《プロローグ》”人”生最後の後悔
人は誰でも10回以上は後悔する物だ。保育園の時、好きな女の子にカエルを投げつけて嫌われたり。小学三年生の初めての社会見学を風邪を我慢したせいで肺炎になって休んだり。中学二年の時、カッコイイと思って腕と顔に包帯巻いて行ったら担任に病院へ強制連行されたり等だ。
そんな普通に生活してるだけでも積もっていく後悔の中で、今自分は最後の後悔をした。
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俺は長かった一学期を終え、そろそろ慣れてきた帰り道を歩いていた。
明日から何をしようかとか・・今年はどこどこの子を遊びに誘うとか、周りで同じクラスメイトの奴らが騒いでいた。
ん?俺はどうするのかって?
得には無いかな、冷房の掛かった部屋でゲームしてるか本読んでるかだろう。
家族でどこかに行こうって言うなら付いて行くし。弟が暇そうにしてたら適当に連れて行ってやるぐらいだ。
まぁ、端的に言うと予定が無いって事だ。
友達はいないのかって?
いない事は無いが、そいつらはそいつらでバラバラのグループから俺を中心に集まった感じの奴らだから、アイツ等はアイツ等で予定があるんだろう。
全く人間関係とはメンドくさい物だ。
そんな感じで、なんとなく始まった夏休み前の下校時に・・・俺は人生最後の後悔をした。
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下校中、いつも利用している駅についた。駅は普通の各駅停車の駅で其処まで大きく無い。
ICカードを当ててゲートを潜り駅のホームに降りると、何かあったのか人が集まって線路の方へ必死に何かを訴えている。
「駅員はまだか!」
「もう電車が来ちゃう!誰か!誰かいないの!」
「うぇ~ん!おか~さ~ん!」
線路の方を見ると4~5歳ぐらいだろうか、赤いリボンをつけた少女が線路で泣いていた。
どうやら、線路に誤って落ちたようだ。周りを確認するが、親らしき人物は見えない。
皆どうにか少女を助けてあげたいが、恐怖から中々線路に降りられない。
そんな時、まるでカウントダウンの様にカーンッ!カーンッ!と赤いランプが点滅を始めた。
「電車が来たぞ!誰か行けよッ!」
「キャーッ!」
「ぐ、もう間に合わない!」
野次馬や呼びかけていた人達から悲鳴が上がる。刻一刻とタイムリミットが近づく中。
俺は・・電車が迫る線路に飛び降りた。
何故自分が飛び降りたのかは、自分でも全くわからない。体が勝手に動いたのだ。
俺は直ぐに少女を担ぐとホームまで全力で走った。たかだか6歩程度の距離が永遠にも感じられる程遠く長い。
ふと視線を横に向けると、線路の先から電車が見えていた。
-----間に合わない----
そう感じた、焦ってそう感じたのとは違う、結果としてそう感じた。
今からミンチになると言うのに、思考は自分で驚く程冴えていた。
自分はもう、間に合わない、じゃあせっかく身を挺して助けたこの子だけでも助けよう。
そう思った瞬間、俺は全力で少女をホームへと投げた。
「うおっ!」
どうやら、少女は近くにいたオッサンにキャッチされたようだ。
電車がもう目と鼻の先に迫っている・・・俺は全てを諦めあと数秒で尽きる命を噛み締めながら、悪態をついた。
「あ~、なんで俺こんな事しちゃったんだろ」
全く知らない、今日会ったのが初めての見ず知らずの少女を助ける為にどうして自分はこんな馬鹿を、やってしまったのだろうと後悔した。
だけど、ここで彼女を助けなかったら、自分はまた後悔していたんだろう。
「どっちを選んでも後悔するなら、良い事して後悔した方が得だよな・・・・」
そう心の中で呟き、俺の人生は終わった。
どうも初めましての方は初めまして。
狙撃手を呼んでくださってる方は、申し訳ございません。
狙撃手が完全にスランプに陥ったので、息抜きに上げようと思います。
行き当たりばったりで書いてる+誤字確認など皆無ですのでその辺を踏まえて読んでください。