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逢魔が刻

光へ

作者: 名月らん
掲載日:2026/09/13

今回も実話です。


なんか苦しいなぁ


そんな事を思いながら目を覚ますと、真っ暗な世界に漂っていた。


ここは何処なんだろう


手を上げて何かを掴もうとしても、腕が重くて上がらない。


おかしい…何かがおかしい

何も聞こえないし…


ふと下半身を見ると、ヌメッとしたものがまとわりついている。


なに、このアメーバのようなものは?


急いで抜けようとしても抜けられない。そんな私に見覚えのある手と顔が見えてきた。

真っ暗なはずなのに、その人だけははっきりと見える。

引きずり込むつもりなのか?

それとも押し上げようとしているのか?

どちらにしろ私は急いで心のなかで唱える。


今は、まだそっちには行けないから、行かないから分かったよね?


そう言い纏い付く黒い物から這い出ると、薄明かりの病室の中で酸素マスクを着けた自分がいた。

酸素マスクを外し呆然としていると、扉が開き看護師が入ってきた。


あ、もう大丈夫かな?変なイビキをかいてたから、酸素マスク着けさせてもらったのよ。


と言うことは、あれはあの世との境目だったのか?生き返った?


だが、術後の傷口からは絶えず血があふれる。縫合はちゃんと出来ているのに…。いや、首、左肺、右肺と転移した奴にはなかなか勝てそうにない。

その後輸血をした夜、また不思議な夢を見た。


ある夜、西へと車で向かっていると、パチパチと火がはじける音がする。

気にせずに進もうとすると、赤く火のついた板辺が、パチンと弾けて車の前の道に落ちた。

その中に描かれた真っ赤に燃えている人が何かを叫ぶ


燃えてるし、怖いけど、何?何なの?


かわそうとしてハンドルを切ると、また板が弾けて飛んでくる何枚も何枚も


何、行くなってこと?行ったらいけないんだね?分かりました行きません引き返します。


ふっと目が覚めた


また夢で変わったもの見た、これは助かるのか?


そう望みをかけ過ごしていると、やっと待望の薬にであった。


これが効かなければ後がない…


追い詰められて行く。

それでも、ありがたいことに効く薬が見つかった。

少しずつ食事もできるようになったが、ここで問題が…

この薬、今の私では飲み込めないのだ。看護師や医師との試行錯誤のすえ、やっと飲めるようになった。


そんな苦労話をしていると妹が


あー亡くなった父さんに、姉ちゃんを助けてって祈っといたんだよ


だから出てきたのか…


十年前に亡くなった父。そうかそうなのかと、何故か納得をしていた。


あ、護摩焚きしてもらった。皆で行ってきたぞ


不意に夫が呟いた。それも一度や二度じゃないらしく、私の名前のお札など何枚も家にある。


火の粉は護摩焚きだ、やっぱり引き返せってことだったのか


私を思っての事だと、一つ一つ謎が解けていくのが有り難くあった。

ただ今だに気になるのは、父は私を押し上げようとしたのか?引き込もうとしたのか?はっきりしない所だ。

私をかわいがっていたが、最期は喧嘩別れになった手前、どちらなのかはっきりしない。


ただ、はっきりとまだ行けないと即座に口に出た?思った?あと辛そうな顔はしてなかったので、助けようとしたのだと思うことにする。


さてそんな私の今は


生きてます。生きられるだけ、したい事をして生きていこうと思う。

本当に、生きていて良かったのか?と悩む暇もないほど、仕事も休日も楽しもうと思う。前みたいに無理はせずに。


そして、黒の世界から光の世界へ戻れたことに感謝しつつ生きていく


あ、いつかのときは出来れば綺麗な花畑が良いなぁ
















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