8日目
8日目 晴れ
今日は特に何もしなかった。というより、何もできなかった。
強いてやっていたことを挙げるならば…
体力の消耗を最小限に抑えるために、息を潜めて蹲っていたことぐらいだ。
今日私がまともに動いたのは、ついさっきこの日記を書こうと這いずったときだけだろう。
佳澄ちゃんとの会話も一切ない。恐らく彼女には会話できる分の気力さえ残されていない…。
彼女を…たった一人の親友を、何がなんでも助けてやりたいが、自分のことで手一杯で何もしてやれない。
これが無力感というものか。
壮絶なまでの絶望的な感情が私の心を染める。痛い。辛い。苦しい。悲しい。
今思えば…
漂流したばかりの頃の私は、余りにも楽観的すぎた。
せめて椿が居てくれれば、ここほど危機的状況にはならなかったかもしれない…。今更後悔したところで無意味なことは理解しているのだが……。
自分から勝手に逃げた癖に、危機的な状況になったら椿に助けを乞うなど、なんて虫が良い話だ。
…それより、椿はまだ生きているのだろうか。
まぁ、あいつは不良のような見た目だが、意外に思慮深い男なので、私たちよりは圧倒的に有意義な生活をしているんじゃないかと思う。
どうせ私たちのことも覚えていないだろう。
椿…助けて……。