光へ
今回も実話です。
なんか苦しいなぁ
そんな事を思いながら目を覚ますと、真っ暗な世界に漂っていた。
ここは何処なんだろう
手を上げて何かを掴もうとしても、腕が重くて上がらない。
おかしい…何かがおかしい
何も聞こえないし…
ふと下半身を見ると、ヌメッとしたものがまとわりついている。
なに、このアメーバのようなものは?
急いで抜けようとしても抜けられない。そんな私に見覚えのある手と顔が見えてきた。
真っ暗なはずなのに、その人だけははっきりと見える。
引きずり込むつもりなのか?
それとも押し上げようとしているのか?
どちらにしろ私は急いで心のなかで唱える。
今は、まだそっちには行けないから、行かないから分かったよね?
そう言い纏い付く黒い物から這い出ると、薄明かりの病室の中で酸素マスクを着けた自分がいた。
酸素マスクを外し呆然としていると、扉が開き看護師が入ってきた。
あ、もう大丈夫かな?変なイビキをかいてたから、酸素マスク着けさせてもらったのよ。
と言うことは、あれはあの世との境目だったのか?生き返った?
だが、術後の傷口からは絶えず血があふれる。縫合はちゃんと出来ているのに…。いや、首、左肺、右肺と転移した奴にはなかなか勝てそうにない。
その後輸血をした夜、また不思議な夢を見た。
ある夜、西へと車で向かっていると、パチパチと火がはじける音がする。
気にせずに進もうとすると、赤く火のついた板辺が、パチンと弾けて車の前の道に落ちた。
その中に描かれた真っ赤に燃えている人が何かを叫ぶ
燃えてるし、怖いけど、何?何なの?
かわそうとしてハンドルを切ると、また板が弾けて飛んでくる何枚も何枚も
何、行くなってこと?行ったらいけないんだね?分かりました行きません引き返します。
ふっと目が覚めた
また夢で変わったもの見た、これは助かるのか?
そう望みをかけ過ごしていると、やっと待望の薬にであった。
これが効かなければ後がない…
追い詰められて行く。
それでも、ありがたいことに効く薬が見つかった。
少しずつ食事もできるようになったが、ここで問題が…
この薬、今の私では飲み込めないのだ。看護師や医師との試行錯誤のすえ、やっと飲めるようになった。
そんな苦労話をしていると妹が
あー亡くなった父さんに、姉ちゃんを助けてって祈っといたんだよ
だから出てきたのか…
十年前に亡くなった父。そうかそうなのかと、何故か納得をしていた。
あ、護摩焚きしてもらった。皆で行ってきたぞ
不意に夫が呟いた。それも一度や二度じゃないらしく、私の名前のお札など何枚も家にある。
火の粉は護摩焚きだ、やっぱり引き返せってことだったのか
私を思っての事だと、一つ一つ謎が解けていくのが有り難くあった。
ただ今だに気になるのは、父は私を押し上げようとしたのか?引き込もうとしたのか?はっきりしない所だ。
私をかわいがっていたが、最期は喧嘩別れになった手前、どちらなのかはっきりしない。
ただ、はっきりとまだ行けないと即座に口に出た?思った?あと辛そうな顔はしてなかったので、助けようとしたのだと思うことにする。
さてそんな私の今は
生きてます。生きられるだけ、したい事をして生きていこうと思う。
本当に、生きていて良かったのか?と悩む暇もないほど、仕事も休日も楽しもうと思う。前みたいに無理はせずに。
そして、黒の世界から光の世界へ戻れたことに感謝しつつ生きていく
あ、いつかのときは出来れば綺麗な花畑が良いなぁ




