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ヒトカゲ  作者: 桜月
2/2

《第一話》竜

 ドクンッ・・・・ドクンッ・・・・ドクンッ・・・・


    ここは?

           俺・・電車に・・


 ドクンッ・・・・ドクンッ・・・・ドクンッ・・・・


 (なんだここ?)


 視界には薄い膜のようなものが広がっていて、向こうから光が透けている。


 (それに・・さっきから聞こえるこの音はなんだ?)


 ドクンッ・・・・ドクンッ・・・・ドクンッ・・・・


 その音はゆっくりとリズムを刻むように鳴り続けている。

 それはまるで、生物の鼓動のように一定間隔で鳴り続けている。


 (いや・・・これは・・俺の心臓の音か?)


 その音は確かに自分から発せられていた。音は膜内で反響して大きく聞こえている。


 (なんで?俺は電車に轢かれて死んだはずだ。助かったのか?)


 そう思った時、膜の外側からコンコンと何かに叩かれてような音がした。


 (ん?誰か外側にいるのか?)


 どうやら、外側にいる者は自分を呼んでいるようだった。

 俺は無意識に膜を破ろうと手を上げようとした、そして自分に何が起こったのか悟ったんだ。


 その手は人と呼ぶには異形な形をしていた、鋭く尖った爪を5本生やし、腕全体にはドス黒い鱗が覆っている、腕の形は蜥蜴の様になっていた。


 (なんだ・・これ・・え?俺の腕?なんでこんな・・・)


 思考が追い付かない、意識を失う前は人の腕だった。だが目を覚ましたらまるで蜥蜴の様な腕に生え変わっていた。

 一体自分に何が起こったのか分からない。理解したくない。

 頭が追い付かない、今自分に何が起こっているのか。どうしてこうなったのか。気が狂いそうだった。


 俺が自分の腕を見て固まっていると。外側からまたコンコンと叩かれた。


 外から呼びかけられた事で、再び思考が再開される。


 (・・・固まっててもしょうが・・ないか。とにかく俺に何が起こったのか早く突き止めないと)


 おっかなびっくり、変異してしまった腕を使い。膜を内側から強く押した。


 ----パキッ--パキパキッ---


 膜が割れ、割れた隙間から光が差し込む。


 「・・・グルルルル・・・」


 ---膜の向こうには---


 (・・・目?)


 割れた膜からこちらを覗き込むように巨大な瞳が見ている。

 巨大な目は徐々に引いていき、覗き込んでいた者の姿を見た時・・俺はもう一度死を覚悟した。


 それは巨大な蜥蜴の様な生き物だった。全身は黒い鱗に覆われ、口から鋭い牙を生やし、背中には空をやすやすと覆ってしまえる様な大きな翼が生えている。

 

 (・・・ドラゴン・・)

 ドラゴンはこちらをじっと見ていた。

 (・・呼んでるのか?)

 「グルルルゥ」


 まるで俺の心を読んだかのように、静かに頷いた。


 俺は膜から出て、自分の体をもう一度見た。

 体は腕と同じ黒い鱗に覆われ、目の前のドラゴンと同じように翼や尻尾を生やしていた。


 そう、俺の体はドラゴンになっていたのだ。


 俺は自分の状況が未だに理解できず、ダメ元で目の前のドラゴンに聞いてみた。


 (どうして俺の体がドラゴンになってるんだ?)

 「グルルルゥ」


 ドラゴンはこちらを見て、また静かに頷いた。


 (やっぱり駄目か・・)

 (それはアナタが一度死んでしまったからです)

 (ッ!)


 諦めかけた時、頭の中に女性の声が響いてきた。その声は今まで聞いたこともないような静かな声だった。


 (アナタは一度死んだ、そしてまた産まれ落ちた・・今度は竜として)

 (産まれ落ちた、それは転生って意味でか?)

 (はい、アナタは輪廻の巡りを経て新たな命を授かったのです)

 (じゃあ、なんで俺は前の記憶を持ってるんだ?普通死んだら忘れる物だろ?)

 (それはアナタが竜として生まれたからでしょう。竜の魂は輪廻の大海から無作為に選ばれます。それがまだ死んで間もないアナタの魂だったのでしょう)

 (という事はこういう事か?まだ記憶が記される前に転生したせいで記憶を持ったまま生まれ変わったと)

 (はい、そういうことだと思います)


 運良くなのか、運悪くなのか、記憶を持ったまま転生し、さらには竜として生まれ変わった。

 これが俺に起こった全てだと、そう簡単に納得できるはずもない。そもそも俺のいた世界には竜など存在しなかった。

 これはアレか?異世界に転生したってことか?


 (まぁ、納得はできたけど。もう一つ聞いてもいいか?)

 (好きなだけ聞いても構いませんよ)

 (じゃあ、お言葉に甘えて。一つ目はアンタが何者なのか教えてくれ。)

 (母ですよ)

 (え、終わり?)

 (はい、アナタを生んだ存在。定義上は母親ですが?)


 それはそうだろう、生まれ変わったということは、産んでくれた人がいるわけだし。

 竜として生まれたのだったら、親も竜のはずだ。

 

 (あーうん、理解した。)


 自分が納得した事を告げると、母は表情で感情は読み取れないが、何故だが少し嬉しそうに感じたのが不思議だった。


 (それは良かった、これからはマザーと呼んでくださいね)

 (ああ、まだ慣れないがよろしく・・マザー)


 まだ、状況を上手く飲み込めないのもあるが、生まれ変わる前の母親以外をそういう風に呼ぶのはなんだが気恥ずかしい。


 (フフ、追々慣れて行けばいいですよ)

 (ああ、そうだな)


 そして俺はここで、絶対に聞いておきたい事がもう一つ合った事を思い出した。それは俺がこれからどうすればいいかだ。俺の前世は人間だった訳で、竜がどういう生き物なのかすら分からないのだ。


 (マ、マザー・・もう一つ聞きたい事があるんだがいいか?)

 (なんでしょうか?)

 (う~ん、なんて言ったらいいのか分かんないんだが、俺はこれからどうすればいいんだ?竜として生まれたのは分かった。でも俺は前まで人間だった訳だし、竜として生きるって言ってもどうすればいいのか分からないんだ)


 (それはこれから覚えていけばいいんですよ。元々あなたと同じように何も知らない赤子を育てるつもりだったのですから。)


 (それも、そうか・・・それじゃあ・・これからよろしく、マザー。)

 (ええ、こちらからもよろしくお願いしますね。愛しい我子よ)



 こうして、俺の第二の竜としての人生が始まった。

どうも、また会いましたね!

話のテンポはこのぐらいでいいでしょうか?

文字数とかは余り気にせずに切りがいいところで切って、上げていこうと思います(4000文字書くのがどれだけ大変な事かorz)

まぁ、気長にやってそこそこ見てくれる人ができたら。応募しようかなぐらいの気持ちでやっていこうと思うので、よろしくお願いします。(このレベルで応募なんかしたら、家に火でも放たれそう・・・ガクブル)

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