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ハーフエルフの少年  作者: リンネ
37/38

第37章 暴走

「あー?くたばったか?」


「......」


無言で立ち上がり、そのまま前に出た。


「なんだ、まだやんのか?」


「ダークネス・スペース」


船全体を闇が包み込んだ。


「なっ!?なんも見えねぇ!...グハッ!」


「なんだ、見えなくなれば弱いんだね」


海賊の船長さんの脇腹をボクの剣が貫いている。


「人間って本当に単純だよね。汚いしさ」


「小僧...エルフ...いや...耳が尖ってねぇ...ハーフエルフか...なんだ...その目の色は...」


「おじさんが知る必要ないよ。もっとも、知ったところで、死人に口無しだし意味ないね」


「ま...まて...」


「さようなら」


刺してた剣を抜き、今度は心臓を貫いた。

返り血がボクの身体に付着していく。


「汚いな...」


そして闇は晴れ、ボクは残党の方へと近づいて行く。


「お頭が...やられた!」


「く、くるな!」


「へー敵討ちとかしないんだ。

たかが子供のボクに怯えるって、人間って腰抜けばかりだね?」


「な、なんだと!?」


ひとりが頭に血が上ったのか突っ込んで来た。


「うおおおお!」


ズバッ!

と、肉が裂ける嫌な音が鳴り、同時にベチャっと血が床に大量に落ちる音が響く。


「か、はっ...」


「今の何?全然お話にならないよ。

本当に海賊やってたんですか?」


「ひぃ!?」


「レナートのやつどうしちゃったんだ!?」


「わかんにゃい!でも目の色が変わってるにゃ!」


「で、次は誰?」


「に、にげろぉ!」


海賊達は一目散に海賊船へと乗り込み、船を出した。

逃げ足だけは早い。


「逃がすわけないじゃん。

無光となる最果ての空間へ汝らを誘い、永遠の安息へ導け。ブラックホール」


海賊船の上空わずか3メートルに巨大な闇の空間が浮かび、なにもかも吸い込んで行く。


「やっと出られた〜!ってあれ?」


リーフが船内から出てきた。


「リーフ!縄といてくれ!」


「りっちゃん頼むにゃ!」


「何?この状況...それに、え?なんでみんな縛られてんの?」


「いいから早く!」


「は、はい!」


リーフが慌てて駆け寄り、縄を魔法で解いていく。

ボクはというと、魔法を維持するのに集中している。


「ダメだ吸い込まれる!」


「もう無理だ!」


船自体もどんどんバラバラになって行く。

ボクらが乗ってる船は幸い、ブラックホールから離れてるので影響は無い。


「レナート!もういい!充分だ!」


「レナちゃん!」


「レナート?」


周りなど気にしていられない。

ボクはあいつらが憎い。


「やめろ!」


あぁもううるさいな!


「なっ!?」


ボクは魔法を中断して剣を構えた。


「ボクの邪魔をするな」


「レナート...」


「え?何?何が起こってるの?」


リーフはキョロキョロしながら状況を把握しようとしてるけど、だいたい出てくるの遅いんだよ。


「弟が間違った道を行くなら、兄はそれを正さないとな」


兄ちゃんは近くにあった海賊の剣を拾い、距離をとって構える。


「兄ちゃん、ボクに勝ったことないよね?」


「それでも目を覚まさせてやる」


兄ちゃんは姿勢を低くした。

一気に加速して突きを見舞う構えだ。


「行くぞ...!」


カキン!


金属音が鳴り響き、剣が真上に飛んで行く。

そして相手の顔元へ剣先を向ける。

剣が飛ばされたのは兄ちゃんの方ね。


「なっ...」


「終わり?」

暴走の割にはそんなに暴れてないかも?

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