
「ちーとって何?」
「ズルイって事だ!」
えーズルくないよ〜
それならハーフはみんなずるい事になるよ!
「そもそもハーフエルフなんて滅多にいねぇぞ?それこそ100年に一度くらいの確率でしか生まれないって聞いたぞ!」
「そうなの?希少だとは聞いたけど」
「おいおい自分の事だろうが...」
えーだってそんな話聞いた事ないし〜?
「そもそも聞いた話だが、エルフは基本閉鎖的な種族でどこかの森の奥で暮らしていて、滅多に外に出ないって言うし。
たまに外に出て冒険者やってたりするけど、人間と違って平均寿命は1000年で、先に人間の方が死んでそのあと何百年も生きていかないといけないってんで、エルフの間じゃ人間と結婚するなんざそうあるもんでもないらしい」
へぇ〜勉強になるな〜。
「それにだ、エルフは長命だからなかなか子供も作れないらしいからほんっとうにハーフエルフは珍しいんだとよ!」
「あー確かに、爺ちゃんも婆ちゃんも子供はできなかったって言ってた」
ボクは容姿だからね〜。
それでもボクの両親もエルフと人間だけと、爺ちゃんと婆ちゃんもエルフと人間だし、結構違う種族で結婚してるの多いんじゃないかな?
「ん?レナート容姿なのか?」
「うん、5年前に父さんと母さんは死んじゃった」
「そりゃ...すまねぇ」
「別に大丈夫だよ!ほら、ボクには爺ちゃんも婆ちゃんもいるし!」
「ん?まてよ?」
あれ?ボクなんか変な事言ったかな?
「レナートの婆ちゃんっていくつ?」
「人間で75歳」
「爺ちゃんは?」
「エルフで780歳くらい」
ただ爺ちゃんはもう何年生きたか覚えてないらしいから正確にはわからないけどね。
「年の差半端ねぇ!」
驚くところそこですか...
「レナートもそんぐらい生きるのか?」
「ん〜人間の血もあるからわからないけど、ざっと500年くらいは生きるんじゃない?」
「やべぇ、10歳のハーフエルフってすごい貴重じゃねぇの?」
3時間くらいたった。
「うん!大分隙が無くなったね!」
「はぁ...はぁ...なんで...息ひとつきれてねぇんだよ!ゼェゼェ」
なんでって言われてもなぁ〜。
婆ちゃんに剣術教わった時なんて12時間ぶっ続けで死に掛けた時が何度もあったからなぁ〜。
これは言わないでおこっと。
「じゃあちょっと休憩しよう」
「賛成!もう大賛成!」
その場に大の字に倒れこんだ。
うん、ギンさん頑張ってるから疲れたんだね。
ボクも隣に大の字になろうっと。
うーん、やっぱ気持ちいね。
「静かだな〜」
「ねぇギンさん」
「そういやそのさん付けしなくていいぞ!
一応師匠なんだからレナートは!」
「えーでも年上だし...」
さんで定着しちゃったし〜
今更なんて呼べば...?
「ギンでいいよ!」
「えーでもぉ〜」
「いいんだって!それにほら、さん付けだと距離感あるし!」
「じゃあギンくんは?」
「なんかやだ」
えええ?なんで〜!?
さんじゃないじゃん!
「君付はちょっとなぁ〜」
「じゃあ兄ちゃんは?」
「はっ!?なぜそうなる!?」
んーだって年上の人を呼ぶ時って他に思いつかないし、弟子に対して先輩って言うのもなんか違うし...。
うん、やっぱり兄ちゃんで!
「他に無いのかよ!」
「うん!兄ちゃんでいいでしょ?」
「いや...でもなぁ」
あれー?顔赤くなってる!
照れてんだねきっと。
あれ?ボク何聞こうとしたんだっけ...
「っていうか何を聞こうとしたか忘れちゃった!
って事で、兄ちゃん休憩おわりね!」
そのうち思い出すかな!
「まぁいいか...」
そしてボク達は、数時間ぶっ続けでこの修行を行った。
あたりはもうすっかり暗くなって、夜の街灯が優しく道を照らしている。
うん、夜の街も綺麗だ。
綺麗だけど...眠い...
時刻はもう0時を過ぎていると思う。
「レナート大丈夫か?」
「うん...だいじょうび...眠くにゃんか....」
あ〜あと宿までちょっとだ....
寝ないぞ...辿り着けまで寝ちゃダメだ...寝ちゃ.......
ドサッ。
「おいレナート!」
「スヤァ〜...」
「って寝てるし...しゃあねぇな〜」