4 泥棒と戦闘
スキルを決定すると、頭の中の字が消えた。
さて次は?
あれ?何の説明もない。
設定終わり?
まだなにもわからんのですが。
ため息交じりにふと顔をあげると、目の前に変なウサギがいた。
やべっちょっとかわいい!
デコに青い宝石みたいなのが埋まってる。
モコモコしてるし、なんだかあったかそうだ。
よし、こいつを俺のペットにしよう!
「おーよしよし、こっちにおいでー。」
ウサギが恐る恐る近づいてくる。
ふるえちゃって、かわゆいのう。
「怖くない怖くない」
ゆっくり頭を撫でてやろうと、手をかざす。
『シャアァァァー』
突然ウサギが牙をむき、威嚇してきた。
こえぇぇぇー
モコモコしていたウサギが、毛を逆立て牙を剥いてこちらを睨めつけている。
デコに埋まった宝石が赤く、鈍く光りだした。
おぉあれ色変わるんだ!綺麗〜
ってか何?牙まで剥いて。
えっ敵なの?敵なんだな?
「やってやろうじゃないか!」
そうはいっても、このウサギがどんな強さかわからない。
そもそも武器持ってないわ。
仕方がないから素手でぶん殴ることにする。
ウサギになら勝てるだろう。
しかし、あの牙が怖い。
噛まれたら怪我するんだろうな。
油断できない。
俺はファイティングポーズをとり、戦いに備えた。
ウサギが飛び上がり、襲いかかってきた。
こわっ!
回避しようと思い切り後ろに飛びのいた。
なッ!?
ゴッという音が聞こえて、景色が一瞬ブレた。
なんじゃ!?
何が起こった!?
ガチンという音で我に返る。
目の前でウサギが噛みつきを空振らせていた。
しばらくしてやっと気づく。
そうか、避けたのか。俺が。
にしても、速っ!!
速すぎて、自分でも一瞬何が起こったのかわからなくなった。
尋常ではない身体能力に、感覚が付いていけない。
とにかく、この体になれなければ。
だが、そんなに余裕があるわけでもない。
今は戦闘中。
まずは目の前のウサギを倒さなければならない。
左にステップを踏む。
うわっ
また景色がブレた。
これでもまだついていけないか。
次は右にごく軽くステップする。
今度は何とか自分の動きを制御できた。
ウサギが必死になって首をふるが、俺の動きに全くついてこれない。
すごいわ!
さすが俊敏性500
まぁ、俺も動くたびに現状把握に必死になるが。
次は攻撃を仕掛けてみよう。
俺の動きに対応できていないので、正面からいっても大丈夫かな?
間合いをつめようと駆け出した瞬間、自分でも信じられないスピードでウサギとの距離を詰めていた。
目の前にあらわれたウサギにびっくりして、思わずはたく。
思ったより距離を詰めすぎていた。
ウサギは地面に叩きつけられ、『キュー』と鳴き声をあげる。
すでにフラフラだ。
なんかごめん。
素手でも攻撃力もかなりあるな。
安全第一に考え、一応後ろに回り込み、止めをさす。
反撃をくらうわけにはいかない。
もう一発お見舞いしてやると、ウサギは動かなくなった。
うむ。なんだろう。
強い!
我ながら凄すぎだろ。
素手で二発か。
神様なんちゅー力を与えてくれたんだ!
ありがとう神様。俺、頑張るよ!
とにかく何かの肉と毛皮を手にいれた。