第17章 新たなる敵
「レナート!」
「ギン兄ちゃん!?」
「キュ?」
「やったな!なんだよ加勢しに来たのに心配して損したぜ!くそ!」
嬉しいのか悔しいのかよくわかんないリアクションしてる兄ちゃんはさておき、このピリピリした感覚は一体...。
「おーいスエール〜!俺を乗せてくれよ!」
「キュ」
スエールはそっぽ向いてボクの近くを飛び回ってる。
「んだよスエール乗せてくれたっていいだろ!?」
っ!?魔力...やばい!
「絢爛たる光よ、全ての災いより我らを守る壁となれ!フォースフィールド!」
最上級のシールド魔法。
詠唱を唱えた途端にボクを中心として光の壁が生成される。
全てのありとあらゆる攻撃を無効化する魔法。
ただし、デメリットが大き過ぎる。
展開してる間は常に魔力が消費してしまい、術者はその場から動けない。
「どうした!?レナート!」
ギン兄ちゃんが叫んだ瞬間、空から黒い光が柱となりボクらに降り注いだ。
「んだこれ!?」
「キュー!?」
やがて黒い柱は消え、あたりは何もなくなっていた。
そう、木々が消滅し、地面はクレーターができてる。
「はは〜あのゴーレムを倒しただけはあるねー」
どこからともなく声が聞こえてくる。
見上げると、黒い翼を背に生やし、空からボクらを赤い瞳の少年が見下ろしていた。
「んだテメェは!」
「魔神...」
「ご名答〜銀髪君」
魔神が拍手しながらゆっくり降下してきた。
笑ってるように見えるけど、目がわらってない。
「はーこの魔力ハーフエルフだね君」
「じゃああのゴーレムって..」
「そう、ボクが召喚した兵器さ」
やっぱり、だ。
「まさか単独で倒されるとは思ってなかったよ」
正直、勝ち目なんてない。
もう魔力がないし、飛ぶのでやっとだ。
「いいねぇ!君ボクらの仲間にならない?」
「へ?」
「レナートがなるわけねぇだろ!」
「うるさいなぁ人間!ボクは人間が嫌いだ」
「ボクだって半分は人間だよ」
ボクも正直人間はあまり好きじゃない。
これはボクの過去になるから割合するけど。
「ボクだって元は人間だよ。半分ね」
魔神が元人間?
しかも半分って、まさか!
「察しがついたみたいだね。
そう、ボクは元ハーフエルフ」
「ハーフ...エルフ...?」
「歳は〜忘れちゃったな〜300年までは数えたけど正直どうでもよくなったし。
んで?どうだい?同族として君を歓迎するよ」
「嫌だ」
「即答か。まぁいいさ。いずれこっちに来るんだからね。クハハハハ」
突然笑い出した魔神。
ボクもいつか魔神になるってこと?
「レナート!こんな奴の話なんか聞くな!」
「チッ、さっきからうるさいんだよ人間風情が!
殺すぞ!」
「あ?やれるもんならやってみやがれ!」
「兄ちゃんダメ!」
「兄ちゃん?へぇーそういう関係なんだ。
じゃあ、アイツ殺せば君はこっち側に来れるのかな?」
「ッ!フレイムストーム!」
火の竜巻が魔神を飲み込んでいく。
「あ、しまっ、うわー!」
魔力が切れてボクは空から落ちて行く。
「レナート!」
「キュー!」
スエールがすかさずボクを背中でキャッチしてくれた。
助かった...。
「ぐうっ...」
意識が...飛びそう...。
「まったく〜熱いじゃん」
「効いて...ない...?」
涼しい顔して魔神が火の中から現れた。
やっぱりダメか...。
「君と戦うのも面白そうだし、もっと強力な兵器と戦わせるのもいいなぁ。
今度会う時を楽しみにしてるよ。ククク」
言い放った瞬間、空間が歪み、黒いゲートが開き、魔神はその中へと消えていった。
「待ちやがれ!...クソっ」
「.....」
ボクはスエールの背中で、ゆっくりと意識を手放して行く。
「キュー」
「何だったんだアイツは」
後日、魔神出現は全世界に知れ渡り、皆不安を抱きながらの生活を送っていた。
出現したゴーレムは、古文書に載っており、かつて魔神との戦争で用いられ、何人もの人が亡くなったという。
そんなゴーレムをボクが倒した事も世界中に知れ渡り、人々が揃って神の子、『神子』と呼ぶようになってしまう。
正直もうなにがなんだかわからない。
それに、ボクは魔神には勝てない。
あの魔神の口振りだと再び会うことになるのは必然。
このままじゃやられるだけだ。
「あそこに行くしかないかな」
「キュ?」
そうしよう。
ボクが嫌いな場所、エルフの里。




